ミルク
「お頭、こちらの方々は、どなたなんですか?
それに、サブロー様と言うのは・・・?」
「ああ、お前たちになら、
もう話しても良いな、この人たちは・・・」
サスケは、フェルナリア皇国に勇者として召喚されたから、
ルクシア共和国へと移り住むまでの出来事を、
サンたちや、ダンミーツたちに語り聞かせた。
「ご主人様が、元勇者様だったなんて・・・」
「皇国の連中は最低だな・・・あっ!ごめんなさい。」
リンは皇国の行いを批判したが、
ミルキィが王女だったのに気付いて謝罪した。
「いえ、謝る必要は無いですよ、
私も皇国のサブロー様への仕打ちは酷いと思いますから。」
サンたちは、悪い事は素直に悪いと言えるミルキィに、
好感を憶えた。
「と言う訳で、彼女が元婚約者のミルキィ王女で、
こちらが師匠のヴィン爺ぃだな。」
「お頭の師匠なんて、どれだけ凄い人なのか想像も付きませんね。」
「ヴィン爺ぃは、本名をヴィンセント・オナルダスと言って、
昔は大賢者様って言われてたらしいぜ。」
「「「「「「「「大賢者様!?」」」」」」」」
「ほっほっほっ、昔の事じゃよ、
今は隠居している身だからヴィン爺ぃと呼んでくれるかのう。」
「だそうだ、
それと、ミルキィ様とヴィン爺ぃも俺の事はサスケで頼むぜ。」
「分かったぞい。」
「分かりました。
私も国を捨てたので、ミルクと呼んで頂けますか?」
「あ~、この街はルクシア共和国だけど、
比較的に皇国へ近いから、
その方が良いかもな、みんなもミルクって呼んでくれるか。」
「「「「分かりました。お頭。」」」」
「「「「畏まりました。ご主人様。」」」」
「マリィもミルクって呼んでね。」
「畏まりました。ミルク様。」
「あれ?君は確か・・・」
「はい、ミルク様の侍女を務めていますマリィです。
お久し振りですね、サスケ様。」
「ミルクと一緒に来たの?」
「はい、実家の商店は兄夫婦が継いでおりますし、
ミルク様のいらっしゃらない皇国に居ても仕方が無いので、
ご一緒させて戴きました。」
「じゃあ、マリィはミルクの身の回りの世話とか、
屋敷の仕事を手伝って貰えるかな?」
「畏まりました。旦那様。」
「旦那様!?」
「はい、サスケ様がミルク様とご結婚されれば、
旦那様ですよね?」
「え~と、確かにそうなんだけど、
まだ結婚した訳では無いのでサスケって呼んでくれるかな?」
「畏まりました。サスケ様。」
「エルザさん、ライ様達にも私の名前はミルクでお願いしますと、
お伝え願えますか?」
「分かったよミルクさんだね、
じゃあ、ミルクさんを無事にサスケさんの元へと送り届けた事だし、
私はマッスル王国へと帰るとするよ。」
「エルザさん、歓迎の宴を準備致しますから、
もう少しゆっくりされて行かれれば、いかがですか?」
「そうしたいのは山々なんだけど、
うちの国は、まだ開発段階なんで、
やらなきゃならない事が山積みなんだよ、
悪いけど、これでお暇させて戴くよ。」
「それでは、ライ王様の元へは、その内お礼に伺わせていただきますが、
取り敢えずのお礼の品として、これらをお持ち頂けますか。」
サスケは『魔倉』から品物を取り出して、
テーブルの上に並べた。
「これらの品々は?」
「俺が造った魔導バック、魔導リュック、魔導ポーチ、上級治療薬、
魔力回復薬、ソーマです。」
「ソーマって、あのソーマかい?」
「はい、一度限りですが死者を生き返らせる事が出来ます。」
「そんな貴重な物を、こんなに頂いても良いのかい?」
「はい、うちの者には持たせておりますし、
俺は『蘇生』の魔法が使えますので大丈夫です。」
「今、『蘇生』の魔法って言ったかい?」
「はい、俺は使う事が出来るんですよ。」
「驚いたね、『蘇生』の魔法なんて聖教会の法王だって、
ここ何代か使える者が出て来ないって言うのに。」
「マッスル王国で、誰かを生き返らせなきゃならない時は、
死後3日位なら何とかなりますので、
ご連絡を頂けたら伺いますよ。」
「じゃあ、これを渡しておいた方が良いかな。」
エルザが携帯電話の様な物を取り出して、
サスケへと手渡した。
「これは?」
「ライが作らせた魔導通信機って言う魔導具だよ、
離れた場所でも連絡し合えるんだ。」
「それは凄いですね!」
サスケは、エルザから手渡された時に、
その形から、もしや?と考えたが、
通信機が実用化されていると聞き驚いた。
「ああ、ライの雷魔法を魔石に封じ込めて動かしているそうだよ、
だから、一年に一回位魔力を補充しなくちゃならないそうさ。」
「なる程、雷魔法は勇者ライの代名詞ですからね、
その内に今回のお礼がてら、
魔力を補充して戴きにマッスル王国を訪ねます。」
「分かったよ、
その時は魔導通信機で連絡をしてくれれば良いからね。」
「分かりました。」
「じゃあ、私はこれで帰るよ、
サスケさん、お土産はありがたく頂いて行くよ。」
「はい、どうぞお持ちになって下さい。
色々と、ありがとうございました。」
「ルクアさんに、よろしくお伝え下さい、
今まで、お世話になりました。」
「世話になったのう、気を付けて帰るんじゃぞ。」
皆からの、お礼の言葉と別れの挨拶を受けて、
エルザはマッスル王国へと帰って行った。




