【1572】対面
一樹と智樹たち、川上家は新しい形で家臣の門前へと現れることとなった。
上級のものと思われる家臣が言った。
「殿、その方たちは?」
「こいつらは我が養子、一樹と智樹じゃ。一樹、智樹。挨拶しろ。」
「はっ。え、と、ご、ご紹介に預かりました、川上智子…いえ、川上智樹と川上一樹でございます今後よろぴ…よろしくお願いします。」
兄は俺の想像を遥かに超えて緊張していた。いつもは緊張していたとしても、インターハイの決勝でちょっとちびるくらいなのに。俺よりも緊張していて、かなり驚いた。もちろん他の家臣はざわついている。
「あんなのが養子で大丈夫なのか」
「なぜ子が二人もおられるのに養子を…」
「もしかして、殿と他の女子の隠し子では…」
といった有様である。
それを冷静に聞き流していたが、一人の男が激昂した様子で兄の方へと向かい
「そなた、我が兄を切っただろ!」
「へ?」
「惚けないでくだされ、そなたは我が兄を切ったのですな!」
まずい、多分それは間違いではないだろう。あの行列の中の50人に家臣の兄斗考えてもおかしくない。そうなれば、家臣達の忠義は一気に失墜、反逆でも起こされて、殺されそうな者だが。家臣達は一層ざわついている。こりゃ終わった…と思った矢先、
「私は公の場に初めて出ました。誰も私のことなど知らないはず。知っているあなたは何者ですか?」
「は?そなたの顔ははっきりと覚えているぞ。そんな言い訳通用するわけが…」
「しますよ。私はあなたの主君の養子です。もし、その意見を主張するならば父に追放してもらいますが…」
「ぐっ…」
そして、隣でこっそり冷や汗をかいていた義父が咳払いをして言った。
「今後は、この息子二人も戦場に出る。まだまだ未熟者だが、家族同然に扱ってほしい。よろしく頼んだぞ。」
「「はっ」」
「一週間以内には戦場に入る。気を引き締めてやるように」
「「おーーー!」」
危なかった…家臣に斬り殺されるところだった。
「一樹、智樹」
「はい、なんでしょうか」「おう、なんだ」
そこには剣と槍を持った忠堅がいた。
「今から4日間みっちり練習ですよ。あなた達、初陣にして色んな意味で命懸けているんですから。」
「まぁ、そうだなちなみに俺は練習しないぞ。」
「へ?なぜ?」
「うーん、なんでって言われたら答えるのが難しいけど、3日前からは剣を振らないようにしてる。」
智樹は自身も公認のバカだが、考えることは考えている。試合一週間は腕が絶対に疲れるらしい。多分それは智樹が寝る間も惜しんで学校と風呂とご飯の時間以外トレーニングし続けているからかもしれない。宿題はどこへ…と思ってしまうのだが。
「ですが、一度は智樹と一樹の腕前も見てみたいところ。なので少しばかり練習しようではないか」
「しゃあないな、やってやるわ」
「だね」
なんやかんやでこの世界の生活もありだな。さて、ここから腕前の見せ所か!
「しゃ、しゃあない…?だね?南蛮の菓子か何かか?」
だが、もう少し古語に馴染まなければならないかもしれない
結構間空きました。すみません。