【1778】玄武城合戦
「殿!もう兵がここ本丸のみに!」
「くっ、もう少しだ!もう少し耐えれば援軍が来るぞ!」
あともう少しで、一樹たちの兵が来るはず、耐えろ耐えるんだ!
しかし、もう本丸に敵がぞろぞろと入ってくる。100対7000といったところか。やってやろうじゃないか!
「もうすぐ玄武城に着きます。殿、何か策は?」
「今から700の晴久隊と1000の俺の隊とで分ける。晴久隊は泰久と兼修の隊を、俺の隊には創士郎と蓮の隊を加えて戦う。」
『おぉぉ!』
坂井泰久、坂之下兼修、坂上創士郎、坂田蓮は俺が直接教えた中でも特に武勇に優れている4人でちょくちょく島津本隊にも加勢している。かなり良い武功を挙げてさまざまな武将から声がかかるみたいだが、キッパリ断っているという。なので俺は勝手に「川上坂四天王」なんて感じで呼んでいる。
「晴久、作戦通りでな」
「はっ、お任せくだされ。皆、行くぞ!」
そういうと、晴久一行は城の背後を突いて突撃していった。
「俺らも行くか。創士郎、蓮!」
「殿、お呼びでしょうか」
「お前らのコンビネーションを見せる時が来たぞ」
「コンビネーションですね。わっかりました!」
威勢のいい蓮と冷淡な創士郎。一見気が合わなさそうだが、さぁ、どうなるかたのしみなところだ…
ちなみに晴久と四天王には現代の教育…と言っても中学生ぐらいまでのものだが、しっかり教えているため、カタカナ語も英語も少々は使える。
そうこうしていると晴久から狼煙があげられてきた。
「いつもよりも速いな。よし、皆、進め〜!」
一気に進んだ先には大友軍がいる。よし、読み通りだ。
「は?なんであんなところに川上の旗が?」
「何も伝えられてないぞ」
「まさか、弟の方か?」
敵は混乱していて落ち着こうとしているが、そんな隙は一切見せぬように斬っていく。兄貴、結構数減らしたけど人数が人数だな。まぁ、混乱してるしなんとかなるだろ。
ようやく門が見えた。こちらの軍はほぼ無傷だ。
「この門を守り抜け!」
「おぉっ!」
ここから先は死に物狂いで耐えなければならない。なぜならこの玄武城は堅固な城で、一回落とすのにかなり時間を要する。さらに、大友との国境が最も近い城であるため、これからの大友戦に大きく左右してくる。だから大友軍はこの城を落とそうとするし、俺ら島津軍は意地でも守り抜かねばならない。
「大友の後詰が来たようです!その数8000!」
「くっ!これじゃ持たぬぞ!」
今の状況は1000対10000、10倍以上の兵力差がついている。ここはしのいでおきたいところだ。
「皆聞け!あともう少しで義久様がくる!それまでもう少しの辛抱じゃ!これまでの成果見せてこい!」
「おぉぉぉぉぉぉ!」
俺たちの兵は実戦経験がほとんどない。普通なら人をあやめることを躊躇するはずだが、血気盛んな若者で編成されているので、実戦は必要なかったようだ。さらに編成や隊列を崩さずに戦っているために指示している身からすればとてもやりやすい。俺も前線に出て戦う。1人が勢いよく飛びかかってくる。それをしゃがんでかわし、腹を一突き。また1人、また1人と来た。周りがフォローしながら斬っていく。だが、1万人は多かった。3000人は倒したが、一樹の兵は次第に数も減っていき、ついに70人ほどになり、兵の体力も限界まで来ていた。
「何人いんだよ、しかもしつこいし」
「もう少しっていつなんですか、殿。2時間は戦ってますよ」
蓮と創士郎ももう切り詰められている。
「すまん、みんな。苦しいかもしれんが、命に代えてもこの城を守れ」
「今頃何言ってんだよ、ここの兵は全員そのつもりだっつーの!」
刀とはいえないようなボロボロの刃で戦っていたチャラ男はそう言った。
こうなったら、出し切るしかねぇ!俺は、もう一度刀を握り直し、みんなの前に出た。
「ここで死んでやるー!」
その時バーンという爆発音が聞こえた。
神様はこの行動を見て救ってくれたのかもしれないいい意味でも悪い意味でも。
次で第一部完結したいと思います。