イエローは食いしん坊
「サ・・・サスケ殿、ほ・・・本当に世話になった・・・のう。」
「二日酔いですか?村長さん。」
「う・・・うむ、サスケ殿の作ったヤ・・・ヤキニク・・・うぷっ、
あれが、さ・・・酒に合いすぎてのう。」
「そうですか、メイシアちゃんに教えて貰った、
スッキリシ草で造った薬がありますけど、飲みますか?」
「ほ・・・ほう、サ・・・サスケ殿が造られた薬ですか、
で・・・では、一つ頂くとしようかの。」
「どうぞ。」
サスケは『魔倉』から丸薬を取り出して村長に手渡した。
村長は井戸で水を汲むと丸薬をゴクリと飲み下した。
「・・・うん!?
な、なんと頭痛と不快感がもう消えましたぞ!?」
「ええ、スッキリシ草のエキスを抽出して凝縮した薬だから、
効き目は確かだと思いますよ。」
「村の男衆も頭を抱えてうなっとるから、
今の薬を、もう少し頂けますかのう。」
「ええ、たくさん造ったんで良いですよ、
余ったら村長さんが、またお使い下さい。」
サスケは『魔倉』から素焼きのツボごと出して村長に渡した。
「貴重な薬を、こんなに頂いても宜しいのですか?」
「ええ、小さなスッキリシ草を土ごと何本か採取していますので、
ピロンの街に帰ってから栽培してみようと思います。
その薬は、スッキリシ草を教えてくれたメイシアちゃんと、
ブタヅーラ村へのお礼ですよ。」
「お礼なら、
ドラゴンの肉や、お酒をご馳走になっただけでも十分なんですがのう。」
「その辺は、気持ちって事で受け取って下さい。」
「サスケ殿が、そう言われるなら、
ありがたく頂いておきますじゃ。」
「ええ、それじゃ色々とお世話になりましたが、
俺たちは、これで引き上げるとします。」
「こちらこそ、村をお救い戴きまして感謝しておりますじゃ。」
「お兄ちゃんたち、もう帰っちゃうの?」
「メイシアちゃん、見送りに来てくれたのか。」
そこには、メイシアちゃんと一緒に、
村の人たちが見送りに集まってくれていた。
「うん、あのねメイシアね、
大きくなったら、お兄ちゃんたちみたいな冒険者になるんだ。」
「そうか、じゃあ、そんなメイシアちゃんに俺からのプレゼントだ。」
サスケは、スッキリシ草のお礼と、
一人で森に入ってしまうメイシアちゃんの安全の為に、
『魔倉』からサンたちとお揃いの加護付きの忍者服を取り出して、
メイシアに手渡した。
「わぁ~!お姉ちゃんたちとお揃いの服だ~、
これメイシアが貰っても良いの。」
「ああ、これでメイシアちゃんも俺たちの仲間だから、
森に入る時は、それを着るんだぞ。」
「うん、ありがとう、お兄ちゃん。」
「それと村長さん、これは俺が造った治療薬なんで、
良かったら貰って下さい。」
「こんなに、たくさん宜しいのですか?」
「ええ、腕が衰えない様に、定期的に造る様にしているので、
在庫がダブついているんですよ。」
「村には医者が居ないので大変助かりますじゃ。」
「喜んで頂けて良かったです。
それじゃ、俺たちは帰りますんで、
村の皆さんもお元気で。」
「サスケさん、本当にありがとうございました。」
「村の近くに来た時は寄ってくれよな。」
「また一緒に飲もうぜ!」
「ピロンに野菜を送るからね。」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんたち、またね~!」
「ええ、また来ます。」
「また宴会をしましょうね。」
「お世話になりました。」
「第3回肉祭りを必ず!」
「メイシアちゃん、またね~。」
「じゃあ、失礼します。」
「「「「さようなら~。」」」」
「「「「「「「「さようなら~!」」」」」」」」
サンが馬車を出発させた後も、
俺たちもメイシアちゃん達も、お互いが米粒の様に小さくなって、
見えなくなるまで手を振りあった。
「お頭、良い村でしたね。」
「ああ、気持ちが良い人ばかりだったな。」
「アタイは一人っ子だったから、
妹が居たらメイシアちゃんみたいだったかなって思った。」
「あ~、一人で森に入っちゃう辺りはリンに似ているかもな。」
「アタイって、そんなに無鉄砲ですか?」
「「「「その通り。」」」」
「うう~っ、アドリブで返事が揃うなんて・・・」
「お頭、馬車の御者をサンと変わりましょうか?」
ロリーが聞いて来る。
「いや、帰りは急ぎじゃ無いから、
街道の鷹の出番は無いな。」
「え~、帰りもカッ飛ばしましょうよ。」
「いや、予定通りに魔力が増えた事だし、
途中の森でやる事があるから、帰りはノンビリ旅だな。」
「あ~、チビリンの仲間を造ったり、
ハンターウルフのゴーレムを造るんですね。」
「そう言う事だ、森の方がピーピングモンキーや、
ハンターウルフを捕まえ易いからな。」
「一度に全部造るんですか?」
「いや、お前たちに魔獣を捕まえて貰っている間に、
受け皿となる本体を造らなくちゃならないから、
先にチビリンの仲間たちを造って、
終わってからゴーレムウルフだな。」
「分かりました。」
「チビリンの仲間は、他の人に似せて造るんですか?」
「いや、一度造っている所為か、
何となくリンに似せた方がシックリくるから、
忍者服の色を変えてチビリン・レッドとか、
チビリン・ブルーとかにしようと思う。」
「え~、またアタイそっくりにするんですか~。」
「確かにチビリンを見慣れているから、その方が良いわね。」
「うんうん、チビリン可愛いじゃない。」
「チビジュリーじゃ語呂が悪い。」
「もう!みんな自分じゃ無いからと思って、
適当な事言ってるでしょ!」




