第三章 調査 (連載)
藤井はすぐに家に戻り荒川義雄関連の資料をまとめすぐ奈良に向かったのである。
行きの新幹線でシュウマイ弁当を片手に資料を読み返すといくつか不審な点があることに気づいたのである!
まず『金銭トラブルと調査書には書いてあるが奈良のお金持ちが住む街で金銭トラブルってそれにしても不思議だよな?』また
『警察の当時の捜査によると侵入と同時に一家4人を一気に殺めた比較的短かな犯行だったと書いてあるが赤井は地裁で最後に吉井龍美さんの帰宅に3、4時間かかったと言っていた!短かな犯行と4時間では話が変わってくるな。関係ないが相変わらずシュウマイ弁当美味しいな!』
と言ってるうちに2時間半の新幹線はあっという間に過ぎ
新大阪から地下鉄・JR・近鉄を使い奈良に向かったのである!
すると旧吉井さん宅付近に到着すると聞き込みを行ったのであるがこれもまた不可解な点があったのである!
まず現場に1番近いお家のインターフォンを鳴らし
『お忙しいところ失礼します。ジャーナリストをしている藤井と言う者なのですが10年前のこの辺りで起きた事件についてお伺いしたいのですが?』と呼びかけた。
すると
『その事件は犯人が捕まったんだろ?なんで今更!家の近くで大事件あって大変だったんだよ!さー帰った帰った!』
藤井は内心冷たい人だなと思ったが
『すかさず真犯人が見つかりそうなので』とゆうと主人は奥様を連れて外まで出てきてくれた!
『お忙しい中失礼します!当時あの事件が起きてから警察から聞き込みとかありましたか?』
『あったも何も毎日新人の若い刑事さんが朝昼晩来て聞いて来たわ!』
『あの家の人とご近所付き合いはどうだの吉井さんと荒川さんの関係性とか!私達はあまりわからないけどよくゴルフクラブを一緒にスイングして談笑してたから仲が良いのかと思ったよ。どちらも挨拶はしてくれるし地区長とかもよくしてくれた良い人だったけどね。私達はあの人らがそうなるかね?と当時は思ってたわ』
『金銭トラブルとかあったって話はありましたか?』
『特に聞かないね!』
『お忙しい中ありがとうございました!これつまらないものですがどうぞ』
と東京駅で買った粗品を渡しました!
当時の地図と現在の地図を見比べて2軒以外は引っ越しをせず当時と同じ人達が住んでいた!スムーズに聞き込み調査はすすみ、最後の一軒で重要な証言を得たのであった。
『当時来た刑事さんは若い刑事さんでしたが過労なのか心身共にやつれた感じで覇気がありませんでした!すると決めつけるかの如く2人に金銭やご近所トラブルありましたよね?荒川さんが怪しいですよね?と言ったような事務作業的な感じではありました!私達はあまり2家族との接点もあまりありませんでしたし急いでたのでわかりませんと伝えたのですが知らない間に捏造されていたなんて!』と大変そうな表情で話をしてくれたのである。
『ありがとうございます!』と言って粗品を渡し東京へと帰る為来た道を帰り新幹線では名物の豚まんを片手に資料をまとめました!そして出版社にまとめた資料と奈良県警による怠慢な捜査による明らかな捏造冤罪事件だとタレコミに行きました。しかしどこも相手にされません!!何社か周りましたが記事にはしてくれなかったので藤井は自分のSNSを使い事件の全容から何故誤認逮捕され死刑判決を受けてしまったのか?また奈良県警は捏造したのかを発表したのです。
すると一気にツイート拡散されテレビなどでも取り上げられたのです。
そして府中刑務所で藤井は荒川と面会し独自に調査し新たな資料を荒川に見せました!すると荒川は言いました。
『僕も家族も絶対冤罪だと思って活動したがすぐかき消され何もかも信用できなくなったが藤井さんあなたには感謝してる!でももうこれ以上は結構だよ!真犯人が白状してくれた!これで死刑撤廃されたらそれだけで充分だよ!僕は生きたい!でもこれ以上藤井君が警察のアンタッチャブルな闇に足を突っ込むと藤井君の命までも危ない!だからそれ以上はもういいんだ!ありがとう』
藤井はジャーナリストを始めて7年であるが初めて涙を流したのである!しかしどうしても無罪放免を叶えたいと強く願っていました!この資料を荒川の事件を担当していた弁護士に託し藤井は新しく調査に取り掛かる矢先でした。
藤井は荒川が思っていた通り目に見えない力によって捻り潰されたのである享年52歳
死因は一酸化炭素中毒による自殺である!
しかし自殺をするほど追い詰められている訳でもなく不自然な死である。
そしてすでに大阪地裁で全てを白状した赤井隆は大阪府警により緊急逮捕されており裁判を待つのみであった!