サンシャイン&ムーンライト
「カタブツ、その黒魔鋼の剣は、
お前が使う様にしろ。」
「宜しいのですか?お館様。」
「うむ、最初の剣は、お前に与える予定だったからな。」
「はっ!ありがたき幸せ!」
「それでサスケよ、
今日は、剣の納品のみの用事で、ここを訪れたのか?」
領主のオークスは、サスケが婚約者のミルクを伴って来た事に、
何か理由があるのかと思い、サスケに問いかけた。
「いえ、実はオークス様にご相談があって、
このミルクと一緒に伺いました。」
「ほう、相談とな?
良いぞ、他ならぬサスケの相談だからな、
何なりと申してみるが良い。」
「はい、ありがとうございます。
では、まずは私の事なのですが、
私は、ここルクシア共和国へと移り住んでから、
サスケと名乗り始めましたが、
本当の名前はサブローと申します。
何故、違う名を名乗って居りますかと言うと・・・」
サスケは、ピロン領主のオークスと、騎士団長のカタブツへ、
自分がフェルナリア皇国へ召喚されてから、
今に至る経緯と、
ミルクの事情を語り聞かせた。
「・・・と言う訳に、ございます。」
「何と、サスケが皇国に召喚された勇者とはな、
それに、ミルクがミルキィ王女様だと!?」
「はい、でも今は国を捨てて、
ルクシア共和国の冒険者でしかありませんので、
今まで通りにミルクとお呼び下さいませ。」
「通りで、
ご挨拶や、立ち振る舞いが一冒険者とは思えない程に、
洗練されて居られると思いましたぞ。」
カタブツも、納得した様に頷いている。
「してサスケよ、我らに真実を告げて、
何を望むのだ?」
「いえ、私たちの望むものは特別ありません、
強いて言うとすれば、
オークス様のお許しが頂けるならば、
ここピロンの街で、平和に暮らして行きたいと思います。」
「特別な望み事は無いと申すか、
それならば、心配せずとも今まで通りに、
この街で暮らすが良いぞ、
ここ、ルクシア共和国は自由を愛する国だ、
サスケらが、この街で暮らしたいと望むなら、
私は、その暮らしを守ると誓うぞ。」
「でも、そうする事によって、
オークス様たちに、ご迷惑を掛ける事があるかも知れませんが、
宜しいのですか?」
「領民の幸せを守る事こそが、領主としての務めだからな、
サスケらが、この街で暮らして居るなら、
その生活を守る為の迷惑なぞ、何ら問題では無いぞ。」
「ありがとうございます。
しかし、将来的に皇国が何か言って来るかも知れませんが、
ルクシア共和国の首脳陣の方々に、
お伺いを立てなくても宜しいのでしょうか?」
「サスケの心配は尤もだが、
それ程、心配する事は無いと思うぞ、
この私も、この国では国の運営に携わる、
中枢の一人ではあるが、
この国の中枢を務めている者たちは、
皆、自由を愛する者ばかりだ、
国家元首を務めているカメオークは、
実は、私の幼馴染でな、
あいつの性格からして、
皇国が何か言ってきても、正面から突っぱねると思うぞ。」
「そうなのですか、分かりました。
ご迷惑をお掛けしますが、
今後も厄介にならせて頂きます。」
「うむ、サスケらの事は私も気に入ってるからな、
気にせずに暮らすが良いぞ。」
「はい、ありがとうございます。
それで、一応の用心としてなのですが、
私がらみでオークス様に危険な事が無い様に、
護身用の剣をお造りして来たのですが、
お受け取り頂けますでしょうか?」
サスケは『魔倉』から、2振りの剣を取り出しながら告げた。
2振りの剣は、金色の装飾が施された剣と、銀色の装飾が施された剣で、
貴族が身に付けても不自然さが無い様に、
見事な飾り細工が施されていた。
「ほう、これは見事な細工だな、
この飾り細工もサスケが手掛けたのか?」
「はい、造ったのは私なのですが、
恥ずかしながら私では、
貴族の方に相応しい模様などが分からないので、
ミルクや友人に意見を聞いて造りました。」
友人とは、ケモイヤー村で知り合ったフローラやリーナの事だ、
ライはサスケと一緒で、
見てくれには無頓着なので参考にはならなかった。
「抜いて見ても良いか?」
「はい、どうぞご覧下さい。」
オークスは、剣を鞘から抜いて見て、
驚きの声を上げた。
「この輝きは!?もしや、オリハルコンか!?」
「さすがはオークス様、オリハルコンをご存じでしたか。
此度のオークス様よりの依頼にて、
剣の材料となる金属を採取に訪れた際に、
少量ながら入手出来たので2振り程造ってみました。」
実際には、サスケのスキルで造り出した物なのだが、
オークスには、そう告げて置いた。
「うむ、前にカメオークのお供でアルビナ王国を訪れた際に、
国宝のオリハルコン製の剣を目にする機会があってな、
この剣は、その時に見た国宝の剣にも、
勝るとも劣らない一品だと思うぞ。」
「国宝と比べられるとは恐れ多い事にございます。」
「謙遜するで無いわ、
それで、この剣には、どの様な能力が付与されて居るのだ?」
「はい、物理攻撃無効、魔法攻撃無効、状態異常耐性、身体能力強化、
体力常時回復などが付与してありますので、
外出なされる際は、常に帯剣して頂ければと思います。」
「ふむ、それ程の能力を加えれば、
かの国宝さえも軽く凌駕していると言えるの、
して、剣は2振りある様だが?」
「はい、一本は国家元首様に御謙譲頂ければと思います。」
「そうか、カメオークのヤツは、
アルビナ王国の剣を、かなり羨んで居ったから喜ぶと思うぞ。」
「はっ、お喜び頂ければ幸いです。」
「これらの剣には、銘はあるのか?」
「はい、金の剣が『華陽』で、
銀の剣が『月光』に御座います。
「うむ、良い銘だな、
では、普段、腰に下げて置いても悪目立ちしない『月光』を私が使い、
公式な場での見栄えが良い『華陽』をカメオークに送るとするか。」
後世のルクシア共和国に置いて、
これらの剣は、国宝の兄弟剣として伝えられて行くのだが、
それは、また別の話である。




