街道の鷹と女豹
「出来たぞ~!」
「サスケよ、剣に付与する魔法術式が出来たのか?」
「うん、ヴィン爺ぃ、ちょっと見てくれるかな?」
「ふむふむ、なる程のう、
上手い事『讃者燦親』のスキルが解析できたんじゃな、
この魔法術式なら、領主の注文通りの剣が出来るじゃろうて。」
「ヴィン爺ぃの、お墨付きなら大丈夫だな。」
「お頭、上手い事いったんですか?」
「おう、ジュリーが閃きを与えてくれた、
お蔭で完成したぜ。」
「良かったです。」
「よし!さっそく、ご褒美の料理に取り掛かるとするか。」
「う~ん、う~ん。」
「「「「「キ~ッ、キ~ッ。」」」」」
ご褒美のご馳走を食べ終えたジュリーとチビリンたちが、
居間の床に、五つ子が中に入ってる様な、大きなお腹を上にして転がっている。
「よく半分も食べられたな、
デカい料理だから、良いとこ3分の1ぐらいまでなら、
食べられるかなって思っていたのに大したもんだ、
さすがジュリーだな。」
なお、残った料理はスタッフが美味しく頂きました。
「お頭、この料理なら村の、みんなも喜ぶと思います。」
「そうね、味と良い、量と良い、私たち獣人向きの料理よね。」
「ええ、肉が主体になってるのが、また良いわ。」
「ご主人様、この料理は簡単な様に見えて、奥が深い料理ですね。」
「ホント、こんな調理法は初めて見たわ。」
「ご主人様、美味しかったです~!」
「この料理は、サスケさんの世界の料理なんですか?
凄い発想ですね、驚きました。」
「ふむ、お主に、これ程の料理の才能があったとは知らんかったのう。」
「ああ、これは、俺の世界の料理をアレンジしたもんなんだよ、
実際は、もっと小さい食材を使って作るんだけど、
これだけ、豪快に作った方が見ている方も楽しいだろ?
それと、ヴィン爺ぃ、2人で暮らしてた頃は簡単な料理しか作らなかったから、
腕の見せようが無かったんだよ。」
「まあ、そうじゃのう、川で釣った魚を焼いたり、
山で採った山菜を煮たりでは腕前までは分かり難いからのう。」
「本当は、ああいう簡単な料理の方が奥が深いんだけどな。」
「ああ、分かりますわ、ご主人様、
塩加減とか、焼き加減で全然味が変わりますものね。」
「そう言う事。」
「では、ご主人様、お気を付けて行ってらっしゃいませ。」
「「「「行ってらっしゃいませ。」」」」
「「「「キキキ~。」」」」
「気を付けて行ってくるんじゃぞ。」
予定通りに、4日目の朝にサスケたちは出発する事とした。
今回のメンバーは、
サスケとミルク、サン達4名、チビリンだ。
「ヴィン爺ぃ、レッド達も留守中の屋敷やダンミーツ達の事を頼むぜ。」
「分かったぞい、フレドラ達も居る事だし大丈夫じゃろう。」
「「「「キキキ~!」」」」
ハッキリ言って、この戦力の防御網を潜って、
屋敷やダンミーツ達に危害を加えられる存在は世界でも一握りだろう。
「じゃ、行って来るぜ。」
「行って参ります。」
「「「「行って来ま~す。」」」」
「キキ~。」
サスケたちは馬車に乗り込んで屋敷を後にした。
「おっ、サスケ、どこか出掛けるのか?」
街の門で警備をしていたジャイケルが話し掛けて来た。
「ええ、領主様より御依頼して頂いた、
剣を造る為の材料を採りに行こうかと思いまして。」
「ああ、ジョイケルが使っていたアノ剣か、
俺も少し使わせて貰ったが、ありゃ凄いもんだな、
完成したら俺たちも使わせて貰えるだろうから楽しみだぜ。」
「はい、ご期待に応えられる様に頑張りたいと思います。」
「おう、気を付けて行って来いよ。」
「お頭、ウチらの村に直接向かっちゃって良いんですか?」
「私の出番ですか?」
「いや、村で造りたいもんがあるから、
材料採取のカモフラージュを兼ねて廃坑に寄ってから向かう様にする。
それと、今回は急ぎの旅じゃ無いから『街道の鷹』の出番は無い。」
「そんな~、お頭、そこを何とか・・・」
「俺とサン達だけなら兎も角、
今回はミルクが居るから、ロリーの操車は無理だろう。」
「サスケさん、私なら構いませんよ、
あんなに、やりたがっているのですから、
ロリーさんに御者をさせてあげても宜しいのではないですか。」
「えっ、そうか?
まあ、ミルクがそう言うなら良いけど、
ロリーの操車は確かに早いけど、相当に荒っぽいぞ。」
「大丈夫ですよ。」
「ミルクさん、ありがとうございます。」
「「どけどけどけ!どかないと撥ね飛ばすよ!」」
「うわ~!前の馬車にぶつかる~!
まさか、ミルクまでスピード狂とは!?」
「お爺ちゃん逃げて~!」
「今、何かに乗り上げなかった!?」
「早馬の騎手が涙目になってたわよ。」
「ロリーさん、やるわね。」
「ありがとうございます!ミルクの姉御。」
「姉御って何だ?」
「生きてるって素晴らしい・・・」
「ミルクさんの効果か、この前より早かったですよね。」
「最後の方なんて馬車が浮いてませんでしたか?」
サスケが前に廃坑に来た時は徒歩で半日程掛かったのだが、
今回は30分程で着いてしまった。
「お頭、村で造りたい物って何なんですか?」
「それは、着いてからのお楽しみって事でね・・・
じゃあ、お前ら、この位の大きさの岩を集めてくれるか。」
サスケは、サンたちに直径30センチ程の大きさの岩を、
集める様に指示した。
「それは、鉄鉱石か何かですか?」
「いや、あそこら辺に沢山転がってるのと同じ、
タダの岩だぞ。」
「岩なら何でも良いんですか?」
「ああ、材質は何でも良いけど、
なるべく丸っこい形の岩を運んでくれ。」
「「「「分かりました。お頭。」」」」
「私は、何をすれば良いかしら?」
「作業が一段落したらお茶にするから、ミルクはお湯を沸かしてくれるか。」
「分かったわ、サスケさん。」




