サン殉職
「来るぞ!
5・・・4・・・3・・・2・・・1、落ちろ~!!」
サスケがクロスボウを発射すると、
矢はフレイムドラゴンへと真っ直ぐに飛んで行き、
ドラゴンの障壁で僅かに勢いを落としたが、
突き抜けて羽根に大きな穴を開けた。
羽根に穴が開いたドラゴンはバランスを崩して、
錐揉み回転をしながら落下して、
ズズ~ン!と大きな音を出して大地に激突した。
『グウラァァァァァァン!』
当然の事ながら、ドラゴンは相当ご立腹の様だ。
「よし、まずは普通に攻撃してみろ。」
「「「「はい、お頭。」」」」
ロリーは弓で、サンたちは忍者刀で切り掛かる、
ゴン!ガン!と音を発てて、
攻撃がドラゴンの障壁に跳ね返されている。
「て、手が痺れた。」
「お頭、ちょ~硬いです。」
『グラァァァァァン!』
ドラゴンがサンたちに向かって口を開いた。
「ブレスが来るぞ、気を付けろ。」
ゴォォォォォッ!と音を発てて炎のブレスが放たれた。
「熱ちちちちっ!」
少し逃げ遅れたジュリーが喰らっていた。
「大丈夫か?ジュリー。」
「はい、ちょっと熱かったですけど、
ヤケドもしませんでした。」
ドラゴンは自分のブレスが効いていない様子なのを見て、
警戒をしている様だ。
「指輪の防御は大丈夫みたいだな、
そんじゃ、次は魔導具を使って攻撃するぞ、
その手袋型の魔導具は獣人が得意とする『気』を使って攻撃するんだ、
手に『気』を纏うイメージで、
『気を纏いて敵を討つ!』のキーワードで発動して、
通常、人体にしか作用しない『気』を武器に付与してくれるんだ。」
「それなら、私たちにも使えますね。」
「そうだ、さっそく使ってみろ。」
「「「「はい!お頭。
気を纏いて敵を討つ!」」」」
手袋が白く輝いて、各々が手に持った武器を包み込んで行く。
「行くわよ!はっ!」
ロリーが矢を放つと、ドラゴンの障壁を抜けて体に突き刺さった。
『グラァァァァァァッ!?』
ドラゴンは今まで味わった事が無い痛みに戸惑っている様だ。
「リン、ジュリー、私たちも行くわよ!」
「「おう!」」
サンの掛け声に応えて忍者刀で切り掛かった。
「たあぁぁぁぁっ!」
「やあぁぁぁぁっ!」
「はあぁぁぁぁっ!」
ザシュッ!ガシュッ!ドシュッ!と3人が切った部分から、
血飛沫が上がった。
『グルアァァァァァン!』
ドラゴンは痛みから逃れようと飛び立とうとしているが、
羽根に穴が開いているので思うように飛び立てないでいる、
そうこうしている間にもサンたちが攻撃を加えていて、
ドラゴンの治癒能力を上回っているのか、
体が傷だらけになってきた。
しかし、一方のサンたちも大分、肩で息をする様になって来ていた。
「何か、いつもより疲れない?」
「ホント、体が重くなって来たわ。」
「そりゃそうだよ、
その魔導具を使っていると常時『気』を発動しているからな、
通常の『気』は拳を敵に当てる時だけ発動するんだから、
何倍も疲労するのが当たり前だな。」
「なる程、そう言うデメリットもあるんですね。」
「ああ、ここぞと言う時の必殺技みたいなもんだな、
よし、後は俺が倒すから、お前たちは休んでて良いぞ。」
「「「「はい、お頭。」」」」
サスケはミスリル製の忍者刀を抜くと魔力を纏った。
「悪いけど、俺のレベルアップの為に経験値になって貰うぜ。」
『グルゥゥゥゥッ』
満身創痍のドラゴンは、
サスケが発する気魄に怯えている様だ。
「おりゃぁぁぁぁっ!」
サスケは、ドラゴンの首に向かって切り付けた。
ザシュッッ!!
ドラゴンの首に大きく傷が入って、血が噴き出した。
「お頭!危ない!!」
ドラゴンが最後の足掻きなのか、
サスケに向かってシッポを振るって来たのだ。
まさか反撃をしてくるとは思っていなかったサスケは虚を突かれて、
一瞬反応が遅れた。
衝撃に備えて身構えたサスケをサンがドン!と突き飛ばした。
ドガッ!
サスケの身代わりになったサンが、
ドラゴンの一撃を受けて吹き飛ばされた。
「「「「サン!!」」」」
「くそっ!くたばりやがれ!!」」
サスケはドラゴンの首を切り飛ばした。
ドラゴンが地面に倒れ伏すのを確認すると、
すぐさまサンの元に駆け付けた。
「サン、しっかりしろ、大丈夫か?」
「お頭はご無事でしたか?」
「俺は大丈夫だ、今、治療薬を飲ませてやるからな。」
「私は、もう助かりません、
短い間でしたが、ありがとうございました。」
「何を言ってるんだ、しっかりしろ!
まだまだ、これから面白い事が山ほど待ってるんだぞ。」
「お頭、いつまでも強くてカッコイイ、お頭で居て下さい・・・ガクリ。」
「サン!しっかりしろサ~~~ン!!」
「「・・・・・・・」」
「・・・・お頭、『ソーマ』は使わないんですか?」
「一応、ドラゴン戦だし、こう言う場面も必要かと思ってな、
『ソーマ』は必要ないぞ、『蘇生』っと。」
「う・・・う~ん、
お頭、私は『ソーマ』で生き返ったんですか?」
「いや、俺は『蘇生』の魔法が使えるから、
俺と一緒の時は『ソーマ』は必要無いんだ、
俺が居ない時の保険みたいなもんだな、
それに、『ソーマ』は一度しか使えないみたいだから、
なるべく使わないで取って置いた方が良いぞ。」
「『蘇生』の魔法なんて、
聖教会の教皇様でも、ここ何代か使える方が現われていませんよ、
相変わらず、お頭は規格外ですね。」
「まあ、例によって内密にな、
そんじゃ、ドラゴンの死体を『魔倉』に回収して帰るとするか。」
「あっ、私はメイシアちゃんを連れて来ます。」
「ああ、指輪を返して貰うのを忘れるなよ。」
「分かりました。」




