20 悪役令嬢同盟
やっとタイトルにたどり着きました。
「すごいわ!ヴィオラは前世でも優秀だったのね!」
デヘヘ、香澄様に褒められちゃった!前世で勉強しまくった甲斐があったね!
「司法浪人した?」
「してないよ。だいがくざいがくちゅうにごうかくしたし。こっかいっしゅもうかったから、さいしょはかんちょうににゅうしょうしたの。もうちょうぜつブラックでさ!べつにどうしてもかんりょうになりたかったわけじゃないし、そくやめて、しほうしゅうしゅうせいになったの。」
「……ねえ、出身大学はどこ?」
「たぶん、いまアーテルがそうぞうしてるとこ。」
はあぁぁぁぁぁぁっ、と、アーテルが溜息をついた。この二日で一番大きな溜息。失礼な!
事情を知ってる人しかいないから、アーテルもかなり素になってるみたい。これがいつもになってくれればいいのにな。
「あんた……前世で超エリートだったのに、何で今そんなに頭悪そうなの……。」
ひどっ!私、そんなに頭悪そうに見える!?ただ子どものフリしてるだけだもん!頭悪くないもん!
「アーテル、さすがに言い過ぎよ。でも、ヴィオラは本当に賢いのね。驚いたわ。今すぐにでもジョージじゃなくて貴女が国を治めた方が良いのではないかしら。」
残念!女王は法律で認められないのでしたー!
「それに、昔の職業が裁判官ならば聖女の御技のひとつ、真偽を見抜く力が貴女にピッタリね。スカーレットは医療に興味があるのなら治癒、オリヴィアは食に興味があるのなら豊穣祈念かもしれないわ。」
「どういういみですか?みわざはひとつしかつかえないということはありませんよね?」
スカーレットが香澄様に尋ねた。確かに、ゲームやアニメでもそんな描写や説明がなかった。どのルートでも、そのルートの悪役令嬢と御技で能力バトルしてたし。
「私のような異世界から召喚された聖女はどの御技も満遍なく使えるわ。けれど、その子孫は魔力量が多い者でも特性が偏るのよ。アーテルは浄化は得意だけど、他の力はまだ弱いわ。桁違いの魔力量があるから、いずれは他もそれなりに出来る様になるでしょうけど、例えば苦手な治癒なら、綺麗に折れた骨折は治せても、複雑骨折は治せないとか、千切れた脚をくっつけられないとか、そういう差が出てくるの。」
「そうなのですね。はつみみでした。」
オリヴィアでも知らないことがあるんだ。これはちゃんと勉強していかないとダメだな。歴代聖女の手記も読ませてもらおう。
ていうか、それって千切れた脚をくっつけるような機会があるってことだよね!?かなり怖いな!グロテスクなのとか苦手なんだけど、私!前世でだって、医者には絶対になれないと思ったもん!
「御技の種類は大まかに分けて今言った四つね。浄化、治癒、豊穣祈念、炯眼。炯眼は未来予知なんかは出来ないけれど、人に騙されないために結構使えるのよ。大人になれば他国に浄化へ行くこともあるでしょう?たまにあの手この手で御技の使者を自国に留めようとする者がいるの。そんな時は本心で言っているのか、下心があるのかが、魔力を集中させて眼を凝らすとその人の持つ色で真偽が分かるわ。国からは余り重要視されない力だけど、自分を守るために何よりも必要な力だと私は思うの。」
案外、友好国でもそういうことあるんだ。聖女外交の弊害だね。最大の原因は無くならない瘴気だけど。ジョエルじゃないけど、そこも要研究だ。発生条件とか統計とか取ってるのかな。
「他にも覚えることはたくさんあるわ。祝詞もあるしね。これは想像力を働かせるための補助みたいなものだから、いずれ無詠唱でも出来るわ。兎にも角にも、まずは魔力をコントロール出来る様にならなければね。」
「はい!」
「はい!」
「はい!」
「貴女たちは運命共同体よ。私は四人の誰も、不幸になって欲しくない。魔力を封じられて幽閉なんてもっての外よ。そのための助力は惜しまないわ。貴女たちは四人で協力し合い、助け合って、困難を乗り越えなさい。これは断罪を回避するためだけじゃなく、王家と三公の正しい在り方よ。」
「ワンチームってやつですね!」
「なあに、それ?」
「ラグビーかな?こう、スクラムくんで……やってみる?」
「なにかちがいませんか?れいじょうっぽくないですよ。」
「ううーん、きょうつうのりそうをもって、てをくみ、てきにたいこうする……あっ、さんごくどうめい!」
「歴史でやったやつ?」
「そうそう!わたしたちはあくやくれいじょうだから、そのまんま、あくやくれいじょうどうめいとか?」
「すこしながくないですか?」
「じゃあ、りゃくしてあくやくどうめい!どう、これ!?」
「昭和の香りがするわ。」
「確かにそんなものあったわね。プロレスだったかしら?」
「ええー!そうなの!?せっかくかんがえたのに!」
「何だっていいわよ、もう。好きにすれば。」
「トコちゃんひどい!しおたいおう!ソルトなだけある!」
「懐かしいわね。私はソルト派だったわ。」
「わたしはシュガーはでした!」
「なんですか、それ。」
「アーテルのいたアイドルグループのことよ。ソルト&シュガー。キレイ系のソルトと可愛い系のシュガーにチームが分かれてたの。」
「とりあえず、スクラムくもう!スクラム!」
「それは結局やるのね。」
「だって、いっしんどうたいってかんじするじゃない!」
「分かった、分かった。悪いけど、二人も付き合ってあげて。」
「あ、はい。」
「わかりました。」
みんなの反応、腑に落ちないけど、まあ、いいや!これで私たちはちゃんとした仲間だよ!
私たちがスクラムを組むのを香澄様はニコニコと笑って見ている。音頭はやっぱり私が取らなきゃね!言い出しっぺだし!
「よーし、みんな、いい?これからゲームかいしまで、はじまってからも、いっしょう、わたしたちはどうめいをくんだなかまよ!ちからをあわせ、たすけあい、だんざいをかいひしましょう!やるぞ、みわざくんれん!めざせ、だんざいかいひ!かがやくみらいはわたしたちのもの!しょうりをわれらのてに!エイ、エイ、オー!!」
「エイ、エイ、オー!!」
「エイ、エイ、オー!!」
「エイ、エイ、オー!!」
掛け声に合わせて拳を振り上げた。令嬢も王女も、ここでは関係ない。私たちは前世のつながりを持つ仲間だ。もちろん、香澄様も。
私は香澄様を見た。嬉しそうな顔でアーテルを見つめてる。断罪を受け入れるつもりだったアーテルがさぞ心配だったんだろう。大丈夫だよ!アーテルのことは、私たちが守るからね!私も守ってもらうけど!
「ふふ、可愛いわね、わたくしの孫娘たちは。」
「カスミさま。これからもおばあさまとそとではおよびしたほうがよろしいですか?」
「そうね。その方が良いでしょう。こうして他の者がいない時は好きに呼んでちょうだい。香澄ちゃんでも、カスミンでも、何でも良いわよ?」
「カスミンって……歳考えなさいよ。ヴィオラはともかく、二人が困ってるでしょ。」
「カスミさまはおちゃめさんですね!」
「発言がいちいち昭和くさいわね。」
「なんとでもいって!きにしないもーん!」
「外ではちゃんと猫かぶりなさいよ。」
「わかってるって!」
「さ、余り外で侍女を待たせては怪しまれるわ。魔力コントロールの訓練を始めましょう。」
やったぁ!いよいよ本格的にファンタジーが始まるぞ!絶対期限までにモノにして、聖女の御技を使えるようになってやる!!
次は魔力コントロール回です。
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