15 もやもや
えー、あれからさらにいろいろありまして、
ゼシカさんとは、とっても仲良しさんになれましたよ。
まあ、変身して鼻歌しながら踊っちゃうような先輩に、威厳もへったくれもないってことですよね。
うん、めでたしめでたし。
そして今は、ゼシカさんからのお悩み相談中。
私、それなりに先輩っぽいこと出来てるかな。
「もやもやしてるのです……」
どうやら、アランさんとの関係で、お悩み中の模様。
「アラン様があの槍を振るうたびに、気持ちがざわついてしまって」
あの槍ですか。
先日、アランさんたちがぶらり旅に出かけた際、
男旅だからという理由で置いて行かれてしまった『ゼファーシルエット・改』ことゼシカさん。
その旅でアランさんが選んだ相棒は、アリシエラさん新作の長槍。
名前は確か『リセマラ』
えーと『リプレイスメント セレクタブル マルチプル ランス』の略、だったかな。
ひとつの武器に出来るだけ様々な用途を付与する、がコンセプトで、
登録した使用者の音声で効果発動、だっけ。
「最近、お出かけも鍛錬もあの娘とばかりで、スピアモードの私は用無しみたいなのです」
つまりゼシカさんとしてはずっといっしょなんだけど、『ゼファーシルエット・改』としてはご無沙汰だと。
「私なんて、もう飽きられちゃったのでしょうね……」
たぶん違うと思うよ。
「?」
アランさんがフルリちゃんを片手剣として使わない理由、思い出してみて。
「汚したり傷つけたり折れたりさせたくないから……」
同じじゃないかな、ゼシカさんにも。
「それでも私は、誇り高き『ゼファー』の血統」
うーん、気持ちは分かるけど……
そうだ、ゼシカさんてもしかして"つくも神"同士なら顕現していなくても会話出来たりしない?
「シスカ様の『守り手の片翼』様方とでしたら、幾度か」
よし、ちょっと待っててね。
「『ゼファー』お姉さまに御相談を?」
そう、こう見えて結構頼りになる、はず、だよ。
「では、失礼します……」
ゼシカさんが『ゼファー』に額をくっつけて、祈るように目を閉じたよ。
頼むよ『ゼファー』、って言うか師匠。
アドバイスよろしくっ。




