ビックカマ~
「今夜はサスケさんが、ご馳走を作って頂けるとの事でしたな。」
「ええ、それで村長さんにご相談なんですが、
昨日、歓迎会を開いて頂いた村の広場に、
調理に使う石窯を据え付けても宜しいでしょうか?」
「石窯ですか?
ええ、広場なら幾らでもスペースがありますので、
構いませんぞ。」
「ありがとうございます。」
サスケは、村の広場に移動すると、
『魔倉』から石窯を取り出して据え付けた。
「何と言う大きな窯なんじゃ!?」
「これ位の大きさがないと、
今日の料理には使えないんですよ、
この窯も村の売りになると思うんで寄付しますよ。」
「それは、ありがたい、
料理も楽しみですな。」
サスケは、まず『魔倉』からマッドパイソンを取り出すと、
内臓を取り出してサンたちに指示を出した。
「サン、みんなに手伝って貰って、
この内臓を使ってモツの煮込みを作ってくれるか、
タマネギとゴボウを一緒に煮込んで、
臭みを取る為にジンジャーを入れるのを忘れないでくれ。」
「分かりました。お頭。」
「よし、あとはパイソンの頭と足を切り落として、
胴体だけの状態にしたらコショウをスリ込んで下準備は良いな。」
サスケは次に、ホロホロ鳥とシモフーリボアの肉、
ニンジン、ジャガイモ、キャベツ、長ネギなどを取り出すと、
それらを一口大に切ってから、
大きなフライパンで炒めると、塩コショウで味付けた。
「あとは、炒めたものをマッドパイソンの胴体に押し込んで、
木の串で塞いでから、
表面に、これを塗って行くと・・・」
「サスケさん、その白いのは何ですかな?」
「これは、塩に卵の白身を混ぜて粘りを出したものなんですよ。」
「何と!?確かに、ルクシア共和国は比較的に塩が安価ではあるが、
これ程、大量に使われるのか!?」
「ええ、俺たちが暮らしてるピロンの街の近くに、
岩塩が採れる山があるので、俺が生成した塩なんですよ、
『浄化』の魔法が付与された箱を置いて行きますんで、
中に入れて一晩置けば、塩は再利用出来ますんで使って下さい。」
「それは、重ね重ね申し訳ありませんな。」
サスケは、マッドパイソンの胴体を塩で覆い尽くすと、
ジュリーたちに手伝って貰って、
巨大石窯の中へと納めた。
そう、サスケは通常、魚や鳥で作る塩釜焼きを、
マッドパイソンを丸々使って作ろうと言うのだ。
「じゃあ、窯に火を入れるぞ、
ジュリー、火が大きくなってきたら、
パイソンが載ったターンテーブルを10分置きぐらいで、
回してくれるか。」
「お頭、ターンテーブルって何ですか?」
「パイソンを棒で軽く押して見ろ。」
「こうですか?
おお!?パイソンが回りました。お頭。」
「肉に、焼きむらが出来ない様に窯に仕掛けを施したんだ。」
「さすが、お頭。
料理に注ぐ情熱がハンパじゃないですね。」
「おう、俺は美味いものを食べる為なら、
努力を惜しまない男だぜ!」
「何と言う独創的な料理なんじゃ、これは完成が楽しみですな。」
昨夜、村の皆が集まって、サスケたちの歓迎会を開いてくれた広場に、
今夜も、大勢の人々が集まってザワザワと騒いでいた。
「え~、皆さん、ご静粛に願います。
これから、サスケさんが村の皆の為に作って下さったお料理を、
ご馳走になる食事会を開催したいと思います。」
司会進行は、昨夜に続いてロリーの父親が務める様だ。
「「「「「おお~!パチパチパチパチ!」」」」」
「では、最初に今夜の食事会を主催して頂いた、
サスケさんから、一言お言葉を頂きたいと思います。
サスケさん、お願いします。」
「は、はい、
ほ、ほ、本日は、お、お、お日柄も良く、
え、え~以下同文。」
「「「「「わ~!パチパチパチパチ!」」」」」
「村長に被ってるぞ~!」
「お頭、上がり過ぎでしょ!」
「え~、続きまして、村長の挨拶です。
村長、お願いします。」
「私がケモイヤー村の村長、ソン・チョーです。以上!」
「「「「「わ~!パチパチパチパチ!」」」」」
「知ってるっちゅ~ねん!」
「サスケさんに、セリフを取られたな~!」
「それでは、カンパイの音頭をパパサンに「それは止めとけ~!」
では、不肖ながら私から、カンパ~イ!!」
「「「「「カンパ~イ!!
わ~!パチパチパチパチ!」」」」」
「それでは、今から皆さんに料理を披露しますので、
広場の中央にご注目下さい。」
サスケの言葉に続いて、サンたちが巨大な塩のカタマリを運んで来た。
「何だ?あのデカいのは。」
「見た感じ堅そうだな。」
「もしかして塩じゃないのか?」
「あのデカいのが塩だって!?」
「お気付きの方も、いらっしゃる様ですが、
この大きなものは塩であります。
中にマッドパイソンの肉が入っているので、
今から取り出そうと思います。」
サスケは、ハンマーを取り出すと塩をガンガンと割り出して、
グルリと割れ目を入れたら、サンたちに合図を出した。
「良し、それじゃオ~プン!」
サンたちがパカリと塩を剥がすと、
中からホカホカの肉が顔を出した。
「うお~っ!肉だ~!」
「美味そう~!」
「肉は正義だ!」
「皆さん、今から切り分けますので、
どうぞ、お出で下さい。」
サスケは、マグロを捌く様な大きな包丁を取り出すと、
マッドパイソンの肉に切り込みを入れ始める、
切った肉は、ミルクたちが村の者たちに配っていった。
「美味~い!!
塩に包まれていたのに、全然しょっぱく無いんだな。」
「ホント!絶妙な塩加減よ。」
「中に入ってる野菜や肉も旨味が滲みてて美味いぞ!」
「中にも肉を仕込むとは、サスケさんは良く分かっているな!」
「お~よ!肉こそ正義だ!!」
「マッドパイソンの内臓を煮込んだ物もありますから、
そちらも召し上がって下さい。」
「おお!臭みが無くて美味いな!」
「食感が、たまらんぜ!」
「色んな部分が入ってて楽しいな。」
「サスケさん、どれもこれも大変に美味しいですな、
これ程のご馳走を、ご用意頂き感謝いたしますぞ。」
「いえ、皆さん、楽しんで戴けている様で良かったです。
マッドパイソンも塩も、ピロンの街で安く手に入りますので、
村の名物料理に加えて頂けるならば、お届けしますよ。」
「それは助かりますな、演出効果がたっぷりの料理なので、
もし観光客が増えたら、作って見せると受けそうな一品ですな。」
「ええ、宴会向きの料理なんで、
村の祭りなんかでも作られると良いと思いますよ。」
「おお!それは良いですな。」




