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「貴方は……?」
思わず声をかける。髪は黒くとても短く、あまり肉感が無い線の細い体型。そしてどこか冷たい雰囲気を感じる。
「……下がっていて。」
少しこちらに振り返ると赤色の三白眼で鋭くこちらを見てきた。冷たい声、でもまだ高校生らしい声で私に伝える。
そして彼女の目の前には先程と同じような何かが迫ってきていた。数十匹、弧を描くようにセーラー服の少女を囲む。それを見ると刀を両手で持ち地面を蹴り狼らしき何かに向かっていく。
「爆雷。」
セーラー服の少女が何かを呟くと丸いものを周りにまき散らす。それが狼のような何かに当たると体が震えるほど大きな音を立てて爆発する。想定していない音に耳を塞ぐことに遅れ、耳鳴りがやってくる。
耳に当てていた手を離し、セーラー服の少女を再度見ると刀を振りながら敵をなぎ倒していく。やられていく敵は電子のように消えていき、跡形もなくなっている。
「キリがない。」
電柱に張り付くように捕まると勢いよく飛び出し、回転切りで切り刻んでいく。その姿になぜか見とれてしまっている。恐怖で動けないはず、思考が定まらないはずなのに手が勝手にカメラを持つ。戦う彼女に焦点を合わせ、シャッターチャンスを探る。
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セーラー服の少女が最後の一匹を斬った瞬間、シャッターがおりる。真剣な眼差し、感情というものがあまり出てこない表情ではあるけれどもそれが良かった。また異質な空が背景にあるのも彼女を際立たせている。
「……。」
彼女は一呼吸おくとその場から消えるように去っていく。思わず「待って。」と声を出した時にはすでにいなかった。周りには先ほどの女神らしき存在もいない。ものすごい勢いで疲れがやってくる。力が抜けたように地べたへと座る。
────
座った瞬間、急に周りが騒がしくなる。見渡すと元の世界に戻されたのだろうか、帰路へ向かうコスプレイヤー、カメラマンたちが歩いていた。蹴られてねじ曲がっていた電柱は元に戻っている。
「どうしたの? 叶大丈夫?」
サナサナが声をかける。地面に座っていた私を見て不思議そうな顔をしている。それもそのはず、ただの道で地面に座っているのだから何かがあったに違いないと思うはず、もしくは変な人だと思われているかのどちらかであろう。
「写真……。」
思わずカメラを見る。そこには先ほど撮影していたセーラー服の少女の写真が残っていた。
「なにこれ! すごい! めちゃくちゃ綺麗に撮れているじゃない!」
「いや……えっと……。」
この写真の説明をなんと言えば良いか分からなかった。先ほどまで起こっていた事はいったい何なのだろうか。私が考えているより何かおかしなことでも起きているのだろうか。
「ねえねえ、その写真のことも聴きたいけど私の写真も見たいから。早くご飯に行こう!」
「あ、うん……。そうだったね、ごめんね。」
訳が分からないまま私は答える。このことは果たして他の人にも聞いてよい事なのだろうか、それとも私自身でとどめておくべきことなのだろうか。そんなことを考えながら荷物を持ち、サナサナと共に歩きだす。




