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春はその笑顔が大好き。  作者: ひーさん
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第四話ーー完





そして来たる入学式。

桜が満開し、風が吹き乱れ、花弁を辺りに散らし、新入生を歓迎する。

茜とクラス分けを見ながら、同じクラスだった事に歓喜し、互いに喜び合った。

然し、悠太の名前を発見し、受かった事に驚かされたが、他クラス出会った事に安堵する。


悠太の奴はこの高校でもイケメンで有名になった。

本当に他クラスで良かったよ。

私と茜は中学の頃は帰宅部だったので、一緒に何処か部活に入る事にした。


「うーん・・やっぱ、料理部かなー。」


「いや、でも見た感じ、お遊びって感じで、本気の私達には合わないと思うよ。」


「そっかー・・・。」


「あ、これとかどう?ブラスバンド部。食事には音楽は付き物だし、ちょっとくらい知ってても良いと思うし、雰囲気も気楽にやれそう。」


「いいね。乗った。」


画して、私達はブラスバンド部へ。

なんと、新入生は私達だけで、三年生は受験で辞めていって二年生が三人いるだけだった。

二年生の三人はトランペット、トロンボーン、アルトサックスで、リズムと低音が居なかったのでとても歓迎された。

私はベースを始める事になって、茜はドラムだ。

なんでも先輩方が残していった楽器があるそうで、借りる事ができた。

fenderって言う、一番ベースで有名ないい楽器だそうで、最初からこれ使えるなんて幸せ者だよーと言われた。


最初の頃は、全然上手く弾けなかったんだけど、お父さんが昔、ベースをやっていたらしくて、教えて貰えた事で、文化祭の数週間前には、ある程度簡単なものは弾ける様になった。

茜の方も、顧問の先生がドラムをやってたそうである程度エイトビートと簡単なフィルインをマスターしていす


「よし、文化祭に向けて、リハ増やして行きますから、本番を意識しましょう!」


部長さんの掛け声で士気が高まる。

そろそろ文化祭で発表だ。

部長さんが、本番は好きな衣装を用意してねー、と言っていたので、今日は茜と衣装探しに来ていた。


「あ、それいいね。」


「茜もそれ良いじゃん。」


「でしょ。」


衣装も決めて、本番に臨む。

因みに、私が買ったのは白のワンピースに淡めのブラウンのジャケット、それとハット。

いや、それ衣装と言うか、ただの私服じゃない。

と思うでしょうけど、我らがブラバン部はjazzバンドなので。

落ち着いた格好であれば問題無いそうだ。

さすがにタキシードはちょっと。

ってことだったのでそういう事にした。

閑話休題。

私達の出番は一番目だ。

落ち着いたものから始めるのが良いだろう。

との事で、jazzバンドであるブラバン部が、雰囲気を出してからどんどん盛り上げて行くと決まったそうな。


本番。ステージに立つ。

部長のいつもの落ち着いたACで、部員も私も落ち着きを取り戻し、演奏に集中できた。

演奏が終了した後、かなり、良い反応が貰えて、大いに喜んだ。

高校生だからJAZZでも行けるのであろう。

中学だとjazzバンドなんかしても皆んな頭にハテナマークなんでは無いであろうか。


「よぉ!春!久し振りだな。」


悠太が話しかけてきた。


「な、何?」


有名人の悠太が話しかけてくるから周囲の注目が春達に向く。

まぁ当人らは気づいてない様であるが。


「何って、そう。話があるから、ちょっと来て。」


「は、話って、突然なに。」


「いいから。」


そう言って、悠太は私のてを掴んで引っ張っていく。

不覚にも悠太の手に心臓が跳ねる。

春は自分を誤魔化す様にかぶりをふる。


今は、文化部が発表しているので、ほぼ全生徒が体育館に集まっているため、露天と一部の教室以外にひとは居なく、中庭には誰もいない。

何の用だ。

私は身構える。


「ま、まずはいきなりごめん。で、でも、これは言わなくちゃとおもって。あの、さっきの発表みて。」


な、なにそれ。

私の演奏がひどかったって笑うためにこんなことをしたのか。


「良いよ、私の演奏がひどかったことなんて分かりきってるわよ。そんなこと言うために、連れ出して。何でそんな嫌がらせ・・。」


「ちっ、違う違う!かっこ良かったって思ったから!」


「へっ?」


「うん、かっこ良かった。春の服も似合ってて、可愛くて・・・。」


「かっかかっかわいいいい!?!


なっ!なななっ!?なに言ってるの悠太。

私の心臓の鼓動が早まる。

対する悠太も顔が紅潮している。

どっ、どういう事!?

春は少し思考が止まりかけている。


「俺さ、元々は地元校志望だったんだ。でも春が違う学校だって、母さんから聞いた時、すっごい胸が苦しくなったんだ。元々その時に春とも疎遠になってて、ほとんど話す事もなくなってて、毎日が楽しくなかった。彼女といても、全然楽しくなくて、すぐに別れた。それで俺、気付いたんだ、春がいないと楽しく無いって。それで俺、春を追っかけてこの学校に来たんだ。」


「な、何、何それ・・っ!!」


私は顔が涙でぐしゃぐしゃになった。

嬉しいのに、私は悠太が大好きな気持ちは変わってなくて嬉しいのに涙が止まらない。

訳が分からなくなって、その場から走り出す。

体育館にいるであろう茜に助けを求めて体育館に走り出す。

茜なら私を正気に戻してくれるんじゃ無いかと思って涙でぐしゃぐしゃの顔を見られる事も気にせずに、全速で走る。


「ま、まって!春!!はるーー!!!」


対する悠太も真剣に追いかける。

周囲の人は泣きながら走る女生徒に、名前を呼びながら追い掛ける男子生徒に唖然としながらも興味のある視線を向ける。

やがて体育館に差し掛かる。

見つけた!茜だ!茜!


「ううっ。茜ーー!」


春は茜に飛び込む。


「ど、どどどうしたの!?」


茜は壮絶な様子の春に驚き、後ろの悠太を見て悟る。


「おい、早川悠太、私の春に何をした。」


茜は、ぞっとする様な冷徹な目で悠太をみる。


「俺はっ、春に伝えたい事をつたえようとしただけだ!春の事が好きだって。」


「へっ?」


茜の胸の春が、この場の雰囲気に似合わない素っ頓狂な声を上げる。


「な、何を言ってるの、悠太、だって悠太は、私の事なんて、嫌いで!どうでも良くて!あの時だって!私の事振ったじゃない!」


「ご、ごめん。あの時は、春の事、そんな風に見てなかった。でも春がいなくなると思ったら目の前が真っ暗になって、でも、春を追っかけて頑張れた。ギリギリだったけど、此処にも合格できた。」


何言ってるの、馬鹿じゃないの。


「でも、俺、この学校じゃ、底辺の中の底辺だし、そんなんじゃ、ダメだと思って認められる様に頑張った。毎日必死に勉強して中間程度の成績は取れる様になってきて、それでも頑張って。春に追いつきたいから。またあの頃みたいに、いや、それ以上に対等になりたくて。」


何を。


「うっ・・・うぅ。ばかぁ。」


「でもさっきの演奏みて、春の事が好きな気持ちを抑えきれなくなって、好きだって伝えたくなった。春。俺は、春が好きです。付き合ってもらえませんか。」


何を言ってるの。


「ぅっ。ばっばがばがはがー。ぞんなの、良いに決まってるじゃんかー!!」


涙が溢れて、まともに会話もままならない。


「本当に?俺で良いの?こんな中途半端な俺で。」


「だっで、前のままの悠太でも大好きだったんだよ。こんなに私のために頑張ってくれるなんて。」


もうひどい顔であろう。いや、もともと私達には、ロマンティックな告白なんて合わない。こーゆー告白があってる。泥臭くて、正直で、真っ直ぐで。こんなのがあってる。いや、こんなのが良いんだ。


「本当に?付き合ってくれるの?」


何を言ってるの、そんなのーーーー


「良いに決まってるじゃない!!!!」


春満面の笑みでそう答えた。

茜はやっとか、とでも思ってそうに溜息を吐く、

悠太は感極まってバッと春を抱き締める。

春はびっくりしながらも悠太の背中に手を這わせた。


ーー瞬間、ワッと歓声が起きる。


ああっ!ここ体育館だった!

全国生徒からの歓声。

「リア充爆発しやがれー」なんて古い台詞から、「おめでとうー!」と祝ってくれる声も聞こえる。

そして大きな拍手。

丁度舞台にはどの部活も発表していなかったらしく邪魔はしていなかった様だ。

其処には安堵するが、学校一有名な、全生徒公認カップルとなると頭が痛くなる。

でも、悠太は、


「春は!一宮 春は俺のだからな!誰にもわたさねぇかんなーーー!」


なんて叫び出す。

半分ブーイング、半分歓声でまたまた騒然となる。


頑な私でもそろそろ、私も実感する。


あぁ、そうかーーーーー



ーーーーー私、悠太とーーまた、




ーーーあの、何時もが楽しかった、あの時はみたいに、



ーーー私が料理を作ってあげると見せてくれる悠太のあの笑顔。



ーーー大好きなあの笑顔を、また、あの笑顔が、見れるんだ。


想いが溢れて、抑えきれなくなって、爆発する。


ーーーー「悠太ーーーー!!!!」


私は叫ぶ。


ーーーーー「私、悠太が大好き!!!」


悠太もあの頃の、あの笑顔で、


ーーーー「あぁ、俺も好きだ!春!」


ーーーーー「私!!!悠太のその笑顔が大好き!!」

ありがとうございました。

ありきたりな物から書き始めさせて頂きました。

次作からも、徐々に良い物語が描けるよう精進致します。

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