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Rise in Labyricia  作者: 爽風
第1章 ダンジョン始動
4/10

ドキドキ☆初ダンジョン探検!



「なんとか完成したな」


「そうですね、私も無事完成させられることができてほっとしています」



 そう、急ごしらえではあるが、ダンジョンが完成したのだ。



「しかし、完成したのはいいけど実戦はまだなんだよな……」


「大丈夫です!そんなに不安に思うことはありませんよっ。『初めてにしては上出来』なんて言葉では足りないくらいにはいい出来です!!!」



 アスナにも太鼓判を押してもらったし、自分でもそこそこに防衛力はあると自負しているが、いかんせん不安が大きい。



「だといいけど。………!?」



 なにか実験台みたいな奴でも来ないだろうか………などと思っていると、何かが体内に入ってくるような感覚があった。



「どうかしましたか?」


「いや、なんか体内に何かが入ってきたような感覚が……もしかして、これが…………?」


「正解です。よく分かりましたね」



 どうやら早くも冒険者がやってきたようだ。



「えっと、どうすれば確認できるんだ………?」


「あっ、えっと………【迷宮観察(ダンジョンビュー)】を起動すれば確認できるはずです!」


「分かった」



 アスナの指示に従って、ダンジョンビューを起動してみる。

 そこには貧弱そうな装備を身に纏っていて、しかし生命力と活力に満ち溢れ、どこかまだあどけなさを残した若い冒険者の姿が。



「こいつが初めての客か」


「のようですね」


「見た感じ弱そうだが……強かったりするのだろうか?」


「あっ、そうだ。マスター、【ステータス閲覧】で相手の能力を確認できますよ」


「なるほど」



 ステータスを確認してみると………




───────────────────────

アルト

 LV:7

 種族:人間(ヒューマン)

 状態:普通

 HP(体力):76

 MP(魔力量):34

 STM(スタミナ):54(59)

 ATK(攻撃力):33(43)

 DEF(防御力):17(25)

 MGI(魔力):10

 AGI(素早さ):21

 TEC(器用さ):15

 LUC(幸運):9


スキル

・スラッシュ〈SLV(スキルレベル):3/10〉


装備

 武器:銅の剣(ATK+10)

 頭:なし

 体:皮の胸当て(DEF+8)

 手:なし

 足:皮の靴(STM+5)

───────────────────────

【スラッシュ】

 〔刃のある武器に闘気を纏わせ、斬撃の威力を強化するスキル。SLVが上がるにつれて威力の上昇幅が上がる。SLVがMAXになると、名称が飛剣閃(スラッシュ)に変わり、斬撃を飛ばせるようになる〕

───────────────────────




 スキルの説明も見れるようだ。有難い。



「どんな感じですか?ん、これは…………」


「間違いなく駆け出しの冒険者だな。できたばかりのダンジョンの試用運転にはおあつらえ向きの弱さだ」


「ちょっと言い方ひどくないです?」



 彼には悪いと思うが、本当に丁度いい敵が来てくれた。



「さて、初めての侵入者だ。ダンジョンの開放式のメインとして、丁重に殺して差し上げようじゃないか」






 僕の名前はアルトと言います。

 最近村を飛び出して、冒険者になったばかりの駆け出しです。

 冒険者になるって両親に言ったとき、お母さんは心配して引き留めようとしましたが、お父さんがお母さんを説得して送り出してくれたんです。剣までプレゼントしてくれました。

 もしかすると、僕が冒険者になりたがっていたのが分かっていたのかも知れませんね。

 本当に、僕にはもったいないくらいにいい親です。村の人達も、皆応援してくれました。

 皆の期待に応えるためにも、頑張らなくっちゃ!


 最初の頃は、ギルドの依頼でダンジョンから溢れてきた魔物の討伐を手伝っていましたが、ようやくレベルが、ギルドでダンジョンに潜ってもいいと決められている最低レベルの7まで上がったので、つい先程レプト山脈の麓で発見の報告があったダンジョンに来ました。

 いやぁ、ちょうど報告の現場に立ち会えたのはラッキーでしたね。一番乗りなんてワクワクしちゃいます。

 発生してすぐのダンジョンと言うのも調べがついているので、大丈夫なはず。最悪引き返せばいいですしね。




……


…………


………………




 ダンジョンの中は、よく分からないけど禍々しいオーラに満ちています。これが瘴気と言うものでしょうか………。

 確か、瘴気は自然発生するものではなくて、魔物から漏れ出ている魔力が変質したものだと、聞いたことがあります。

 人体には然程害はないらしいですけど、瘴気に当てられて、気分が悪くなる人もいるそうです。やっぱり個人差があるのでしょうか。

 実際、あんまり気分のいいものではないですね。


 ………あっ、なにかいますね。スケルトンだ。かなりメジャーな魔物です。

 ただの村人でも、ある程度腕っ節のある人なら勝てるほどだそうで。まあ、雑魚の代名詞とも言える魔物です。

 どうやら、向こうもこちらに気づいたようです。

 近づいてきているのが分かります。あちらの武器は……骨の槍(ボーンスピア)ですか。スケルトンの持つ武器としてはメジャーなものですかね。

 こちらを突き刺そうと、槍を突き出して来たところを弾いて、一閃。



「はあっ!」



 ………ふぅ、スキルを使う必要もないですね。これくらいなら、何体来ても余裕そうです。ちょっと不安もありましたが、これじゃ拍子抜けですね。

 その後も次々とやってくるスケルトン達を斬り伏せ、とうとう次の階層へ続く階段を見つけました。



「どうしましょうか。この程度なら行けそうですけど、あんまり奥まで行かないってユスフ先輩と約束してるしなぁ……」



 ユスフ先輩は、僕に【スラッシュ】や冒険者のいろはを教えてくれた、恩師とも言える人です。とてもいい人で、とても仲間想いです。

 今回も、ギルドに黙ってこっそりとダンジョンに行こうとした僕に気づいたのに、黙っていてくれただけでなく、ダンジョン攻略のコツまで教えてくれました。そのコツが活かせるほどの難易度のダンジョンじゃありませんでしたが。

 僕がギルド登録したあの日も、登録したばかりの見ず知らずの新人に、



『おい、そこの新入り!盗み聞きしたようでわりぃが、1つもスキル持ってねぇんだって?冒険者になりてぇなら、スキルの1つくらい覚えておいた方がいいぞ?』



 と、いきなり話しかけてきました。あのときは本当にびっくりしました。

 けど、このスキルのおかげで、何度助かったことか。

 そんな大恩人で、恩師でもある先輩との約束です。

 本来なら初めての探索ですし、様子見ということで一旦引き返すべきなのでしょうが、あまりにも歯応えが無さすぎたので、僕は少し調子に乗っていました。

 1階層でスケルトンしか出ないのなら、2階層だって余裕だろう、と。

 一番乗りというのも、降りようという決断を後押ししていました。

 もっと探索して、ギルドに情報を持って帰ろう。そんな気分にさせました。

 本当はただ行きたいだけだったのですが、『ギルドに情報を持って帰る』という大義名分を作った僕は、意気揚々と階段を降りて行きました。




 そうして嬉々として地獄へと飛び込むアルトを見て喜び嗤う者がいることを知る由もなく、アルトは鼻唄を歌いながら、ご機嫌な様子で階段を降りていった。

 罠に嵌ったことには、気づくこともなく。

前話の後書きの補足

 スライムの有用性に気づくダンジョンマスターは一定数いるよ。あとは分かるな!?

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― 新着の感想 ―
[一言] 読んでいて少しばかり重いなと感じました。何故か手が止まってしまうんですよ。あくまでもこれは私個人の意見です。中身はしっかり詰まっていますし続けていれば段々とブックマークは増えていくと思います…
2020/05/14 23:03 退会済み
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