第二十二話 支部の場所
前回龍助達はTBBの支部がある場所へ潜入すべく作戦を立て、すぐに動き出すことにした。
「それじゃあ舞日。道案内頼むぞ」
「分かりました。皆さんをきちんと案内します」
京にお願いされた舞日は快く了承してくれたが、もしもの時のために叶夜に監視役を頼んでいる。
少しでも裏切る素振りを見せたら即始末出来るようにと。
「間違っても裏切るなよ?」
「分かってる。裏切るのはあいつらで最後だから」
颯斗に睨まれながら言われた舞日だが特に怖がる素振りを見せずに了解していた。
「本当ですかね……」
「叶夜も大変だが、監視を常に頼んだ」
「分かった」
まだ誰も舞日の言葉を信じたわけではないが、龍助だけはなぜか彼女の言葉が嘘ではないように感じていた。
◇◆◇
舞日に連れられて四季の家を出た龍助達だが、現在地からかなり近い場所にあるらしい。
それを聞いて龍助は施設の近いところに敵の支部があると考えて恐ろしく感じていた。
「この道を曲がってあとは真っ直ぐよ」
「あれ? この道って……」
舞日の案内してくれる道を通っていくが、龍助はあることに気がつく。
否、龍助だけではなく叶夜と穂春、颯斗も気づいているだろう。
「この道、俺たちの学校へ行く道じゃないか?」
「そうよ。だって支部は学校の地下にあるからね」
「は? まじで言ってるのか?!」
「大マジよ。まあ私ともう一人の力で隠してたから気づかないのは無理もないわ」
舞日によると、学校長の大志に気づかれないように学校の地下に侵入し、空間変動を使ったという。
それを舞日ともう一人の力者の力で包み隠して見つからないようにしていたらしい。
「そこを取り仕切っているやつのことは分かるかい?」
「少しだけ。あの人は空間の魔法を得意としてます」
「京さんに似てるね」
舞日の言葉に龍助が反応する。
空間に関する魔法を得意としている点は京と近しいところがあると思える。
京も前に龍助達に力のことを教える際に空間変動を使っていたことを思い出した。
「多分空間に干渉出来るとなると相当な実力者だね」
「ええ。TBBの中でも地位も上の方だったわ」
京の推測は当たっていたようで、舞日達を指示していたのはTBBの中でもかなりの実力者らしい。
例えるならこの間戦った清と同等以上の力を有していると言えるだろう。
「じゃあ今回の敵は京さんより強い力があるってこと?」
「そうかもな。だけど、勝つか負けるかはまた別だけどね」
敵の強さを把握しても負けると思っていない京はすごいと思う龍助。
だが、少し心配なところが彼にはある。
(また油断しなければ良いけど……)
今までの敵との戦いで、彼は何度か油断して失敗していることがあった。
それでも頼れる男であることに変わりはない。
油断するのは大抵龍助達でも対処出来ることだから、そこは自分達でフォローしようと考える。
「さて、そろそろ抜け道の近くになります」
「それじゃあみんな気張っていくぞ」
京の言葉に龍助達は頷く。
この先は抜け道と言えど、敵が待っていることに変わりない。
更にいえば、京より強い力者がいる可能性もあるため、より一層の覚悟が必要になってくる。
(絶対に負けない……!)
そう思いながら心に火をつけて決心し、龍助は深呼吸しながら京達の後に続いて行った。




