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13 お茶会の二次会は女子会でパジャマパーティー

結局、寝落ちしました。体力のなさが辛い。

パジャマパーティー回です。

よろしくお願いします。

 あの後は他愛ない会話をしながら食事を済ませ、アーテルを子供部屋に招待した。普段、食休みを兼ねて、就寝までここでアーサーと遊んで過ごす。お泊まり会は子供部屋の昼寝用の寝室ですることになってる。残りの二人が来るまでは私たちもアーサーと遊んでよ!って、まあ、我々は大人視点で見守っているだけなんだけど。


 今日はお泊まり会だからね!大人たちが何時に終わるか分かんないし、みんなには泊まってもらうからね!悪役令嬢のパジャマパーティーだ!


 子供部屋の扉が叩かれる。モリーが少し顔を出して、誰かと話をしてる。着いたかな?


「メリディエス家スカーレット様、オッキデンス家オリヴィア様、到着されました。こちらにお通ししてよろしいですか?」


「そうしてちょうだい。」


「かしこまりました。」


 モリーが扉の外の人に二人を呼ぶように伝える。五分くらいしてから、二人はそれぞれ侍女を一人連れてやってきた。


「アーサーさま、ヴィオラさま、ごきげんよう。おまねきによりはせさんじました。」


「こよいはごしょうたいいただきありがとうぞんじます。」


 二人はそれぞれ挨拶をしてくれた。それぞれ、可愛らしいネグリジェ(って言っていいのかな?)を着ている。私もアーテルも同じような格好に着替え済みだ。


「きてくださってうれしいわ。おふたりともっとおはなししてみたかったの。きゅうなおねがいをきいてくださってありがとう。」


「とんでもございません。」


「こうえいでございます。」


「だあれ?」


 アーサーが二人に続いて口を開いた。右手をパーにして、前に出している。そうそう!人を指差しちゃダメだもんね!パーもよく分かんないけど!


「だ、だんざいぽーず……!!」


 小さくオリヴィアがつぶやいた。あー、確かに悪役令嬢に断罪を言い渡す時って、メインヒーローの手がバッ!と前に出てるわ。分かる。


「おひるにあったおふたりよ。」


「ふうん。」


 アーサーはもう興味を失くしたみたい。もうっ!気まぐれさん!


「アーサー様、さ、お休みの時間ですよ。」


「えー、あそぶー!ぱっかぱっかぱっかぱっか、ひひーん!」


 アーサーはモリーの申し出を拒否して、大好きなお馬さんのぬいぐるみでごっこ遊びをしている。いつもなら、あと少しだけと言っちゃうところだけど、今日はごめんね!お姉ちゃん、お話があるの!


「アーサー、あしたまた、あさからあそびましょう。おうまさんをみにいくのもいいわ。だからもう、おやすみなさい?」


「ねる!おやすみ!」


 アーサーは何故か私の言うことはよく聞いてくれるのよね。モリーは苦笑いしてる。


「ヴィオラ様、わたくしも一度失礼致します。アン、後をお願いします。」


「かしこまりました。」


 モリーはアーサーの寝かしつけをしなければいけないので、私たちのお世話はお母様の侍女の一人アンの担当になる。昔は夜泣きが酷かったんだけどね〜!今は精神が安定しているからか、朝までグッスリ。

 でも、寝つくまで手を握ってもらわなければ眠れないらしく、ルーシーがいない今、モリーでなきゃダメなのよ。月に一度の休みも夜には寝かしつけに戻ってくるし。モリーに休みをあげたいわ。

 というか、寝かしつけを私がしたいんだけど、家族でも男女が一緒に寝るのはダメなんだって。昼寝だって本当はいけないんだけど、昼寝用寝室にはベッドが二台あっても私が我儘を言って一緒のベッドで寝てる。


「アーサーでんかとヴィオラさまはなかがおよろしいですね。」


 オリヴィアは不思議そうな顔してる。まあ、ゲームじゃ決して仲がおよろしくなかったもんね。


「そうですわ。おかしいかしら?」


「いえ、けっこうなことですわ。」


 うーん、私のこと転生者って気付いてるのかな?半信半疑ってとこ?一応、微笑んでおけ。ニッコリ!


「さあ、わたくしたちもじじょたちにおこられるまえに、おへやにいどうしておしゃべりいたしましょう。よるはながいようでみじかいわ。」


 体力的な問題でね!


 続き扉を開けてもらって、寝室へレッツゴー!空いたスペースに普段は敷かれてない大きな羊毛ラグとぬいぐるみ、クッションが置かれていた。話したければここでゴロゴロしろってことかな?


「みなさまの侍女を宿直室へ案内して参ります。」


「よろしくてよ。よいこにしているから、いそがなくていいわ。いってらっしゃい。」


 アンと侍女たちは一礼して退室した。扉がきちんと閉まったのを確認して……ウン、大丈夫。外には衛兵がいるだろうけど、王宮の扉は分厚いから、そうそう声が外に漏れないはずだ。


 クルンと振り返ると、みんな立って待ってた。あー、ごめんなさい!先に座るように言えばよかった!


「えんりょせず、おすわりになって。おやすみのまえにすこしおはなしをいたしましょう。」


 四人で円座になる。時計回りに私、アーテル、スカーレット、オリヴィアの順で座った。アーテルと目が合う。お互いに小さく頷いた。アイコンタクト!仲が良いみたい!久しぶりの友だち感にドキドキするよ!


「みんな、きてくれてありがとう。あつまってもらったのにはりゆうがあるの。ひるま、アーテルともはなしたんだけど、あなたたちてんせいしゃよね?しかも、にほんじんじゃない?」


 スカーレットとオリヴィアは顔を見合わせた。びっくりしてるけど、そこまでの驚きはないみたい。急に砕けた話し方したからかな?やっぱり薄々勘づいてた?


「はい。そのとおりです。」


「わたくしもです。ヴィオラさまもですか?」


 スカーレットさんのご質問です。


「うん。アーテルもだよ。」


 アーテルが頷いてる。勘違いでなくて良かった。話がスムーズに進む。


「やはりそうなのですね。」


「きづいてた?」


「ええ。おふたりはこのせかいのことはごぞんじなのですか?」


 今度はオリヴィアさんのご質問です。


「おとめゲームの『キミコイ』のせかいよね。ふたりもしってるんでしょ?」


「はい。ぜんせでプレイしてました。わたくしたちのさいごのきおくも、『キミコイ』のぶたいをみおわったところまでです。」


 スカーレットも同意した。雰囲気的に私の両脇にいた二人かな?


「わたくしもよ!アーテルは?」


「わたくしも……では、やはりあの地震のせいなのですね。」


 アーテルは渋い顔をする。あの時のことはあんまり思い出したくないよね。


「あなたたちはいつおたがいがてんせいしゃだとわかったの?」


「わたくしたちがいしそつうをとれるようになって、すぐにわたくしからオリヴィアへききました。わたくしたちはあかごのころからめんしきがありますが、おふたりとおなじようにゲームのオリヴィアとはせいかくがちがうようにかんじました。おなじとしごろのこどもならきおくがなければりかいはされないとおもったので、きいてみてはんのうがあれば、とおもいまして。」


「わたくしたち、ゲームのヴァイオレットとアーテルと、そんなにちがうかしら?」


「ヴィオラさまはアーサーさまをきらっておられませんし、アーテルさまはなによりすでにせいじょのみわざをおつかいになられます。ストーリーどおりならば、せいじょのみわざのくんれんがはじまるのは5さいになってからです。あまりにもはやすぎます。」


 オリヴィアが教えてくれた。そんな話あったっけ?よく覚えてるなぁ。


「ゲームでそんなこといっていたかしら?」


「ファンブックにかいてありました。ほんらいならばわたくしたちはよにんそろって5さいから、このおうきゅうで、カスミさまのくんれんをうけるはずなのです。」


「ファンブック……?」


 アーテルは知らないのかー。かく言う私も存在は知っていても読んだわけではない。買いづらかったんだよ〜!電子書籍があるのも分かってたんだけどさ。


「ごぞんじありませんか?」


「アーテルはゲームのことにくわしくないのよ。」


「でも、おなじげきじょうにいらしたのでは?」


「わたくしは仕事の関係で招待を受けて、あの日は前方の関係者席で見ておりました。ゲーム自体はしたことがありません。ストーリーはあの舞台の話くらいしかまともに分からないのです。」


「そうだったのですか……。ならば、なおさらふあんでいらっしゃいますよね。」


 オリヴィアが心配そうな顔してる。そりゃそうだろう。アーテルが一番断罪される可能性が高いんだもの。


「アーテルさまはかんけいしゃだったのですか!?どのようなごかんけいで!?」


 スカーレットが食いついた!前のめりだ!アーテルが引き気味になって仰け反ってる。


「わたくしはゲームの音楽を担当しておりました。制作会社に友人がおりまして、その縁で……」


「にわとうこ!」


 アーテルがムッとした!だって、あのゲームの音楽って丹羽瞳子さんだよね?あ!私が呼び捨てにしたから?謝った方がいいかな?


「ご、ごめんなさい……。」


「いえ、良いのです。ご存知だったのですね。」


「だって、ゆうめいなかしゅじゃない。わたくし、がくせいのころはあなたのうたをよくきいていたのよ。」


「そうだったのですか……。ありがとう存じます。」


「『キミコイ』のゲームがいしゃのほかのさくひんにも、きょくをていきょうされてましたよね?」


 オリヴィア、よく知ってるな〜。私たちの中でゲームのことに一番詳しそう。


「ええ。大学時代の友人がシナリオライターをやっていたので、よく依頼を受けていました。」


「わたくし、そのライターさんのゲームがすきで、よくやっていたのです。こんなところでせんせいにおあいできるなんてこうえいですわ!」


「せ、先生……?」


 オリヴィアも前のめりだ!アーテルがもっと引いた。

 ていうか、スカーレットさんよ。またまたスカーレットさんよ、って言っちゃうけど、ずっとわなわなと震えていらっしゃいますが、大丈夫ですか?


「すばらしいですわ!ああ、このであいにかんしゃを!わたくし、ゲームのおんがくもすばらしいとおもっておりましたが、ぶたいのうたがほんとうにすきですきですきで、とくにジョエルさまのうたがせつなくて!」


 スカーレットがグイグイ来るからとうとうアーテルが後ろに手をついちゃったよ。情熱がすごいな、この子は。そろそろ助け舟出すか。


「あ、ありがとう存じます……。」


「とりあえず、あくやくれいじょうがみんなてんせいしゃとわかったところで、じこしょうかいしてみない?」


「昼間にしましたでしょう。」


「ぜんせのじこしょうかい!んー、なまえ、ねんれい、しゅっしんち、しょくぎょう、さいごにひとこと、ってかんじでおねがいします!まずはいいだしっぺのわたしからね!」


 さてさて、自己紹介タイムだよ!合コンみたいだね!行ったことないけど!

お読みいただきありがとうございます!

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