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22話 ネムへの質問

 

 ネムは話を終えると俺の顔を見つめる。

 そして俺も合わせるようにネムの顔に視線を向けた。
















 作成ツール:ガン見してぅるメーカー

挿絵(By みてみん)


 まじまじと見た事が無かったが、ネムの目は2色に染まっている事に気付いた。

 右目が赤、左目は青だ。

 暫くするとネムは静かに視線を落とし、口を開く。


「アタシ、ラドウを許さない。弱みにつけこんで、アタシの気持ち・・・を弄んで、終いにはてられた。アタシ、ラドウを殺したい!」

「……良いだろう。だが、最初の一回・・は俺にやらせてもらう。その後は好きにしろ」


「……わかったわ」


 こうして、俺とネムの奇妙な協力関係が確立した。


 続いて、ネムが人差し指を立てる。


「敵を倒すには、まず敵を知る事。教えてあげるわ、ラドウの事……」


 ネムの情報によると、ラドウという名の由来は暴言や暴力で虐げられた科学神ラドゥエリエルが由来だそうで、本名は小保方秀樹と言うらしい。

 あの廃墟に篭り、本名を捨てて奴等を見返してやると吐露していたという。


 俺は小保方秀樹という人物を調べる為に、左手にスマホを複製する。


 検索エンジンに名前を入力すると、情報が表示された。

 どうやら昔に科学者としては追放されているようだが、それ以外の情報を得る事は出来なかった。


 熱い視線を感じ顔を上げると、ネムがスマホを指差し驚愕の表情を浮かべている。


「どうした?」

「よく考えたらおかしいじゃない! だって、アンタの体からは何でも生み出せるんでしょ? そんなこと……」


「今更、何を言ってるんだ?」

「い、今までは気にする余裕が無かったのよ!」


「そうか……でも、俺だって何でも複製出来るわけじゃないぞ。複製出来るのは捕食した物だけだ。それと、もう一つ」


 俺はテーブルの上に置いたネムの服に意識を向け、命令を下す。


「戻れ!」

「ドロッ……」


 すると服は水色の半透明なスライムとなり、テーブルの上に広がった。

 ネムは一連の流れに目を丸くする。


「なっ……スライムに戻す事も出来るの!? 何て能力なの……」

「だが、俺にも出来ないことがある」


 テーブルの上のスライムを使い再びネムの服を複製する。

 そして左手からライターを複製し、服に着火した。

 暫くすると服は灰となり、テーブルには焦げた跡が残る。


「こんな風に複製した物質が変化してしまうと、スライムに戻す事は出来ない。これが俺の能力だ」


 灰をテーブルごと捕食し、新たなテーブルを複製しながらネムに説明した。

 ネムは訝しみつつも、ふむふむと納得している。

 俺は、ふと気になることを思い出し、ネムに質問を始める。


「ところで、廃墟の4階に墓のようなものがあったが、あれは何だ?」

「ああ、あれはね。アンタが食べた子が作ったものよ」


「俺が食ったって、あのゴーレムの事か?」

「そうよ。あの子には雑用をお願いしてたんだけど、その合間に作っていたわ。4階は特に使ってないから、あの子の好きにさせていたのよ」


「そうか……それともう一つ。これは1階に落ちていたものだが、この薬は何だ?」


 俺は廃墟の1階に落ちていたビンを複製し、テーブルの上に置いた。


「これは“ブラッカ”という薬よ。投与すると体が溶けるような衝動と共に、脳や体が変化するらしいわ。その変化に耐えられなかった人間がゾンビ化するのよ」


 この薬はゾンビ化の薬らしい。

 俺もうっかり服用してしまったが、気が付いたらスライムとなっていた。

 それはおそらく“体が溶けるような”衝動により、無意識にスライム化した為だろう。

 一歩間違えれば俺もゾンビ化していたかもしれない。

 この薬は慎重に扱う必要がありそうだ。


「ゾンビ化した人間を、普通の人間に戻す方法はあるのか?」

「それは出来ないわ。出来るとしたらラドウが何か知っているかもしれないけど、少なくともアタシは知らない……」


 ネムは肩を竦めながら答えた。

 そしてもう一つ質問を投げ掛ける。


「そうか。では最後に、ラドウが俺を溶かした薬は何だ?」

「あれはアンタの体から作った特製の薬よ。名前は無いの。アンタにしか効かない薬だから、名前を付ける必要が無いと言っていたわ」


「……わかった。質問は以上だ」

「ええ。また何か知りたい事があれば教えてあげる」


「ああ、頼む」


 話が終わり時計を見ると、時刻は22時を回っていた。

 俺はゆっくりと立ち上がり、テーブルを挟んだベッドの向こう側まで歩く。


「今日はもう遅い。寝るぞ……」


 そして左手からベッドを複製し、指をさす。


「ネム、お前はこっちで寝ろ。シャワーは自由に使っていい。良いな?」

「わ、わかったわ……本当にアンタ、何でも作れるのね……」


 ネムは静かに頷くと、口元を痙攣らせながら呟いた。

 俺は、それを聞き流すと、ベッドに横たわり眠りに就く。


拙作をお読みくださりありがとうございます。

お気に召しましたら、ブックマークを頂けると嬉しいです。


次回の更新は2日の予定です。

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