97 騎士科も教養科も脳筋な件について
お楽しみいただければ幸いです。
よろしくお願いします。
レナードは魔法科で捕まって長くなりそうなことを見越して迎えに来てくれたらしく、まだ名残惜しそうな魔法科の先生方に別れを告げて体育科へ。
お茶まで用意されて、なんだかただの茶話会になってる。
体育科はレナード含む退役騎士の三人。実際の退役は来年の三月だけど、戦争がない限りはほとんどを通常業務で過ごすから抜けても大丈夫なんだって。
剣術、槍術を得意とするグレアムと弓術、魔法による遠隔攻撃を得意とするイヴァンのお二人。そして、オールラウンダーで騎士団最強のレナード。あれ?学校って騎士養成所だっけ?
「レナードのなまえがこうしにあがってから、にゅうがくきぼうしゃがすごいふえたのよ。」
「そうでございましょう。団長は歴代最長、異例の二十年も騎士団長を務めていたのですから。」
「そんなに?」
「長く居過ぎました。もう世代交代して良い頃です。」
「ふつうはどれくらいなの?」
「平均五年、十年続けば長い方ですね。」
「まあ。」
騎士としての寿命を考えると仕方ないのかな?グレアムとイヴァンは四十代っぽい。スポーツ選手みたいだね。第二の人生考えるのって難しいよね。
「なら、いまのおうこくさいきょうのきしはレナードということ?」
「騎士に限れば私でしょうな。」
「どういうこと?」
「我々騎士は誰も、オリエンス三兄弟に勝てたことがないのですよ。団長でようやく互角といったところでしょうか。」
ああー、だから戦闘訓練の時にみんな躍起になってたのか。理解した。戦闘訓練っていうから、敵味方に分かれて戦うと思うじゃん?それが、師団対伯父様だったのよ、毎回。
伯父様は完全に胸を貸す立場だったわけだ。一個師団がかかってきても、圧倒的に伯父様の方が強かったもんね。どっかの連隊長さんの、怯むな!行けぇ!って声が忘れられないよ。一人に怯むなよって思ったけどさ。
師団って言ってもこの国はそんなに多くなくて、王都各師団千人、それが百人単位の十の連隊に分かれている。王都外にも国境付近に騎士の駐屯地はあるわけで、全国の騎士全てで一万名を超すくらい。
戦闘訓練の時は通常勤務のために半分近い連帯が抜けた状態だったから五百〜六百人くらいがいたわけだけど、いや、それでもそれを相手にして物ともしない伯父様って。ていうか、お父様もってこと?ホント何で王様やってんの?
「殿下のお祖父様であるセオドア様は、団長よりもお強かったのですよ。」
お祖父様って王国最強だったんだもんね。一人で敵の全軍を殲滅出来そうなイメージ。
「殿下もいずれは戦闘訓練が始まるでしょう。楽しみですな。」
楽しくないわい!
授業に関する話もそこそこして、次は教養科。コーデリア先生も今こちらにいらっしゃる。
「お待ちしておりましたわ。魔法科に捕まってしまって、こちらまで来られないのではないかと心配しておりました。」
「レナードにたすけてもらったの。」
「それはよろしゅうございました。」
教養科というくらいなので、とてもお上品な感じ。今はどこまで学院の先取りをするかを話し合ってるみたいだった。何が問題なのかといえば……
「先取り学習は大事ですが、実際に学院に進んだ際に授業に真面目に取り組まない学生も多いのです。」
なるほど。前世でも聞いた話だ。音楽、ダンス、マナー、刺繍、経営学、経営学!?あ、領地経営。
法衣貴族でも実家は大体セプテントリオの分家。それぞれ分かれた地域を管理してるのね。女子は家計管理って感じ?ふーん、面白い。
古代語も貴族の教養だけど、それは国語科で教えることになってる。魔法科で魔法陣について習う時に必須だからって。神話学もそうで、そっちは社会科。
こんな風に実践以外の座学も重要視されるようになったのも、歴代聖女の影響らしい。
わー、自分もやるのかと思うと気が重い。音楽、ダンス、マナー、刺繍、マズイ。私こそ先取り教育しないとヤバイ。
「いかがなさいました?」
「わたくしもこれをこなさないといけないとおもうと、ちょっとふあんになってしまったの。」
「殿下はとても優秀な方だと伺っておりますが?」
「わたくし、ぶきようなのよ。うんどうもとくいではないし。しょさも、いま、きそちゅうのきそをコーデリアせんせいにおしえていただいているけれど、てんでできなくて。」
「まだ二歳なのですから当然では?」
「そうはいっていられないじじょうがあるから。」
「まだお小さいのに、大変立派なことですわ。」
「何より、すでに御技を修めておられるのですもの。やってやれないことなどございませんよ。」
コーデリア先生。それは違います。やってやれないこともあるのです。口に出す勇気はないけどね!
「はあ。だいじょうぶかしら。」
「セレンからお戻りになったら、本格的にヴィオラ様の教育を開始します。まだたっぷりと時間は御座いますので、ご安心下さい。」
うわーん!!帰って来てからも勉強と執務に忙殺されるよう!!ダスティンのアホー!!!
「あなた、ほどほどにしてくださいましね。」
「分かっている。倒れない程度に行う予定だ。」
「それならよろしいわ。」
よろしくない!どうなってんだ似た者夫婦!
「わたくしもがっこうにかよおうかしら。」
そう言うと、全員におやめくださいと言われた。自分が作った学校にどうして行ったらいけないのさ!理不尽!!
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