表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
78/238

スライバー

領主の城の中をカタブツの案内でしばらく進むと、

ひときわ豪華ごうかな扉の前で立ち止まり、

コンコン!とノックをしてから、カタブツは部屋の中へと声を掛けた。

「お館様、サスケ殿をご案内申し上げました。」


「うむ、そうか、中へ入ってもらえ。」


「はっ!」

カタブツはガチャッ!とドアを開けると、

サスケに部屋の中へと入る様にうながした。


「失礼します。」

サスケは一礼してから部屋へと入った。


「うむ、その方がサスケか。」


「はい、この街で冒険者をやらせて頂いておりますサスケです。」


「そうか、私はピロンの街を中心とするピロン領の領主、

オークス・スライバー・ピロン伯爵である・・・」


「は、はあ・・・」

そこにはルクシア共和国の他の街の領主達に漏れる事なく、

オークに似た人物が立っているのだが、

目元や口元がキリリッ!としてカッコ良く、

オーク似なのにカッコイイという矛盾むじゅんに、

サスケは居心地いごこちの悪い違和感いわかんを覚えた。

(こういう人こそ、あの決めゼリフを言えば良いのに・・・)


「・・・と、私はオーク顔で、そう言った。」


「言うんかい!」


「うん?どうしたのだサスケよ、

冒険者ギルドのモモヨが、

こう言うと、サスケに受けが良いと言っておったんだがなぁ。」


(あの馬鹿、また余計な事を・・・)

「伯爵様は、モモヨさんと親しいのですか?」


「私の事はオークスと呼べば良いぞ、

うむ、モモヨは私の愛人あいじんだからな。」


「えっ!?」


「何を驚いておるのじゃ?

モモヨから、サスケが生まれ育った国では、

親しい友人の事を愛人と言うと聞いたのだが・・・」


(あいつ、領主との会談が終わったら、

その足でギルドに行って、絶対ぶっ飛ばす!)


「い、いえ、正しくは親しい友人は親友と申しますので・・・」


「そうであったか、親友か、中々良い響きの言葉だな。」


「はい。」


「さて、では此度こたびの本題へと入るが、

マッドパイソンの襲撃の際に多大なる協力をしてくれた人物らが、

そなたの関係者と聞いてな、それに相違ないか?」


「はい、私の婚約者と、その護衛、そして私の師匠です。」


「そうであったか、

その功績こうせきに加え、そなたが考案したヤキニクと申したか?

新しきピロンの名産品を作りだし、

我が領に多大なる利益をもたらしてくれたそうだの、

その働きを高く評価し、ここに報奨ほうしょうを与えるとする、

サスケよ受け取るが良い。」


「オークス様、誠にありがたきお言葉ですが、

どれも、私一人の功績こうせきではございませんので・・・」


「うむ、分かっておるぞ、

他の者へも、その働きに応じて褒美ほうびを与えておる。」


「それでしたら、ありがたく頂戴いたします。」


「うむ。」


サスケは、オークスから報奨が入った、

ジュエリーケースの様な箱を受け取った。


「さて、話は変わるのだが、

先の襲撃事件で、街の門を警備しておるジョイケルと言う者が、

活躍したので褒美を取らせたのだが、

本人が言うには自分の実力では無く、

サスケに造って貰った剣のおかげだと申しておったのだが、

それは事実なのか?」


「はい、確かにジョイケルさんには、

私が造った、補助魔法が付与された剣を差し上げましたが、

活躍したのはジョイケルさんの頑張りだと思います。」


「うむ、私も、そう考えたのでジョイケルには、

ちゃんと褒美を与えたぞ、

そこで、相談なのだが、ピロン領の防衛力を上げる為に、

ジョイケルの物と同等の鉄剣を100振りと、

私を含めた指揮官用に黒魔鋼こくまこう製の剣を10振り、

造って貰えんだろうか?

それと、剣を造る際のお願いなんだが、

高性能の剣で反乱でも起こされては困るので、

私に敵対心を抱く者には使えんようには出来んかの、

鉄剣は一振り100万ギル、黒魔鋼の剣は一振り1000万ギル出すぞ。」


「はあ、私もピロンが好きなので剣を造るのは構いませんが、

原材料集めから始めますので、

3か月程の期間を頂いても構いませんでしょうか?

1、2か月目で鉄剣を30振りと、黒魔鋼剣を3振りずつ、

3か月目に残りの剣を納める形にしたいのですが、どうでしょう?

反乱の防止機能については考えてみます。」


「それは構わぬが、原材料なら、こちらでも用意できるぞ?」


(原材料は魔法で出せるから問題無いんだが、

余り早く造り上げても怪しまれると思うからな・・・)

「いえ、造るからには納得の行く物を、お納めしたいので、

原材料の選定から自分で行いたいと思います。」


「ふむ、職人というのは、そういうものらしいからな、

分かったぞ3か月の納期で、お願いするぞ。」


「はっ!うけたまわりました。」



サスケが帰った後のオークスの部屋に、

カタブツがノックをしてから入って来た。

「お館様、くだんの人物の人柄を、どう見られましたか?」


「うむ、私が見たところ、

あやつは裏表の無い、真っ直ぐな心根の持ち主だな、

世間の悪意には敏感な様に見えるが、

何分なにぶん、まだ若過ぎるからな、

その辺は、私たち大人が本人にうとまれない程度に、

カバーすれば良いであろう。」


「大きな力を持った子供ですか、

懐に抱え込むには危険もあると思われますが・・・」


「サスケは、すでに我が領へ、

多大な貢献こうけんをしてくれているからな、

多少の問題事は甘んじて受け入れようではないか、

それに、私は、あの者がこれから何を成していくのか楽しみなんだよ。」


「はぁ・・・お館様の悪い癖がまた出ましたな、

分かりました。

あの者の行く末は、拙者せっしゃも気になりますゆえ、

目を配る事といたしましょう。」


「いつもすまんな、カタブツよ。」


「いえ、みずから進んで、お館様の為に働こうとちかった、

この身の上ですから、

これも本望ほんもうであります。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ