08 その1
「こんにちは、モノカさん、今日は何用でしょうかっ」
こんにちは、アリシエラさん。
実は相談ごとが盛りだくさんなんですが、今日はお時間ありますか。
「ドントウォーリーを探せっ、ですよっ」
「つまりは相談しちゃって、いいとも! なのですっ」
今日も絶好調ですね。
それでは、遠慮なく。
問題その1、
まずは、不可視エレベーターシャフト衝突事故防止策の件。
飛行魔法が使える人は滅多にいないはずなんだけど、
実際にぶつかっちゃった人がいたんだから、放置は無責任。
早急になんとかせねば、なのです。
「看板、なんてどうでしょうかっ」
?
「鳥や飛行魔物は強力忌避結界で寄りつきはしませんが、問題は人身事故」
「どうやらヴェルネッサさんは、あの長ーいポールをもっと良く見てみようと近寄りすぎて、不可視のシャフトにぶつかっちゃったみたいなのです」
「つまり、対策すべきは人の好奇心」
「よって、ポールの先っちょに分かりやすい注意看板を載っけて、そっちに興味を引いちゃおうってことですよっ」
ふむ、面白いですね。
「そして、更なる問題は看板の文言」
「やっぱりここは目立つ感じでドーンと一発っ」
『特使勇者モノカ、ここにアリ!』
「なんてどうでしょうかっ」
あー、なんかスゴく恥ずかしいですね、ソレ。
出来れば 『近寄るな! 衝突危険』 みたいな、
個人情報ナシの看板でお願いしたいですね。
「ウハッ、キマシたよっ、モノカさん!」
ナニがですかっ。
「素晴らしいアイデアが、私たちの頭上にフォーリンラブ! ってことですよっ」
いや、ラブはご勘弁。
「あのメッタやたらと高いポールの先っちょに看板を付けちゃったら、簡単には描き替え出来ないのが難点」
ですよね。
「だったら簡単に描き替え出来るように工夫すれば、万事解決バンジージャンプ、なのですっ」
つまり?
「皆さんがスマキシリーズでお使いの携帯型魔導端末」
「あの画面表示技術を応用した看板なら、おうちに居ながらにして自在に描き替え可能、なのですよっ」
うは、ナイスアイデアっすね、さすがは天才アリシエラさん。
「いえいえ、このアイデアが降りてきたのは、私ひとりのチカラにあらずっ」
「ご主人さまもよくおっしゃってますっ」
「『ひとりで悩まず、みんなで相談』」
「つまり、モノカさんと私のコラボレーションであればこそっ、なのですよっ」
ありがとうございます、アリシエラさん。
つまりはロイさんと私たちのコラボレーションでもあるのですね。
「むはっ、上手いことおっしゃる」
「それでは、現在絶好調の私たちで、バンバン問題解決しちゃいましょうかっ」
それじゃ、いきますよ。