酒処『飲んだくれ亭』
「じゃあ、村長さん、長い事お世話になりました。」
「いやいや、こちらこそサスケさんには、
大変、お世話になりましたからのう。」
「サスケさん、娘たちの事を宜しくお願いします。」
「はい、サンたちは俺が責任を持って、
お預かりします。」
「お父さん、体に気を付けて元気でね。」
「父ちゃん、母ちゃん元気でね。」
「お父さん、お母さん、また帰るからね。」
「皆さん、お世話になりました。」
「キキキ~!」
「皆の者、村の倉の食料は全て頂いた!」
村の人達に、そう告げるとジュリーはシュッ!と消え去った。
「「「「「こらっ!ジュリ~!」」」」」
「村長さん、ジュリーのヤツが済みません。」
「ハハハ!構いませんよサスケさん、
村の者たちも倉にはジュリーの好物しか入れてませんからな。」
「そうなんですか?」
「ええ、村の者たちもジュリーを可愛がっておるもんですから、
村から出発する際の風物詩の様な物なんですよ。」
「なる程、ここは良い村ですね、
それじゃ村長さん、
宿泊施設の建築に関しては、また改めて、
ご連絡する様にしますんで、これで失礼します。」
「ええ、ご連絡お待ちしております。
気を付けてお帰り下さい。」
すべての予定を終えたサスケたちは、
一週間振りにピロンの街へと帰り着いた。
ピロンの街の入り口には警備の為に、
ジャイケルたちが立っていたので、
サスケは声を掛けた。
「ジャイケルさん、ただ今帰りました。」
「おう!サスケか、剣の材料は採れたのか?」
「剣の材料?・・・あっ!そうでしたね、
俺は剣の材料を採りに行ってたんでした。
鉄も黒魔鋼も、ちゃんと採れましたよバッチリです。」
「おいおい、大丈夫なのか?
みんな、ジョイケルと同じ剣を、ご領主様から支給されるとの事で、
すんげぇ喜んでるんだから頼むぜサスケ。」
「はい、ひと通り材料は揃ったんで、
さっそく造り始めますから、
時期に、皆さんへも支給されると思います。」
「そうか、そりゃ楽しみだな。」
「ええ、楽しみにしてて下さい。」
街へと入ったサスケたちは、
ひとまず屋敷へと戻った。
「「「「「「ただいま~!」」」」」」
「キキ~!」
「よう帰ったのう、皆、変わり無かったか?」
「「「「「お帰りなさいませ、皆さま。」」」」」
「「「「キキ~!」」」」
「ああ、ヴィン爺ぃ、みんな元気だぜ、
ケモイヤー村にも、立派な温泉大露天岩風呂が出来上がったから、
今度は、みんなで行こうぜ。」
「ほう、温泉とは、それ程良いものなのか?」
「とても良かったですよヴィン爺ぃ様、
疲れは取れますし、ハダがツルツルになりますし。」
「そうそう、広々としてて、ゆったり出来ましたよ。」
「夜は星空が見えてキレイでした。」
「チビリンと泳いで競争したんだ~。」
「キキキ~。」
「それは面白そうだのう、次は行ってみるかの。」
「ご主人様の、お背中をお流ししたいです。」
「ハダがツルツルですか?行ってみたいです。」
「星空の下なんて、ロマンチックですね。」
「うわ~、私もチビリンたちと泳いでみたいな~!」
「「「「キキキ~!」」」」
「おう!宿泊施設が出来たら、皆で行こうな。
そうだ、ダンミーツ、
ケモイヤー村で作った、ご馳走が余ってたんで、
『魔倉』に入れて持って帰って来たから、
今夜の夕食に出してくれるか。」
「はい、畏まりました。ご主人様。」
「みんな、美味しくてビックリするよ。」
「そうそう、あんな肉尽くしは中々無いからね。」
「ピザやナンカレーもあるから、
今夜は、お腹がパンパンになると思いますよ。」
「私は、アッサリ目の『地蒸し料理』も好きです。」
「肉は正義だ。」
「キキ~。」
サスケは、台所に行って料理を取り出してダンミーツたちに任せると、
次に、サンたちを伴って作業場へと移動した。
「今から、俺が見本となる鉄剣を造るから、
サンたちは、それを手本にして造ってみてくれるか。」
サスケは『魔倉』から大量の鉄インゴットを取り出しながら、
サンたちへ告げる。
「お頭、私たちが造る剣で大丈夫でしょうか?」
「ああ、不味い部分は、俺が修正するから大丈夫だ、
ある程度の形が出来ている方が加工が早いんだよ。」
「それでしたら、やらせて頂きます。」
「よし、じゃあ、やってみるから良く見てろよ、
『変形』×3、『造形』『研磨』っと、
こんな感じだな、
俺は慣れてるから鍛冶スキルを使う回数が少ないが、
サンたちは大体の形になるまで、何回か使う様になると思うぞ。」
「「「「はい、お頭。」」」」
「ああ、それと、スキルの使い過ぎで魔力が少なくなったら、
魔力回復薬を自由に飲んで構わんからな。」
「「「「はい、ありがとうございます。」」」」
サスケは、剣造りをサンたちに頼むと、
ケモイヤー村の宣伝や、宿泊施設の建築に関する相談をする為に、
冒険者ギルドのモモヨを訪ねてみる事とした。
「こんちゃ~!」
「あら、サスケ様、街にお帰りになったんですね。」
「ああ、さっき帰ったところだ。」
「ご領主様から、ご依頼された剣の材料は手に入りましたの?」
「ああ、鉄と黒魔鋼は必要な量を入手できたぜ、
それで、今日は、そのクエストとは別の相談があるんだが、
ちょっと時間取れるか?」
「生憎と、
私は、ただ今、大変忙しくして居りまして、
これから、クライアントの方と『飲んだくれ亭』にて、
打ち合わせが御座いまして。」
「酒場で飲み会だろ!」
「いえいえ、お酒は二の次で、打ち合わせがメインですわ。」
「そうか~、それは非常に残念だな~、
ここに、俺が造った魔力回復が付与されたネックレスと、
魔法制御を付与したイヤリングがあったんだがな~。」
サスケは『魔倉』からアクセサリーを取り出すと、
さも、残念そうに言った。
「よく考えたら、別に急ぎの案件では御座いませんでしたわ、
サスケ様の、お話を是非伺わせて頂きたいです。」
「お前なぁ~。」




