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悪役同盟!〜同じ事故が原因で転生した4人の悪役令嬢は同盟を組んで断罪を回避したい!〜  作者: 里和ささみ


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63 大人の聖女特訓②

秘密特訓なのでタイトルを分けようと思ったのですが、面倒なので一括りにしてしまいました。

そのつもりでお読みください。

よろしくお願いします。

 あの後、パルは目を覚ますと、水を飲んだ後、また魔力を欲しがった。香澄様の魔力が余程美味しかったのか、期待して手をペロペロ舐める姿はかわいい。かわいいけど……。

 香澄様にお願いして、普通の魔力をあげてもらったら、コレジャナイと主張するような声を上げる。違いの分かる猫?

 この事は研究所の方に報告されるようだ。変な猫。


「あ、そうだ、おばあさま。ドロシーといちど、まりょくこうかんしていただけませんか?」


 帰る前に、香澄様にダメ元でお願いしてみた。ドロシーにも、一番良い聖女の力の状態を知って欲しい。


「あら、構わないけれど、どうして?貴女、御技の使い手よね?」


「恐れながら申し上げます。わたくしは聖女の末裔でありながら、御技を上手く扱うことが出来ませんでした。ずっと才能がないのだと諦めておりましたが、昨日よりヴィオラ様にお導き頂き、改めて聖女の御技を学び直しております。娘のためにも、母親のわたくしが御技をよく理解し、教えられるようになりたいのです。そのためにも、最も繊細な力をお使いになる聖女カスミ様の御力を身を持って学びたいのでございます。畏れ多いことではございますが、ご協力頂けないでしょうか。」


「どうかしら、おばあさま。このようなみわざのつかいてはすくなくないとききました。あたらしいせだいだけではなく、こうしたかたがたもちからをのばせば、よりよいとおもいませんか?これまでとちがい、めいかくなりろんで、せいじょのまつえいにきょういくをほどこせば、かならずやゆうしゅうなみわざのつかいてがふえるはずです。そのためのきょうほんもつくろうとかんがえています。そしていつか、せいじょのためのがっこうをつくりたいのです。」


「貴女は本当に色んなことを思いつくわね!こちらに来てから驚かされてばかりだわ。」


「君はまるで優秀な官僚だ。だけどね、ヴァイオレット。出る杭というのは打たれるものだよ。特に王宮の古狸共は新しいことを嫌う。根回しは大丈夫かい?」


「そんなもの、ダスティンにまるなげしてやりますわ。こんなにくににゆうえきなもの、ひつようないなどいわせません。ぜったいによさんはもぎとってみせます。そのためのドロシーのくんれんでもあります。みなさま、ドロシーのさいきょういくのせいかがでるまでは、ほかのかたにはひみつにしてくださいませね。わたくし、ダスティンにあっといわせてやりたいのですから。」


「あはは!僕の姪は勇ましいな!ダスティンまで顎で使うとは!」


「あら、わたくしたちはもちつもたれつですわよ?にさいのこどもにしつむづくえをあたえ、しょだなだけでなく、つくえのうえにもしりょうをやまほどつまれているのですから、そのくらいしてくれてとうぜんです。」


「そういうことならわたくしも協力するわ!ダスティンに吠え面をかかせてやりましょう!」


 香澄様の暗黒面がちょいちょい顔を出すんだけど、ダスティンってば、本当に何したの?カミラさんがこっそり溜息ついてますけど?残念具合が私とあまり変わらないのでは?


「早速、秘密の特訓をしましょう。ドロシー、こちらへいらっしゃい。」


 失礼致します、と一言添えて、ドロシーは香澄様の手に自分の手を重ねた。


「すごいですわ!あっという間に香澄様の魔力がなくなってしまう!」


「無くなっているのではなく、状態を変えているのです。注ぎ込まれた魔力をよく意識して、無理せずそのままの状態を保つようにしてごらんなさい。自分の魔力はそのままで構わないから。」


「……難しいですね。カスミ様の魔力がどんどん変化してしまいます。」


「もっとたくさん流し込んでみるわね。違いを良く認識して、粒を揃えて行くようなイメージで、境目からゆっくりと広げて行って。」


 ドロシーの左手から肩までが香澄様の魔力で埋まる。少しずつ循環させながら、魔力が揃って行っていたけれど、頭を越した辺りで集中が続かなくなったのか、ぷはぁ、と息を吐いて戻ってしまった。


「やはり大人だと使い慣れた魔力に引き摺られてしまうわね。」


「そのようですね。ここはようくんれんです。」


 やっぱり使い慣れた魔力分子のイメージが強いんだなぁ。騎士の人たちは結構アッサリ受け入れられてたけど。まあ、あっちは普通の魔力だからな。

 でも、訓練し慣れてるっていうのもあるし、現場に出れば柔軟な思考が必要になると思うから、固定観念には囚われにくいのかも。


「ヴィオラは聖女学校を作ったとして、どんなことをやろうと考えているの?」


 伯父様も欲しがりさんだなぁ。いいでしょう!特別に教えちゃうぞ!


「まずはざがくです。まりょくのありかたをまりょくげんしりろんでにんしきしてもらうようにかえていきます。そこからじっせんで、ドロシーのようにみわざをつかうにふさわしいまりょくをコントロールできるようになってもらいます。そのあとは、みわざのしゅるいによって、ひつようなちしきをしゅうとくしてもらいます。」


「必要な知識?」


「たとえば、ちゆならいがくですね。ひとのからだがどのようなこうぞうで、どのようなぶっしつでこうせいされているのか。せいじょうなじょうたいをおぼえれば、いじょうがあるところをせいじょうなじょうたいにもどすイメージがつきやすいはずです。しゅくふくも、ほうじょうきねんならば、さくもつをそだてるのにひつようなようそをまなんでもらいます。しょくぶつそのもののこうぞうやせいしつもおしえて、せいちょうにひつようなものをまりょくであつめられるようにするのです。ひとにたいするしゅくふくは、ちゆとおなじく、いがくちしきがひつようになるはずです。」


「へえ、それを君は具体的に説明出来ると?絶対に成功するという自信があるのかな?」


「すべてをせつめいできるとはもうしません。ですが、わたくしたちはおばあさまのいかいのちしきをりかいすることで、ほかのかたよりなんばいものはやさで、いろいろなことをしゅうとくしています。それはわたくしたちじしんが、いかいのちしきがまりょくにもおうようがきくというしょうめいになります。いまげんざいわかっていることだけでも、せいじょのみわざのつかいてののうりょくをこうじょうさせることはかのうだとかんがえます。」


「すごいな、君は。大人と話しているようだよ。その自信は何処から来るんだろうね。」


「おじさまはなかなかいじわるなかたですね。ちょうはつにはのりませんわよ?」


「うーん、僕は娘にも姪っ子たちにも好かれたいんだけどなぁ。悪い印象を与えちゃったかな?」


「いまのところ、よいいんしょうはございません。」


「わあ!参ったなぁ!」


「おとうさま、いいかげんになさいませ。おかあさまにいいつけますよ。こどもをからかってなにがたのしいのですか。ヴィオラはりっぱにおうぞくのぎむをはたしています。わたくしをだしにしてあそびにきているおとうさまにあれこれいわれるすじあいはございません!」


「オリヴィア!」


 思わず目頭が熱くなっちゃうよ!友情!絆!なんて素晴らしい!


「リヴィ、そんなこと言わないで!お父様が悪かった!謝るよ!この通りだ!ちょっと悪戯が過ぎた!ごめん!」


「わたくしではなくヴィオラにあやまってくださいませ。」


「それよりも、そろそろ逃げた方がいいと思うわよ。お祖母様、扇をへし折りそうよ。」


「あああ、ヴァイオレット!ダスティンのところへ行くんだろう!?僕も同行するよ!今日は僕が君の護衛騎士だ!さあ行こう、すぐ行こう、早く行こう、今行こう!」


 バッと持ち上げられて、肩に担がれた。載せられた瞬間に伯父様の肩がみぞおちに入って、ぐふっ、と王女らしからぬ声が出てしまったわ。おい、せめて抱っこにしろ!


 バン!と勢いよく扉を開けて、バン!と扉を閉めた後、ガン!という音がした。扉に扇が当たった音だろう。香澄様はお怒りだ。お父様より問題児なんじゃないの、この人。


「おじさま、ドロシーをおいてきてしまいました。」


「後から追ってくるさ!いやぁ、良かったよ、母上が足を怪我していて。元気だと地獄の果てまで追ってくるからな。」


 む。怪我人にそんな言い方ないと思う。そもそも怪我じゃないし。


「おじさまがおとなしくしていればよかったのでは?」


「それが出来れば世話はないさ!」


「ひらきなおった。というかそろそろおろしてくださいせめてだっこにしてくださいしんどうがはらにきてくるしい。」


 早口で要求を言うと、伯父様は立ち止まって抱き直してくれた。


「ごめんよ、気付かなくて。痛かった?」


「そこそこいたかったですね。」


「大変申し訳ない。君は終始冷静だな。オリヴィアも年の割に大人びた子ではあるけど、君と、あとアーテルは、本当の大人のようだ。」


「そうですか?わたくし、それなりにやらかしてますけど。」


「急に砕けて来たね。」


「つかれました。」


「本当にごめんね。悪いとは思ってるんだけど、つい癖で。」


「だからがくいんでドロシーやおかあさまににらまれるのですよ。」


「あの頃は色々あったんだよ。」


 昔を思い出したのか、自虐的な笑みを浮かべて視線を逸らされた。この辺は追及しなくてもいいか。


「しかし、ドロシーも随分と教育ママになったな。娘に教えたいから御技を学び直したいだなんて、気合の入れ方が尋常じゃないよ。」


「それでも、じぶんのできなかったことをこどもにおしつけるだけにせずに、じぶんでどりょくしようとがんばっているのですから、ドロシーはとてもりっぱなははおやですわ。」


 ふと、前世の父が頭をよぎる。子どもには期待を押し付けるだけだった父。教えるわけでもなく、共に学ぶでもなく、結果だけ見て経過を見ない父。文句ばかりの父。決して子どもを褒めることのない父。


「大丈夫かい?すごい顔になってるよ。」


「どんなかおしてました?」


「鬼の形相?」


「おに、ごぞんじなんですか?」


「異界の昔話だろ?母上がよく子どもの頃に脅し文句で言ってたよ。いい子にしてないと鬼が来て、取って食われるぞ!ってね。」


「よくくわれずにおとなになれましたね。」


「あはは!全くだよ!僕も、ジョージもね!」


「スカーレットのおとうさまもおじさまやおとうさまのようなかたなのですか?」


「兄上?いや、全く。真面目で、堅物で、でも、とても優秀な人なんだ。母上も、兄上のことはいつも頼りにしていた。僕らが真似して結局失敗して、よく姉上に怒られてたな。」


 上の兄姉はしっかり者なんだな。弟のいる姉って強いよね。お父様と伯父様は、ザ・弟って感じ。


「あ、ところで、行き先はダスティンの部屋でいいんだっけ?」


「だい3しょうかいぎしつですわ。」


「会議室?会議なの?」


「ざいぶのかたとこうぶのかたとダスティンとわたくしで、ちすいこうじにかんするかいぎです。」


「わお、思ったより本格的だった。同席して構わないかな?治水に関しては、ウチも他人事じゃないんでね。」


「ダスティンのきょかがあれば。」


「了解。何としてでも居座ってやる。」


 そう言って、伯父様は早足で第三小会議室まで連れて行ってくれた。ドロシーは、なかなか追いついて来なかった。


お読みいただきありがとうございました!

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