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悪役同盟!〜同じ事故が原因で転生した4人の悪役令嬢は同盟を組んで断罪を回避したい!〜  作者: 里和ささみ


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100 南部災害復興軍祝福隊③

お楽しみいただければ幸いです。

よろしくお願いします。

 今朝もはよから起こされて、被災地の仮設住宅に暮らしている被災者の慰問。概ね昨日と同じような感じ。この辺り、お年寄りが多いみたいで、限界集落になりつつあるっぽい。


 農業やりたくないという若者が多いらしい。離農者が増えるのは痛いなぁ。とりあえず、現役で働いてる四十代〜五十代の人たちがメインでなんとかしてるんだけど、そのうち今みたいな量の小麦が収穫できなくなるかもしれないって。


 国内有数の穀倉地帯というのはアークトゥルス全体のことだけど、イザルと次に行くプルケリマが結構な割合を占めている。ボオーテス川のお陰で肥沃な土地なんだよね。ナイルのめぐみ的な。

 職業の自由はあった方がいいに決まってるけど、離農は本当に困る。ちょっとよく考えないとダメだ。若者取り込んでいかないと。


 アークトゥルスの領主も昨日の転移の隙間に挨拶した程度だけど、今日からの祝福は一緒に周るって話だから、少し話をしてみようと思ってるって言ったら、また自ら面倒事を増やして、とアーテルに言われた。

 大事なことだもん!しょーがないじゃん!フェリクス伯父様だけは話を聞いてくれた。真面目長男、頼りになる。


 今日はぬかるみも行くので馬移動。私はおしりが不安です。軍馬はよく躾けられていて、泥の中でも怯まず進んでいく。重馬場が嫌いな競走馬もいるよね。馬が好きな妹の旦那さんが言ってた。競馬好きな国の人だからね。


 私はギルバート、アーテルはブライアン、スカーレットはフェリクス伯父様、オリヴィアはオースティン伯父様と馬に乗る。高くて怖い。

 めずらしくアーテルが嬉しそうにしてる。トコちゃんは乗れたんだもんな、馬。


 私たちは私デザイン、木綿の作業着に着替えております。侍女たちには複雑な顔をされたけど、どうせ泥で汚れるんだもん。別に気にしないもーん。

 襟のない丸首のシャツに、もんぺみたいなズボン。パジャマみたいだけど、実用性優先だから。装飾なんぞいらんから。


「こちらでございます。」


 瓦礫は撤去されてるけど、泥まみれの現場。なぎ倒された小麦の跡が痛々しい。

 イヴ伯母様が王都から緊急帰還したのは一か月ちょっと前。盆地の七割が水に浸かったというけれど、ほとんどの地域は水が引いて乾燥してた。

 馬で歩く道すがら豊穣祈念をしてきたけど、こんな風に被害の痕跡が生々しく残ってるところがなかったから、みんなショックを受けている。


 被害の範囲は広く、到底私たちだけでどうにかなるものでもないけど、とりあえず、川に一番近い、水気がまだ残っているところをどうにかしてもらいたいとのこと。

 うーん、実際にどうにかするしないじゃなくて、私たちがここに来て何かしたっていう事実が欲しかったのかな?王族も被災地のこと気にしてるよっていうパフォーマンスに使われているような気がする。


「どうしよっか。」


「まず水分を取り除く?」


「でも、はっこうにはすいぶんもいるわよね?」


「これだとみずがおおすぎない?」


「とりあえず、きしのせいかつようすいようのみずのかくほをしよう。たる、おねがいします。」


 リアカーに樽を載せて引っ張ってきてくれた騎士たちに声をかける。身体強化してるから、水入れた樽でも余裕で運べるらしい。荷馬車で来られるところまで来て待機してる人たちがいるから、そこからベースキャンプに運んでもらう予定。


「まずさぎょうこうていのかくにんね。」


「集めた水を魔力球で維持して樽に移す、でしょ?」


「おうとでじっけんしたとおりでいいのよね。」


「りょうはおおいけど、5にんならなんとかなるわよね。」


 水をどうにかしなきゃいけないのが分かって、魔力球で水を運べるのかって実験をみんなでやったんだけど、何故かオースティン伯父様が乗り気でさ。

 理屈もすぐに理解したし、無詠唱も平気でやるし、ガッツリ戦力に入ってるんだよね。


 水が魔力球から漏れないでよかったよ、ホント。フラスコに入ってるイメージで魔力の密度を高めて硬質化させたんだけど(防御壁と同じ原理)、出来ると思ってなかったから安心した。蒸発させてもよかったんだけど、蒸し蒸しだと疲れるじゃん?


 みんな魔力増えたし、操作も上手くなったし、バカでかい魔力球を作れるようになったのも大きかった。あとは身体強化で運ぶだけ。


「よし、はじめよう。」


 みんなで泥に手をついて、魔力でこぼさないようにしながら水だけを集めていく。範囲をどんどん広げていって、身体強化で持てる程度の大きさまで水が入ったら、樽に水を移す。

 私は危うく樽の上で魔力球を破裂させるところだった。私のうっかり屋さん!めんどくさがっちゃダメだね。遠くからアーテルの冷たい目線が飛んでくるけど気にしないもんねーだ。


「樽に入り切ってしまったな。」


「残りは川に戻せばいいんだよね?」


「はい、オースティンおじさま。」


「よし、後は僕がやろう。」


「私もやろう。一気に終わらせるぞ。」


「フェリクスおじさま、ごらんになっただけでおわかりになりましたの?」


「ああ。無詠唱というのには驚いたが、原理を聞けばどうということはない。君たちは祝福に体力を温存すべきだ。この後は私たち任せてくれ。」


「そうおっしゃるのならおねがいいたします。」


 えー、ホントに出来るのかなぁ?なんて疑った私がバカでした。やったよ、この人。すごいよ、この人。そりゃ、騎士が束になってかかっても勝てないわけだ。オリエンス三兄弟、おかしいわ。


「あちらまで行くのは手間だな。投げるか。」


「そうしよう。」


 ふん!と二人同時に水の入った魔力球を決壊した堤防の向こう側に投げると、大きな水柱が立って、水は川に戻された。えっ?えっ?どうなってんの?結構な距離ありますけどぉ!?


「おとうさま!いまのはどのようにしたのですか?」


 オリヴィアがオースティン伯父様に聞いてくれた。


「リヴィが騎士団でやった追尾攻撃と似たようなものかな?魔力球に紐をつけるイメージで、ある程度コントロールしながらつなげたまま投げたんだ。川の水にぶつかった感じがしたから、そこで魔力球を解除した。そうすれば、魔力も多少自分に戻ってくるから魔力の節約になる。」


 なにそれ!おかしいわ!それができちゃう二人がおかしいわ!阿吽の呼吸で同じことやっちゃう二人がおかしい!


「とんでもない人たちね。」


 いつの間にか隣に来ていたアーテルが呆れた顔してこぼした。激しく同意します。


 その後、伯父様たちに何回か同じことをしてもらい、私たちは祝福をかけた。見せ場は完全に二人に持って行かれて、騎士たちとブライアンの尊敬の目は二人に注がれている。


 御技に喜んでいるのは伯父様二人だけであったとさ。馬に乗ってる時からずっと喜んでるよ、この二人。子煩悩だな。

お読みいただきありがとうございました!

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