ケモイヤー村
「よし、飯を食って一休みした事だし、
まずは、サンたちの奴隷契約を解除しちゃうか。」
「「「「お願いします。お頭。」」」」
「え~と、まずは『解呪』×4で解除して、
『禁言』×4で俺の秘密を話せなくすると・・・
よし、これで良いぞ、これでサンたちが指に付けている指輪は、
ミルクと同じ、ただの防御用の指輪になったぞ。」
「「「「ありがとうございます。お頭。」」」」
「良かったわね、みんな。」
「キキキキ~。」
「「「「ありがとうございます。ミルクさん。
ありがとう。チビリン。」」」」
「よし、じゃあ村に向けて出発するとするか。」
「ええ、サスケさん。」
「「「「分かりました。お頭。」」」」
「キキキ~。」
「「どけどけどけ!死にたく無かったら道を空けな!!」」
「うわ~っ!さっき食った昼飯が喉に上がってくる~!」
「お爺ちゃん、避けて~!」
「馬車が浮いてる~!」
「チビリンが飛ばされる~!」
「キキ~!」
サスケは、ミルクのお願いを断れなかった為、
再び、街道の鷹と、女豹の出現となった。
「また、生き残れた・・・」
「何だか、慣れて来たな。」
「村から出て来た時は、あんなに時間が掛かったのに・・・」
「キキ~。」
「そうか、チビリンは魂が口から飛び出すとこだったのか。」
街道の鷹の活躍もあって、
馬車は、サンたちの故郷の村がある森へと来ていた。
「この森の奥に、サンたちの村があるのか?」
「はい、あの小道を進んで行けば、村に辿り着きます。」
サンの指差す先には、
街道から枝分かれして、馬車が一台やっと通れる程の細い道が、
森へと続いていた。
森の中の道を、馬車がゆっくりと進んで行く、
さすがに、この細い道を馬車で飛ばすのは危険過ぎるので、
御者はリンが務めて居る。
「サスケさん、偶には、
こうやってゆったりとした馬車の旅も宜しいわね。」
「俺は、いつもこの位の方が「何ですか?」
い、いや、そうだな偶にはいいな・・・」
「お頭、もう尻に敷かれてるんじゃないか?」
「まあ、相手は元王女様だもの、
きっと庶民には逆らえないオーラが出てるのよ。」
「ああ、お頭って何でも出来る割には、
超~庶民っぽいもんな・・・」
「キキ~。」
「お前たち、何か言ったか?」
「い、いえ、お頭たちはお似合いだな~って。」
「そうそう、まさに泥沼にヘラジカってヤツですね。」
「それを言うなら、破れ鍋に綴蓋だろ。」
「ああ、そうとも言いますね。」
「そうとしか、言わんわ!」
森の中を1時間程進むと、やっと村らしき物が見えて来る、
周囲をグルリと、1メートル程の高さの木の杭で作った柵で囲んで、
入り口には門が建っている。
「わ~、懐かしいな~。」
「ホント、全然変わって無いみたいね。」
「みんな、元気で居るかな?」
「いくらか家が増えたんじゃないか?」
馬車が村へと近づくと、
ちょうど村の入り口の門から、タヌキの様な耳をした獣人が出て来た。
「あっ!お隣のボブ小父さんだ、
小父さ~ん!久しぶりだね~!
私、ジュリーだけど分かる?」
「げっ!?ジュリー!?
みんな~!大変だ~!ジュリーが出たぞお~!
食べ物を早く隠すんだ~!」
ボブは、大声で叫びながら村へと走って行った。
「お前、村に居た頃に何してたんだ?」
「お腹が空いた時だけ、ちょっと食べ物を貰ってただけですよ。」
「そう言えば、ジュリーが村の倉の食べ物を、
空にしちゃった事があったわね。」
「そうそう、あの時はサンのお父さんが獲物を仕留めてこなかったら、
みんな餓死していたかも知れないわね。」
「それは、全然ちょっとじゃ無いだろ!!」
「はっはっはっ、お頭、わき毛の左ってヤツですよ。」
「それを言うなら、若気の至りだろ!!」
馬車が村に着くと、村の門を入った所に、
村の人達が大勢集まっていた。
「サン!サンなのか!?」
「ただ今、戻りました。お父さん。」
サンの父親は、サンと同じ犬タイプの獣人だ。
「ホントにリンなの?」
「リン、大人になったな。」
「ただいま、母ちゃん、父ちゃん。」
リンの両親は、母親はネコタイプで、
父親は豹の様な耳をしている。
「お帰り、ロリー。」
「よく帰ったな。」
「ただいま、お母さん、お父さん。」
ロリーの両親は、母親が鷹タイプで、
父親は鷲の様だ。
「ジュリーの家族は来てないのか?」
「私は、小さい頃に、
父ちゃんと母ちゃんが魔獣に襲われて死んじゃったから、
爺ちゃんと婆)ばあ)ちゃんと一緒に暮らしてたんだけど、
村を出る前の年に2人とも相次いで死んじゃったんだ。」
「そうか・・・」
サスケが、ポンポンとジュリーの頭を撫でると、
ジュリーは擽ったそうな顔をしていた。
「サン、こちらの方たちは?」
「この方はサスケ様と仰って、
私たちの命の恩人で、
私たちの冒険者パーティーでリーダーをされてる方です。
お隣は、サスケ様のご婚約者のミルクさんです。」
「それはそれは、娘たちが大変お世話になった様ですな、
サスケさんと申されましたか?
ケモイヤー村へ、ようこそお出で下さいました。
何も無い村ですが、
どうぞ、ごゆっくりして行って下さい。」
「始めましてサスケと申します。
私の方こそ、いつもサンさん達には助けられていますんで、
今後とも、よろしくお願いします。」
「ミルクです。
よろしくお願い申し上げます。」
「キキキ~。」
「おっ!?この小さいのはリン坊にソックリだな、
もしかして、リン坊の子供か?」
「んな訳あるかい!
それと、小父ちゃん、アタイも大人になったんだから、
リン坊は止めてよね。」
「はははっ、それは済まなかったな。」
「こいつは、私が造ったゴーレムでチビリンと言うんですよ。」
「何と!?これがゴーレムですと!?
まるで、生きている様にしか見えませんぞ!」
「お父さん、サスケ様は優秀な錬金術士で、
冒険者としてもB級なのよ。」
「ほう、その、お年でB級とは大したものですな。」
「私なんぞ、まだまだですよ、
それに、サンさん達だって、皆C級ですよ。」
「サンたちがC級!?」
「それこそ、サスケ様の、お力添えがあっての事ですわ。」
「そうそう、お頭のお蔭だね。」
「お造り頂いた装備に助けられてですわね。」
「いつも、美味しいものを食べさせてくれるしね。」
「それも、みんなが良く訓練に付いて来てくれた成果だぞ。」




