ケルベロス
「「「「ふわ~、おはようございます。お頭。」」」」
「「「「クワ~、キキッキキキ~。」」」」
10時頃になってサンたちや、レッドたちが起きてきた。
「おはよう、みんな。
ゴーレムウルフの本体が出来たんだけど、どうだ?」
「この色は・・・もしかしてフレイムドラゴンですか?」
「ああ、強度を考えてドラゴンの革をつかったんだ。」
「じゃあ、障壁も?」
「もちろん、体内に魔獣から採取した魔石を入れて、
耐衝撃、耐魔法の障壁を展開させるぞ、
信頼の省エネ設計で魔力を1か月に1回充填すれば良いんだ。」
「は~、なにかとハイスペックなゴーレムですね。」
「お頭、体の中って、どうなってるんですか?」
「中身は、アースドラゴンの骨を加工して造ってあるんだ、
素材を調べたら、障壁が無いからかアースドラゴンの骨の方が、
フレイムドラゴンより強かったんだよ。」
「なる程、両方の良いとこ取りって事ですね。」
「「「「キキキ~!」」」」
「そうか、強そうでカッコイイか、
魂を入れたらレッドたちも乗せてやるからな。」
「「「「キ~!」」」」
「お頭、私も乗ってみたい!」
「ゴーレムウルフは頑丈だから、
ジュリーでも楽に乗せられるけど、
傍から見ると動物・・・いや、ゴーレム虐待に見えるんじゃないか?」
「え~そうかな~?」
「お頭、騎乗用のゴーレムはザドス王国などに行けば、
普通に使われているので大丈夫だと思いますよ。」
「へ~、騎乗に使われているゴーレムも居るのか、
一度見てみたいもんだな。」
「お頭、中に入れるハンターウルフを捕まえて来ましょうか?」
「いや、偶には俺も体を動かしたいから、
レッドたちと一緒に狩ってくるよ、
サンたちは昼飯の準備をしててくれるか。」
「分かりました。
昼食は何を召し上がりますか?」
「そうだな~、今日はウドンの気分かな。」
「賛成~!お頭、テンプラも食べたいです。」
「おう、じゃあホロホロ鳥のササミのテンプラと、
ドラゴンの肉と野菜でカキアゲを作るとして、
リンとジュリーで山菜もいくらか採ってきて揚げるか。」
サスケは『魔倉』からホロホロ鳥のササミや卵、
それとドラゴンの肉や野菜を取り出しながら、
リンとジュリーに指示を出した。
「「分かりました!」」
「サンとロリーは火を起こして、
テンプラ作りとウドンを茹でる準備をしててくれるか。」
「「はい、お頭。」」
「じゃ、ウドンとツユを造るとするか。」
サスケは女神に貰ったスキル『恒久必出』を使って、
魔力を消費してウドンの麺と、出汁ツユ、出汁ショウユを造った。
「お頭は、いつもの様にツユ無しですね。」
「おう、俺は出汁ショウユと、ホロホロ鳥の生卵を絡めて食べるぞ。」
サスケはツユに入れたウドンより、
茹でたての麺にショウユと生卵を絡めて食べるのが好みだ。
サンたちは、ツユ入りウドンにテンプラや生卵を乗せて楽しんでいる。
「分かりました。」
「よし、じゃあレッドたちは俺とハンターウルフを狩りに行くぞ。」
「「「「キキッ!」」」」
「この辺が良いかな?」
サスケは、森と草原の分かれ目付近で狩りをする事にする、
ハンターウルフは主に草原で群れを作って行動する事が多く、
集団による狩りで獲物を獲って暮らして居るのだが、
草原は見通しが良すぎるので、
森の方に誘導して捕獲する事にしたのだ。
「よし、俺は森の木の陰に隠れているから、
レッドたちはハンターウルフの群れを、この場所に誘導して来てくれるか?」
「「「「キキッ!」」」」
「ウルフたちに囲まれない様に、
常に付かず離れずの距離をキープするのを忘れるなよ。」
「「「「キッ。」」」」
「よし、じゃあ作戦開始だ。」
サスケが告げると、レッドたち4人(?)はシュッと消え去った。
レッドたちが消えてから30分程すると、
サスケの気配察知に反応があった。
「おっ!レッドたちが上手い事連れて来た様だな、
え~と・・・大体30匹位の群れかな。」
しばらくすると草原に、
ハンターウルフたちが上げる土埃が見えて来て、
その先頭にレッドたちが走っているのが見えて来た。
「よし、こっちだ。」
サスケが、レッドたちにだけ聞こえる特殊な会話で伝えると、
一直線に、こちらの方向へと誘導して来た。
「そのまま、駆け抜けろ。」
サスケが伝えると、
レッドたちはサスケが隠れている木の横を通り抜けて行った。
「良いぞ!よし『麻痺』」
サスケはハンターウルフの群れが近付いたのを見計らって、
魔法を発動した。
ハンターウルフたちは突然、感電したかの様に痙攣を起こすと、
その場に崩折れた。
「作戦成功だ。
良くやったな、お前たち。」
「「「「キキ~!」」」」
「じゃあ、この中から良さそうな個体を選ぶかな。」
サスケは、ウルフの群れの中から、
リーダーや副リーダーっぽい感じの、
体が他のウルフより一回り大きな者や、
若いウルフで身体能力が高そうな者を5匹選ぶと、
縛り上げてから『浮遊』の魔法で持ち上げた。
「「「「キキッ?」」」」
「あ~、残りのウルフはどうするのかって?
素材としては大した事無いから、このまま置いて行こう。
この草原は小動物が多いし、街道からも離れているから、
こいつらが人を襲う事も無いだろうしな。」
「「「「キ~。」」」」
「ただいま~。」
「「「「キキ~。」」」」
「お帰りなさい、お頭。
お帰り、みんな。」
「先にゴーレムウルフを完成させるから、
ウドンを茹でててくれるか。」
「はい、分かりました。」
サスケはハンターウルフたちをゴーレムの横に降ろすと、
スキルを唱える。
「よし、『生吸入魂』×5どうだ?」
ハンターウルフの体から白い光が出て来ると、
ゴーレムたちへと吸い込まれて行った。
「「「「「バウワウ!」」」」」
「よし、成功した様だな、
ハンターウルフの体は一応保管して置くか。」
「お頭、ゴーレムウルフたちは、
チビリンたちみたいにリアルじゃ無いんですね。」
様子を覗きに来たリンが尋ねた。
「ああ、細かく造り込むと魔力を大量に消費するんだ、
ゴーレムウルフたちは屋敷の警備用に造ったから、
そこまで細かく造り込む必要も無いと思ってな。」
「それもそうですね、
リアルな赤い犬なんて、地獄の犬みたいですもんね。」
「番犬としては良いかも知れないぞ。」
「そんなのが敷地の中をウロウロしていたら、
スクルちゃんが泣きますよ。」
「それもそうか。」




