テッパン
「と言う訳で、無事フレイムドラゴンの討伐が成功しましたので、
第2回ブタヅーラ村肉祭りを開催します!」
「「「「「おお~~~~っ!!」」」」」
村人から盛大な歓声とパチパチと拍手が湧き上がった。
「しかし、サスケ殿、本当に宜しいのですか?
フレイムドラゴンの肉と言ったら、
昨夜のアースドラゴンより遥かに高値で取引されておりますぞ。」
「構いませんよ、
あんなに大きなドラゴンから取れる肉ですから、
村の人たちと一晩くらい楽しんでも知れたものですよ。」
「そう言って下さるなら、ご馳走になりますじゃ。」
「ええ、どんどん召し上がって下さい。
それと、また野菜を分けて頂いても宜しいですか?」
「それこそ、ご自由にお使い下され。」
「では、遠慮無く使わせて戴きます。」
「お頭、メニューは昨日と一緒で良いですか?」
「いや、一緒じゃ芸が無いから別メニューにしようぜ。
俺はジュリーと畑で野菜を貰ってくるから、
サンたちは、村の人たちとドラゴンの肉を切り分けててくれるか。」
「どの位の大きさにカットすれば良いですか?」
「厚み1センチ以内で、大きさは10センチ位までに切っててくれるか。」
「そんなに薄くて良いんですか?」
「ああ、余分な脂を出して肉の旨味を引き出す料理にするからな。」
「うわ~楽しみです。」
「じゃあ、みんな頼んだぞ、
ジュリーは俺と畑に行くぞ。」
「「「「はい、お頭。」」」」
「お頭、今日はどんな野菜を使うんですか?」
「そうだな・・・
この、カボチャっぽいのと、ジャガイモっぽいのに、
ニンジン、タマネギ、ピーマン、キャベツ、レタスっぽいので良いかな。」
「色々な野菜を使うんですね。」
「ああ、肉がたっぷりあるから、
付け合せの野菜は多い方が良いんだよ。」
「そうなんですか。」
サスケとジュリーが野菜を収穫してから村に戻ると、
サンたちと、村の人たちが総出で大量の肉を捌いていた。
「「ただいま~。」」
「「「おかえりなさい、お頭、ジュリー。」」」
「野菜を採って来たから、葉野菜は一枚ずつに剥がして、
その他は1センチ以内の厚みに切ってくれるか。」
「分かりました。」
みんなが野菜を切り分けている間に、
サスケは調理の準備をする事にする、
と言っても焼き場所を作るだけなので、
『造形』と『硬化』の魔法で地表の土を加工して造った台の上に、
『魔倉』の中に入っていた鉄のインゴットを加工した、
大きな鉄板を乗せていくだけだ。
「ふう、こんなもんかな。」
そこには、村人全員が揃っても十分な数の焼き台と、
やはり土を加工して造ったイスが出来上がっていた。
「お頭、野菜も切り終わりました。」
「そうか、じゃあ焼き台に火を入れても良いかな。」
サスケは、『魔倉』から木炭を取り出すと、
焼き台に入れて火を点けて周った。
「じゃあ、みなさん、好きな場所の焼き台に座って下さい。」
サスケの指示で、家族や友達などに別れて席に着いて行った。
「鉄板に熱が入ったら脂身を溶かして、肉を焼いて下さい。
新鮮な肉なので、両面に軽く焼き目が付いたら食べられます。
まずは肉の味を楽しむ為に塩コショウのみで味わってみて下さい。」
サスケの指示で、あちこちの焼き台でジュウジュウと肉が焼かれ始める。
「うんめ~!ステーキも良いが、
この調理法も肉の味が際立つな。」
「アースドラゴンも凄く美味しかったけど、
やっぱり格段に上の味ね。」
「脂が、しつこく無いから幾らでも食べられそうだぜ。」
「皆さん、肉の味を楽しみましたら、
肉と野菜をバンバン焼いて、このタレで食べてみて下さい。」
「サスケ殿、このタレと言うのは・・・?」
「はい、これはヤキニクのタレと言いまして、
俺が生まれ育った国では人気がある調味料なんですよ、
お酒とかご飯にも合うので、皆さんドンドン召し上がって下さい。
あと、焼いた肉をタレに付けてから葉野菜で巻いても美味しいですよ。」
サスケは『魔倉』からハッポーシュやチュウハイ、
オニギリを出して振る舞った。
「お酒を飲まない人や子供たちにはスープもありますよ。」
サスケはホロホロ鳥の卵とタマネギを具材にした、
中華風のスープも振る舞う事にする。
「サスケはん、あんた何ちゅうもんを食べさせてくれるんや、
こないに酒に合う料理を食べさせられたら、
明日、仕事にならへんやろ!」
村長が、怪しげな関西弁風の言葉で涙を流しながら、
肉や酒をカッ喰らっている。
「見事な仕事をしておるな!
どれ、褒美の言葉を掛けるとしよう、
この料理をした者を呼んでまいれ!」
「いや、あんた自分で焼いて食べただけだろ。」
「お頭、このタレに付けると肉を野菜も凄く美味しいです。」
「ホント!酒にもオニギリにもピッタリだね。」
「肉が新鮮だから、こう言う食べ方も美味いぞ。」
サスケは、ご飯の上に細切りした肉を乗せて、
その上にホロホロ鳥の卵の黄身を潰してからタレを掛けた。
「肉を生で食べるんですか?」
「ああ、一応『殺菌』の魔法を掛けてあるから大丈夫だぞ。」
「少し頂いてみても良いですか?」
「おう、食ってみろ。」
「いただきま~す・・・こ、これは!?
お頭、う~んまいです!!
口の中でお肉が蕩けるみたいに消えて行きます。」
「アタイにも一口・・・う・ま・い・ぞ~!!
お頭、お願いですからアタイにも作って下さい。」
「おう、簡単だから、今、作ってやるよ。」
リンたちが美味しそうに食べているのを見て、
村人にも食べたがる者が居たので作って振る舞った。
「こっちの世界では生肉を食べる文化が無い様だから、
どうかと思ったけど、
なんちゃってユッケも受けが良いみたいだな。」
その日、ブタヅーラ村では夜遅くまで料理や酒を楽しむ喧騒が続いた。




