表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
86/238

カンパ~イ!

サスケたちが村の広場に行くと、

広場の中央に丸太が組み上げられており、

まるで、キャンプファイヤーの様に火がかれていて、

その火をグルリと囲む様に村人たちが、

地面に茣蓙ございて座っていた。


「お頭、こっちです!」

サンの案内で、サスケが村長さんの隣の席に腰を下ろすと、

並ぶ様に、ミルクとジュリーとチビリンも座った。


「では、みんなそろった様なので、

歓迎かんげいうたげ開催かいさいしたいと思います。」

司会進行はロリーの父親が務める様だ。


「「「「「ワ~ッ!パチパチパチパチ!」」」」」


「まず初めに村長さんの挨拶です。」


「「「「「パチパチパチパチ!」」」」」


「え~、ただ今、ご紹介に預かりました。

ケモイヤー村の村長を務めております。ソン・チョーです。」


「名前、テキトーだな!」


「本日は、サン、リン、ロリー、ジュリーの凱旋がいせんに加えて、

5年振りに村を訪れたお客人きゃくじんである、

サスケさん、ミルクさん、チビリンちゃんを歓迎して、

え~、以下いか同文どうぶん。」


「何じゃそりゃ!」


「「「「「おお~っ!パチパチパチパチ!」」」」」


「今のでイイんだ!?」


「え~、続きまして、

村一番のハンターにして、サンの父親でもある、

パパサンに乾杯かんぱい音頭おんどを取ってもらいます。」


「名前!名前!」


「た、た、た、ただ、ただ今、

ご、ご、ごしょ、ご紹介に、え~、カンパイ!」


くちベタか!何でやらせた!」


「「「「「カンパ~イ!パチパチパチパチ!」」」」」


「するんかい!」


「サスケさん、田舎いなか料理で口に合いますか分かりませんが、

村の名物なので食べてみて頂けますか。」

村長が、大きな葉に包まれた肉や野菜をサスケにすすめた。


「おっ!これが地蒸じむし料理ですか?」


「おや、ご存じでしたか。」


「ええ、ジュリーたちに聞いて楽しみにしていたんですよ。」


「そうでしたか、どうぞお食べ下さい。」


「いただきます。

お~、この鳥肉は美味しいですね、

始めての味ですが、この辺でれる鳥なんですか?」


「はい、近くの森で獲れるカンコ鳥という鳥ですな、

この村の現状にピッタリの名前ですな、はっはっはっ。」


「ははは・・・。」

(笑えねぇ・・・)


「こ、こちらのお肉も美味しいですね。」

サスケの気持ちをさっしたミルクが、

空気を変える様に明るく言った。


「ミルクさんは、サヨナラビッツの肉がお口に合いましたか、

その兎は、止めを刺す時に、

涙を流しながら耳を手の様に振って別れを告げる事から、

その名が付けられました。」

肉を口へと運んでいたミルクの手がピタリと止まった。


「え、え~と、5年振りの客との事でしたが、

5年前に来た人は、どんな人だったんですか?」


「5年前に村へ来られたのは、

サスケさんたちと同じ冒険者の方たちで、

森で遭難そうなんしている所を、

サンの父親が見つけて連れてきたのですよ。」


「へ~、無理なクエストを受けたんですかね?」


「何でも、冒険者ギルドのひどい受付嬢に、

だまされたとかおっしゃってましたな。」


「その受付嬢に、チョ~心当たりがあるんだけど!」


そんな盛り上がりの中、宴は深夜までり広げられた。




「昨夜は、よく休まれましたかな?」


「はい、おかげさまでグッスリと眠れました。」

翌朝、サスケたちは村長の家で朝食をご馳走ちそうになっていた。


「それは何よりですな、

して、本日のご予定は何か入っておられるのかな?」


「ええ、ジュリーの案内で地蒸し料理の調理場や、

森の散策をしようかと思っています。」


「そうですか、どうぞ、ごゆっくりして行って下さい。」


「ありがとうございます。

それと、村長さんにご相談があるのですが、

今日、森を見て周った結果によっては、

ケモイヤー村に観光客を呼び込めるかも知れない案があるのですが、

村の人達って、その辺は、どうお考えなんでしょうか?」


「そう言う話題は、

村の連中との話し合いで、しょっちゅう上がったが、

結局、何を売りにすれば良いかが分からなくて、

立ち消えになっとったんじゃ、

仕事も無いので、村の若者たちは次々と街へ行ってしまい、

村はさびれるばかりじゃから、

サスケさんが何か良い案を考えてくれるのは大歓迎じゃと思いますぞ。」


「そうですか、それを聞いて安心しました。

サンたちには、いつも助けて貰っているので、

俺の案で、みんなの故郷の現状が、

少しでも改善されれば良いなと思います。」


「そのさいは、ワシたちもご協力を惜しみませんぞ。」


「ありがとうございます。

でも、ある程度の下準備をして来ておりますので、

俺の見込み通りなら、作業は俺たちの手だけで十分間に合うと思います。」




「お頭、ここが地蒸し料理の調理場だよ。」

ジュリーの案内で訪れた調理場は、

沢山たくさんの石を積み上げて釜戸かまどの様な形にしてある中から、

モウモウと熱い蒸気じょうきき上げていた。


「お~、大体、想像通りの形だな、

ジュリー、この辺で活火山はあるのか?」


「かつかざん?」


「え~と、山のテッペンから煙が上がってる所だ。」


「あ~、それなら、森の向こう側にありますよ。」

ジュリーが森の一方を指差した。


「大事な村の調理場に何かあると困るから、

こことは別の水脈を探す必要があるからな、

取りえず、火山に近い方から探してみるか。」

サスケは何かを『魔倉まそう』から取り出しながら言った。


「サスケさん、それは何ですか?

見た所、くさりの先に付いているのは魔石の様ですが。」


「ああ、これはダウジングって言うんだけど、

魔力を使わなくても地中の水脈を発見できるんだよ、

普通は鎖の先に水晶を付けたりするんだけど、

これは、魔石に火と水の魔法を付与した特別製なんだ。」


「水晶とは、どう違いますの?」


「水晶より精密だし、お湯にだけ反応する様にしてあるんだ。」


「お頭、地面の下のお湯を探すんですか?」


「ああ、俺は温泉を探しているんだ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ