92 旅のお供
お楽しみいただければ幸いです。
よろしくお願いします。
さてさて、ご飯も食べたし顔合わせの前に雛たちの様子を見てくるかな。
「ぴいよ!ぴいよ!ぴい!ぴい!ぴっ!」
ああー、またアルテにべしょっとされたよ。学習しなさい。
「カルラ、おまたせ。おやつにする?」
「ぴっ!」
「ぴっ!ぴっ!ぴっ!」
「ぴ!」
「ぴぴ!」
「みんな寄ってきたわね。」
「おやつに反応したんだろう。まだシンシアとアーサーが来てないからな。」
「わたくしたちのほうがはやかったのですね。」
「先に魔力を上げてくれないか?腹はふくれないだろうが、気は紛れるだろう。」
「はい、おとうさま。」
「かしこまりました。」
アーテルと二人で魔力を食べさせることになった。カルラ以外は祝福じゃなくてもよくなったらしい。雛たちを連れて会議室に入る。
「できるかしら。」
「何を?」
「さゆうのてでちがうことするの。みきでしゅくふくをあげて、ひだりでふつうのせいじょのちからをだしてみようかなって。」
「やってみたら?」
「カルラー、びんちゃん、おいでー。」
じわじわと手のひらに魔力を出す。あ、なーんだ。意外と出来るじゃん。まあ、片方はただの魔力だけど。
「出来るじゃない。」
「アーテルは?」
「やってみる。」
アーテルも出来てる。
「出来たわ。案外簡単ね。」
「やー、きびしいしゅぎょうにもたえたかいがありました!」
「本当にね。よく頑張ったわよ、貴女たち。」
「お、めずらしい。アーテルのデレ。」
「何よそれ。」
「だって、アーテルっててんけいてきなツンデレじゃない。」
「そんな風に思ってたの?」
へーん、睨まれてもどってことないもんね!もはや快感だよ!
お母様とアーサーが来たので、給餌は二人にお願いした。顔合わせに行かなくちゃ。ブライアンに案内してもらって、第一大会議室へ向かった。騎士も全員来るから、広いところでやるんだって。
そういえば、デズモンドがアンがセレンへ随行することをブチブチ言ってたよ。デイジーがまだ教育中だし、王宮侍女長の選んだ侍女との兼ね合いがあるから仕方ないんだよ。結婚前の最後の大仕事だと思って、快く送り出して欲しい。
「お待ちしておりました。」
外務卿のジュードのお出迎え。さっき貴方のご親戚の、甥御さん?従甥?貴方の悪口仰ってましたよ。呪ってやるって。
と、心の中でご報告。
「ヴィオラ様。」
「あら、ギルバート。いっしょにきてくださるんですってね。こころづよいわ。こもりのようなことをさせてごめんなさいね。」
「陛下直々の御命令です。大変な名誉ですから、そのように仰られる必要は御座いませんよ。」
アウランティウム兄弟を見比べる。身長も体格もほぼ変わらない。いや、お兄さんのギルバートの方が騎士だけあってガッシリしてるけど。骨格にそんな違いはないかな。
「魔力増加の検証ですか?」
見透かされてしまった。
「どうちゅう、すこしだけきょうりょくしてくれないかしら。ブライアンとまりょくこうかんしてくれるだけでいいのよ。」
「その程度のことならば。」
「少し気恥ずかしいですがね。」
この歳で兄弟手と手を取り合うのは恥ずかしかろう。申し訳ない。
「まりょくをふやすだけならわたくしでもよいのだけど、きっといまのわたくしのまりょくはにんしきしづらいだろうから。おねがいね。」
「かしこまりました。申し訳ございません、部下は職務が残っておりますので、先にご挨拶させて頂き失礼させて頂きます。まずはお掛けになって下さい。」
さすがに騎士は忙しいようで、先に紹介してもらったらギルバートと数名以外は職務に戻るようだ。総勢二十名。この場で顔と名前なんか覚えられないので、髪と瞳の色の特徴を押さえておく。名簿にメモしときたいよ。
「では、私から随行員の紹介を。こちらが外務部所属セレン担当外交官、モーガン・プールプラ。」
「よろしくお願い致します。」
「そしてこちらが同じく、外務部所属セレン担当事務官、ショーン・クルクマ。」
「よろしくお願い致します。」
ふんふん、モーガンとショーンね。もう最近、頭の中でもさん付けしない。王女だもん、失礼じゃないよね。そうしないと、普段もさん付けで呼びそうだし。
プールプラ家の人、騎士団にいたなぁ。あ、第二師団の副師団長だ。髪色も瞳の色も同じ赤紫。身長はモーガンの方が低そうだな。
ショーンは黄色の髪に紺色の瞳。黄色というか、ウコン?前世ではお世話になったわぁ、ウコンパワー。
「次は侍女の紹介を。こちらから、エレノア、フローラ、サリーです。」
侍女は家名省略か。まあ、私も実はお母様の侍女の家名知らんしな。ドロシーはライナスの奥さんだからフラーウムだろうけど。
年の頃はアンと同じくらい?デイジーみたいな十代はさすがにいない。
「よろしくね。」
「侍女とギルバート師団長、こちらの騎士たちはメリディエスから付き添います。外務部の二人と先に退室した騎士は国境のある街のターミナルで落ち合います。」
王都からメリディエスのターミナルに転移して、メリディエスのターミナルから国境の街のターミナルで落ち合う。うん、新幹線で東京駅降りて在来線乗って渋谷や新宿で降りるようなものだ。
三公は県庁所在地、地域で分かれる各領が市区町村の役割で、県庁所在地と各領の領都と経済規模の大きい主要都市にある転移施設、それらがターミナル。
国境の街は主要都市だからターミナル(複数路線の終着駅)だけど、ターミナル以外に行けない転移陣はホールト(停車場)と呼ばれている。
使用料という名の乗車賃は支払わなければならないけれど、庶民には手の届かない金額。平民でも使えないわけじゃないけど、滅多に使われないのも仕方がない。
「旅程を確認いたしましょう。行程表をご覧ください。」
行程表という名の旅のしおりね。学校の旅行みたい。幼年学校の子たちにも修学旅行があってもいいかもね。
「まず、出発日は五月二十五日月曜日。朝九時に転移棟へお越しください。荷物は前日までにお預かりし、当日お二人が到着次第、すぐに転移出来るように致します。随行者は侍女四名、師団長含む騎士五名。共に転移するメリディエス公御息女、オッキデンス公御息女とオースティン閣下。合計十四名の転移になります。申し訳ありませんが支援物資と共に転移して頂くので、荷物は最小限にお願いします。セレン行きの部隊に残りの荷を運ばせますのでご安心を。」
そんなに荷物いるの?大丈夫かしら。
行程表はこんな感じ。
5/25(月)
09:00 転移棟集合
09:15 王都からメリディエス領都ベガへ転移 馬車で移動
09:30 メリディエス公 領主館到着
10:00 現地の現状報告のための会議〜11:00
11:00 領主館広間にてベガに避難している被災者の慰問〜12:00
12:00 昼食
13:00 領主館出発 ターミナルへ
13:15 ターミナル到着次第アークトゥルス領領都アークトゥルスへ転移
13:30 領主館到着
14:00 アークトゥルス領都に避難している被災者の慰問〜15:00
15:30 領主館出発
15:45 ターミナルから最大の被災地イザルのホールト到着
16:30 ベースキャンプ到着
17:30 騎士の慰労会
5/26(火)
09:00 ベースキャンプにて被災者慰問〜10:00
10:00 ベースキャンプ出発 祝福をかけながら移動
12:00 昼食
12:45 祝福をかけながら移動
17:00 ベースキャンプへ移動
18:00 夕食
5/27(水)
08:30 ベースキャンプ出発 祝福をかけながら移動
12:00 昼食
12:45 祝福をかけながら移動
16:00 イザルのホールトへ移動開始
17:00 イザルのホールトからアークトゥルスのターミナルへ転移
17:15 アークトゥルスのターミナルからプルケリマのホールトへ転移 馬車で移動
17:45 ベースキャンプ到着
18:00 騎士の慰労会
5/28(木)
08:30 ベースキャンプ出発 祝福をかけながら移動
12:00 昼食
12:45 祝福をかけながら移動
16:00 プルケリマのホールトへ移動
16:30 アークトゥルスのターミナルへ転移
16:45 ベガのターミナルへ転移
17:00 オッキデンス領都フォーマルハウトのターミナルへ転移
17:15 国境の街アルゲニブへ転移 馬車で移動
17:45 ホテル到着
18:00 夕食
5/29(金)
08:00 ホテル出発 馬車で国境線を越える
09:00 セレン入国 国境の街オルヒデアのターミナルを目指す
09:30 オルヒデアのターミナル到着
10:00 セレン王都リーリオンへ転移
10:30 セレン王城到着
11:00 王城広間にてセレン王妃並びに王太子に謁見
12:00 昼餐会
13:00 セレン駐在大使と面会〜13:30
14:00 セレン側の官僚と会議〜15:00
18:00 夕食
5/30(土)
08:30 王城出発
09:00 リーリオンのターミナルからアルセーアのホールトに転移 馬車で移動
10:00 現地到着 浄化開始
12:00 昼食
12:45 浄化〜17:00
17:00 宿泊所へ移動
18:00 夕食
5/31(日)
08:00 宿泊所出発
09:00 現地到着 浄化開始
12:00 昼食
13:00 アルセーアのホールトへ移動開始
14:00 リーリオンへ転移
14:30 オルヒデアに転移 馬車でアルゲニブへ
16:00 アルゲニブのターミナル到着次第フォーマルハウトへ転移
16:30 フォーマルハウトからセプテントリオーネスに転移
「強行軍ね。」
「ダスティンのうそつき!」
「申し訳御座いません。鳳凰鳥の雛のためになるべく早く戻るようにとのことですので。」
「あら?そういえば、おばあさまはメリディエスとオッキデンスにはどうこうしてくださるのではなかったの?」
「陛下のご意向でカスミ様も鳳凰鳥の雛のために王都に残られることになっております。」
「聞いてないの?」
「きいてないわ。」
「卒業証書渡したときには聞いてたわよ。」
「そんな!ほうれんそうがなってない!」
ダスティンに騙された!こんな大変だなんて聞いてない!絶対に許さない!!
お読みいただきありがとうございました!
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