7 聖地でお茶会を
幼児の会話がひらがなで読みづらくてすみません!
幼児期の間だけの辛抱です!?
よろしくお願いします!
うわー!うわー!お仲間がいた!お仲間がいたよ!
悪役令嬢、全員転生者だよ!絶対そうでしょ!もう期待しちゃう!色々お話したいなー!
でも、侍女もいるし、四人でヒソヒソ話しても、なんかちょっとおかしいよね?どうしようかなぁ。
「みなさま、ここで休憩になさいますか?」
ウチのベテラン侍女、マーガレットが声をかけてくれた。若い侍女のモリーが抱えてたバスケットはお菓子や飲み物なんかが入っているようだ。重いのにゴメン!
「そうですわね。おさんにんがた、たくさんあるいたのでつかれていませんか?すこしやすみましょう。」
オリヴィアちゃんとスカーレットちゃんは目を輝かせた。アーテルちゃんもひとつ頷いてくれた。
「うれしいですわ!あこがれのばしょでおちゃができるなんて!」
「ええ、まったくですわ!」
オリヴィアちゃんとスカーレットちゃんは大変喜んでいる。アーテルちゃんは一瞬訝しむ目線を向けたけど、私の視線に気付くと元の表情に戻った。
侍女たちがテキパキとテーブルに支度をしていく。お茶じゃなくてジュースだけど、素敵なテーブルウェアなので雰囲気は良い。焼き菓子まで用意されている。
それをキラキラした目で見つめる二人。多分、これもゲームに出てきたのと同じやつだから、二人はさぞかし大興奮だろう。がんばっておすまし顔をしようとしてるけど、ちょっとソワソワしているのが分かる。
お母様のように、まずは主催者側の私が食べ物と飲み物に口をつけると、三人も出されたものに手を伸ばす。貴族のお茶会は決まり事が多くて大変だね!ファミレスのドリンクバーが懐かしいよ。
「オリヴィアさまとスカーレットさまはなかがよろしいようですけど、いぜんからめんしきがありましたの?」
とりあえず、疑問に思ったことをぶつけてみた。転生者ですか?なんて、ここじゃ聞けないもんね。
二人は顔を合わせて頷き合う。スカーレットちゃんが教えてくれた。
「はい。わたくしたちはあかごのころからこうりゅうがございまして、おさななじみなんですの。ははどうしがなかがよくて、おたがいのいえをいききするかんけいです。」
南と西は一部が同じ隣国に接していて、そことアウルム王国は緊張関係にある。隣国は土地だけは大きな国だけど瘴気が充満している森が多い。
昔は友好関係が築けていたから聖女の御技が使える王族を派遣して浄化してたんだけど、いつだかの王が聖女を独占するアウルム王国が悪いと言い出して、聖女を召喚できる唯一の場所を狙って侵略戦争を仕掛けてきた。
今でも度々、聖地を求めてやってくる厄介極まりないお隣さんだ。メリディエス公とオッキデンス公は軍の指揮を取らなければならないので、日頃から交流があるのも頷ける。
あ、他の友好国には定期的に浄化を行ってるよ!血は独占してるけど、聖女の恩恵を独占してるわけじゃないよ!
「そうなのですね。アーテルさまはりょうちをでられるのははじめてでいらっしゃるのよね?」
「ヴァイオレット殿下、わたくしに様などとお付けにならないでください。わたくしは貴女の臣下なのですから、どうかアーテルとお呼びくださいませ。」
ありゃ、怒られちゃった。でもなー、一応、初対面だしなー。頭の中ではちゃん付けしてるけど、そこまで砕けた話し方も人前で出来ないしなー。
「そ、そうですわ!わたくしのこともスカーレットとおよびくださいませ!」
「わたくしも、オリヴィアと!」
おおう、マズったって顔して二人も申し出てきた。それなら私への殿下呼びもやめて欲しい。お願いしてみよっと。そだそだ、淑女の笑みもしとかないとね!
「わかりましたわ。では、そのようによばせていただくわね。わたくしのことも、でんかではなくヴァイオレットとよんでいただけるとうれしいわ。」
「そのようなおそれおおいことを!」
オリヴィアちゃんが叫んだ。チラッと侍女を見ると、特にダメって感じもしない。んー、もう一押ししとこうかな。
「ほんとうはヴィオラかヴィオとあいしょうでよんでもらいたいのだけど。わたくしたちはうんめいきょうどうたいでしょう?これからかおをあわせることがふえるわけだし、たにんぎょうぎなのはかたくるしくっていやだわ。ね?おねがい!」
お母様直伝、おねだりの笑み!
アーテルちゃん、コッソリしたつもりだろうけど、ちゃんとため息聞こえてますよー!
「では、ヴィオラ様とお呼びさせていただきます。」
「ええ、そうしてちょうだい。ふたりもね。それにしても、アーテルはおとなのようなはなしかたができるのね。わたくし、したがまわらなくて、こどもっぽいでしょう?うらやましいわ。」
「わたくしは聖女カスミ様より直接ご指導を賜っております。浄化の手段としてわたくしには歌を唄うことが最も効率が良く常日頃より訓練をしておりますので、そのせいかと。」
「まあ、すでにせいじょのみわざをつかえるのね!すごいわ!」
私なんてまだ魔力訓練もしてないよ!聖女の御技には複数あって、浄化がメインなんだけど、傷や病を治したり、他人の能力を上げたり、魔力を分け与えたり、なんか色々出来る。
私たちは聖女の血を引いていても混ぜ物だから、他の魔法も使える代わりに召喚聖女ほどの御技は使えない。召喚聖女は他の魔法は使えないけれど、聖女の御技に関しては桁違いの力を発揮する。
召喚聖女は自衛手段がないから、周りが守るしかない。他国の王族レベルが出張ってくると、そこらの護衛じゃ魔力量で勝てない。だから、王族と結婚って流れになる。カスミ様もオリエンス家の男子に嫁いだから。
旦那さんは男だけど先代オリエンス公になって、カスミ様をずっと守って来た。もう亡くなられたはずだけど。あ、私の祖父でもあるのか。会ったことないから実感がない。
聖女が三公に嫁ぐ場合は男系相続が認められているの。おじいさんは王家を凌ぐ魔力量を持っていて、すごく強かったらしい。英雄の再来とか言われていたそうだ。釣り合う年の頃の王家の人間もいたんだけど、浄化の旅や戦争を通してお互いを支え合い、熱烈な恋をして二人が結ばれたって物語にもなってるんだって。
「うたでじょうかなんて、あに……ものがたりのようですわね!」
オリヴィアちゃん、いや、オリヴィアよ。今、アニメって言おうとしたな?スカーレットが小さく肘鉄食らわせた。オリヴィアが思ったより痛そうにしてる。許してあげて!
「そうね、とってもすてきだわ。」
とりあえず、フォロー、フォロー!それにしても、私も含めて四人とも、こうスラスラと喋る二歳児いないよね。私は普段こんな長文で話さないし、言葉遣いも抑えめにしてるから、後ろに控えているお母様の侍女たちも多分驚いてると思う。
「ありがとう存じます。」
アーテル、ちょっと照れた?デレた?スカーレットよりよっぽどツンデレだね。同じ異世界転生者だし、いい人だと信じたい。
「そうだわ!ヴィオラさま!おうきゅうのぶとうかいがおこなわれるホールはいかれたことがありますか?」
スカーレットは聖地が気になって仕方ないのか。まあ、基本は王宮と王都内にある学園が舞台だから、我が家は聖地の塊と言っても過言ではない。
舞踏会場になるホールは私も行ったことがない。舞踏会はヒロインと攻略対象が親密度を上げるのに大事なイベントだもんね。
「ごらんになりたいの?」
私も見たいなぁ。二歳児じゃ入れるようになるまでかなりの時間がかかる。見られるなら見たい。
マーガレットに目配せしてみた。う、渋い顔をされてしまった。
「みなさまが歩かれて行かれると大変お疲れになると思います。後日、日中にご覧になるのは可能かと。王妃様にお伺いしますので、本日はご容赦くださいませ。」
あちゃー、断られちゃった。オリヴィアとスカーレットはがっかりしている。最早、表情を取り繕う余裕もないらしい。アーテルは特に変わりなし。この世界のことは分かってそうだけど、興味ないのかな?
「ごめんなさいね、きょうはあきらめてくださる?あなたたち、まだいくにちかおうとにいるのでしょう?そのあいだにあんないできるよう、わたくしからもおかあさまにおねがいしてみます。うまをよこすから、ぜひまたおうきゅうにあそびにきてちょうだい?」
「ほんとうですか!?」
「こうえいです!!」
アーテルだけ答えずにお茶、もとい、ジュースを優雅に啜ってる。この人、なんで転生したんだろ?あとの二人は『キミコイ』大好きっぽいのに。一番断罪される可能性があるから警戒してるのかなぁ?まだまだ時間あるのに、そんなに気を張ってたら胃に穴が開いちゃうよ。
「アーテルも、いらしてくださる?」
「ええ、もちろん。楽しみですわ。」
間髪入れずに答えが返ってきた。私の方を向いて微笑んでくれたけど、目が笑ってない気がする。なんだか不安だな〜、仲良くなれるかな!?
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