4千年
「それで、お頭、アタイたちの故郷へは何時頃出発するんですか?」
「そうだなぁ、解決しなきゃならない問題もあるし、
旅の準備や、お前たちもお土産の一つも買って行きたい相手とか居るだろ、
だから、3日間の準備期間を取る事にして、
出発は、今日から4日目の朝とするぞ。」
「分かりました。お頭。」
「私たちは、ついでだったんですね、ご主人様。」
サンたちや、ウルたちは各々の部屋へと引き上げていて、
居間には、サスケとヴィン爺ぃとミルクが残っており、
コヒ茶を皆に淹れながらダンミーツがサスケに話し掛けた。
「何がだ?」
「ボーナスですよ、
本当は故郷に帰るサン様たちに、お土産代を与えるのが目的で、
でも、そう告げるとサン様たちが気を使って受け取らないと思ったから、
全員へのボーナスって事にしたんですよね。」
「な、何を言ってるんだ?
あれは、みんなへの正当な報酬だぜ、
それ以外の理由なんて無いぞ。」
「はいはい、そう言う事にしておきましょうね。」
「いや、そう言う事にしておくじゃなくてなぁ・・・」
「ふぉふぉふぉ、良いではないかサスケよ、
ダンミーツが、そう思っておるだけなのじゃからのう。」
「そうですわ、サスケさん、
あなたが正当な報酬を支払ったと考えていれば良いだけの事です。」
「う~ん、まあ良いか。」
「そうじゃ、真実なんて本人の胸の内に留めて置けば良いだけの事じゃよ、
それで、相談と言うのは何なんじゃ?」
「それなんだけど、ヴィン爺ぃ、
領主様から魔法が付与された剣の製作を依頼されたのを、
さっき話したと思うんだけど、
その時に一つ注文を付けられたんだよ、
それってのが、その剣で反乱を起こされると困るから、
領主様に攻撃できない様にしてくれって事なんだよ。」
「ふ~む、特定の人物に対しての攻撃不可か・・・
中々の難題じゃのう。」
「そうなんだよね、今まで、
特定の魔獣を攻撃する為の武器とかは造った事があったんだけど、
その逆は無かったからね。」
「そうじゃのう、攻撃をするのが武器じゃからのう、
今回、造ろうとしている武器は、
その定義の真逆を行こうとしておると言う事じゃな、
恐らく、完成させる事が出来れば、
この世界で初めての魔法術式となるじゃろうな。」
「やっぱり、今まで、そんな武器は無かったよね。」
「ワシが知る限りでは聞いた事が無いのう。」
「私も知りませんね。」
「そうか、分かった。
もうちょっと自分で考えてみるよ。」
その日の深夜、
サスケが自室で剣に付与する魔法術式を考えていると、
誰かがコンコン!とドアをノックした。
「はい、空いてるから入っていいぜ。」
「失礼します。」
ガチャッ!とドアを開けて入って来たのはミルクだった。
「ミルクか、こんな遅い時間にどうしたんだ?
何か話があるなら、そこの椅子に腰かけてくれよ、
コヒ茶を飲むか?」
「はい、頂ます。」
サスケはコヒ茶を入れると、
ミルクの前のテーブルの上に置いて、
自分はテーブルを挟んで向かい側に腰掛けた。
「で、何の話なんだ?」
サスケはコヒ茶をズズッと啜りながら、ミルクに質問した。
「私をサスケさんのモノにして頂きに参りました。」
「ブゥ~ッ!ゲホ ゲホ ゲホッ!」
サスケはコヒ茶を噴き出して咽た。
「サスケさん、大丈夫ですか?」
「だ、ゲホ ゲホッ、大丈夫、ゲホッ、だ。」
「すいません、驚かせてしまったみたいですね。」
「ん、ん~ん、あ、あ~、もう大丈夫かな?
それで、何で急に、あんな事を言ったんだ?」
「急にでは、ありませんよ、
私は、サスケさんのお嫁さんになる為に、ここへ来たのですから、
今日まで忙しくて言い出せませんでしたが、
一段落した様なので、さっそく参りました。」
「ミルクの気持ちは嬉しいけど、
ホントに俺で良いのか?
俺はタダの冒険者であって勇者じゃ無いんだぞ。」
「私が、お慕いしているのは、
自分の奴隷に不器用な優しさを見せるサスケさんであって、
勇者ではありませんわ、
それに、サスケさんは勇者には成れなかったかも知れませんが、
この国で英雄と成られると私は思いますわ。」
「俺は英雄なんてガラじゃ無いと思うけどな・・・」
「ふふふっ、そう思われているのはサスケさんだけだと思いますよ、
この家の・・・いえ、少なくとも、
この街の人達は、そう思っていると思いますよ。」
「ふ~ん、まあ、俺は俺に出来る事をやって行くだけだけどな。」
「サスケさんは、それで良いと思いますよ、
あなたが信じる道を進んで行けば、
段々と周りの人達が気付いて来ると思いますから。」
「ミルクは、俺の事を贔屓目で見ているから、
そう見えるだけじゃないのか?」
「まあ、多少は、それもあるかも知れませんが。」
「まあ、良いか、
それじゃミルク、俺は勇者じゃないし、
これからも色々とやらかしてミルクに心配掛けるかも知れないけど、
それでも、俺の嫁さんになってくれるか?」
「はい、私の居る場所はサスケさんの所にしかありません、
どうか、私をサスケさんのお嫁さんにして下さい。」
「ミルク・・・」
「サスケさん・・・」
その夜、2人は一つになった・・・
のだが・・・
「な、何でミルクは初めてなのに、
こんなに上手いんだ!?」
「ふっふっふっ、サスケさん、元王族を嘗めてはいけませんよ、
フェルナリア皇国の王女は、やがて嫁ぐ王の為に、
皇国4千年の歴史を持つ性技を、幼き頃より教え込まれるのですよ、
私も王妃である、お母様より、しっかりと叩き込まれました。
ではサスケさま、皇国4千年の技を篤とお味わい下さい。」
「ま、待っ・・・アッー!」
「アッー!」
「アッー!」
「アッー!」
「アッー!」
「アッー!」
その夜、サスケの部屋からは、
サスケの呻き声が絶える事が無かったそうな・・・




