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1 事の始まり

 ホテルの和室に布団(ふとん)が二枚、敷きっぱなしになっていて、片方の布団には若い女性が横たわっていた。


 女性はパジャマ姿ではなく夏の普段着で、掛け布団の上で横たわっている。

 しかし、それよりも目を引くのは机の上にある『女形(おやま)人形』と、それを見つめる青年二人の姿だった。


 お互いに見つめあっているあいだも、外から(せみ)の声や太陽の光が容赦なく入ってくるから、青年の一人が額の汗を拭きはじめた。


 すると、もう一人の方が両腕を組んで、


春平(しゅんぺい)君」


 と、彼の横顔を見た。


「どうしよう?」

「どうと言われても……」


 ハンカチを仕舞(しま)って(うなじ)をかいた春平が、視線を人形へ戻していた。


「なんでこうなってもたんか、見当も付きません……」

「しゃーない」青年が膝を打った。「もうちょい、昨日のこと思いだしてみよか」

「そうですね…… それがええと思います」

「え~っと…… 合宿の最終日で、演奏会やったわな、確か」

「小学校の体育館でやりましたね」


「そのあと、何やったかな?」

紀州(きしゅう)大学の栄谷(さかえだに)さんらと、海水浴場で打ちあげのバーベキューやりましたやん」


「そうやっけ?」


 春平が鼻筋を指でつまんで、首を横に振っていた。

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