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How to survive  作者: 石切楠葉
小さな交信
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過去の出来事その1

2108年。12月4日。現地時間では午前2時を過ぎたぐらいだった。イギリスロンドンにて奇妙な事件が発生した。

ロンドンの宝石店が何者かに襲撃されたのだ。しかしなんとも不思議なことに店にある金庫に開けようとした痕跡はなくショーケースもほとんど割れていない。ただ1つだけショーケースが割られていたのだが中身、つまり宝石による装飾が施された指輪は無事だった。


しかしそのショーケース、つまり割れたガラスの方に警察や世間の目は向けられた。というのもそのショーケースには血痕が着いていたのだがその血痕というのがどうも変なもので血特有の凝固作用が見られなかった。それだけではなく、人間のものと説明するにはいささか無理のある犬のような白っぽい毛が混じっていたのだ。

長さはまちまちだがそれらの毛は血が含む水分を弾いているのか血に触れているにもかかわらずなんとも言えない特有の赤みを帯びることはなかった。むしろ血がその毛を避けるかのように素早く下へと落下していくのだ。


当然SNSや匿名掲示板を中心に一般大衆から大学の教授先生まであらゆる人達が論争を始めた。ただしその多くは根拠に乏しいことをやや悪く言えば妄想が混じったことをさも当然であるかのように話しているに過ぎなかった。



それから1週間立った時。この事件と酷く類似した事件が再びロンドン、さらには中国北京で発生した。ただし1週間前に起きた事件と酷く違う点として今回の事件で中国国家主席とイギリス首相が人間に酷似している人間とは言えない何か野性的な生物に殺されたのだ。

それは正気を失ったとでも言うべきボロ布のような衣服を身にまとったやややせ細った男がどこにそんな力を秘めているのか今にも折れそうなその腕で彼らの心臓と頭を突き刺したのだ。それだけでは無い。真に恐るべきことにその男たちは手に着いたその血を啜るようにあるいは臓物、脳みそを喰らうかの如く歯を立て顎を開き一心不乱に倒れた2人に夢中だったのだ。

不幸なことにイギリス首相がテレビで演説を行っている真っ最中だったこともありこの事件は民衆に強いショックを与えた。



それから1日たってまだ事件が片付いていない時にこの一連の事件の恐るべき全貌が姿を現した。

世界各地でそれぞれの動物が狂った。いや到底狂ったの一言で表せるものではないのだが狂ったというより上手い言葉が見つからない。人の形をした何か、犬の形をした何か、猫の形をした何か、魚、虫、それぞれ例外なく上記のようなものが誕生し街や村などのみならず山や海などの自然を荒らしまくったのだ。

後にそれらの生物はオリジナルの4~6倍程度の身体能力とスタミナを兼ね備えたものになっていたと分かった。



この生物たちは世界各地でひとしきり大暴れすると手にした戦利品の選別を始めた。厄介なことにその狂った生物たちが襲うところに種族の垣根はなく絶えず信じられないほどの量のアドレナリンが排出されているのか、銃で体を撃ち抜いたとしてもほとんど気にすることなく襲ってくるのだ。

そして恐ろしいことに彼らが気に食わなかった戦利品達は彼ら自身へと姿を変え再び襲いかかってくる。まるでゾンビのような生き物になってしまったのだ。



なぜこのような事件が発生したのかはまだ明るみにはなっていない。当時大混乱の中、わずかな時間ではあったものの議論されたことによれば生物兵器の実験の失敗だとか新種のウイルスが発生したのだとか言われていた。それが正しいことなのかどうかはこの先分かるとは思えない。少なくともこの事件が起きてから今に至るまで人類が にそれを解明できる程の余裕は無い。

それは人類が、あの事件から世界的に見れば僅かな数であるが生き残った人類が今どうやって過ごして、そして未だ収まりを見せないあの事件の余波を乗り越えているのかを見れば明らかだろう。

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