コドモ大トカゲ
「そんじゃ、チビリンの仲間を増やす為にも、
俺のレベルを上げて魔力を増やしたいから、
ギルドで、ちょうど良い魔獣の討伐クエストが無いか聞いてくるぞ。」
ピロンの街へと返って来た日の翌朝、
サスケは朝食を食べ終えた後の食休みの席で、
サンたちに告げた。
「お頭、本当に私たちは、一緒に行かなくて宜しいのですか?」
「ああ、この街の周辺の魔獣じゃ弱すぎるから、
俺たちが受けるぐらいの討伐クエストとなると、
泊りがけになるからな、
どっちにしても馬車を取りに帰らなくちゃならないから、
ここで、待機していてくれ。」
「畏まりました。お頭。」
「「「いってらっしゃい、お頭。」」」
「「「「いってらっしゃいませ。ご主人さま。」」」」
「おう、行ってくるぜ。」
「こんちわ~。」
「あら、サスケさま、ピロンにお帰りになられたのですね。」
「ああ、昨日の昼頃戻ったんだ。
そう言えばモモヨさん、
ラッスンの街のダンディーに変な事を吹き込んだでしょ、
ネタを仕込んどくのは止めてくれよな。」
「またまた、サスケさまったら嬉しいくせに。」
「嬉くねぇ!本当に止めろ。」
「あんまり、カッカカッカしますと血圧が上がりますよ。」
「俺が、高血圧が原因で死んだら、
9割はモモヨさんの所為だな。」
「サスケさま、
高血圧には、塩辛い食べ物を食べると良いらしいですよ。」
「逆だろ、逆!俺を殺す気か!?」
「まあ、さすがサスケさま、博識ですわね・・・チッ!」
「お前、今、チッて言っただろ、チッて!」
「そんな、キレやすい若者のサスケさまに、
ピッタリのクエストがあります。」
「俺が悪いみたいに言ってんじゃねぇ!」
「クエストの説明は、お静かにお聞き下さい。」
「お前が、大声を出させてるんだろ!
まあ良いや、どんなクエストなんだ?」
「はい、ピロンの街から馬車で2日程の場所にある村で、
未確認の魔獣に家畜が襲われたとの事ですので、
その魔獣の調査と、出来れば討伐をお願いしたいとの事です。」
「魔獣に関係した情報は何かあるのか?」
「村からの情報に依りますと、
その魔獣に関係があるかは定かでは無いとの事でしたが、
曰く、村の周辺から動物が消えた。
曰く、大型の魔獣と思われる鳴き声を聞いた。
曰く、沢山の魔獣が移動しているのを見た。との事でした。」
「そりゃ、何か大物が居そうな感じだな。」
「あと、これはどうでもいい情報なんですが、
子供が大きなトカゲを見たと言っていたそうです。」
「それ、一番大事だろ!
子供が大きなトカゲって言ったなら、ドラゴンじゃないのか?」
「サスケさま、子供は正直なものですよ、
子供が大きなトカゲと言ったら、
それは、大きなトカゲなんですよ。」
「何、常識人っぽい事言ってんだよ、
ドラゴンを見た事が無けりゃ、大きなトカゲって言うだろ。」
「それは、まったく気づきませんでしたわ!」
「ウソつけ!」
「それで、お受け戴けますか?」
「ああ、サンたちの腕前も上がってるから、
仮にドラゴンだったとしても何とかなるだろ、
良いぜ受けるよ。」
「ありがとうございます。
では、クエストの登録手続きを致しますので、
少々、お待ち下さいませ。」
「おう。」
「ただいま~。」
「「「「お帰りなさい、お頭。」」」」
「「「「お帰りなさいませ、ご主人さま。」」」」
「お頭、何か良いクエストあった?」
「おう、あったぜリン、
上手く行けばドラゴン・スレイヤーに成れるぞ。」
「「「「「「「「ええ~っ、ドラゴン!?」」」」」」」」
「クエストの対象はドラゴンですか、お頭。」
「ああ、確認された訳じゃ無いんだが、
状況から見て、そう考えた方が良いだろうな。」
「ドラゴンなんて、普通は騎士団とかが討伐するんじゃないんですか?」
「確認が取れない内は動かないだろうな。」
「私たちで大丈夫でしょうか?」
「いざと言う時は俺が倒すから、大丈夫だろ。」
「分かりました。
そう言う事だけど、みんなやれる?」
「お頭が付いててくれるなら、やれるでしょ。」
「アタイも、ついにドラゴン・スレイヤーか~。」
「ドラゴンて、美味しいのかな。」
「そうだ!一応、これを保険の意味で渡しておくから、
各自、魔導ポーチに入れておけ。」
サスケは『魔倉』から何かを取り出して、
サンたちに手渡した。
「お頭、これは何ですか?」
「それは、ソーマだ。」
「えっ?今、何て?」
「ソーマだ。」
「ソーマと言うと、
もしかして、死んだ人を蘇らせるって言う、
あのソーマですか?」
「そうだ。」
「ええ~っ!?国宝級の薬じゃないですか!
どうやって手に入れたんですか?」
「俺が造った。」
「もう、お頭は何でもありですね。」
「貴族や国に知れると面倒だから、
みんな内緒にする様にな。」
「「「「「「「「は~い。」」」」」」」」
「そう言えば、ダンミーツたちにも各自に魔導ポーチと、
買い物用に手提げの魔導バックを造ってあったんだったっけ。」
サスケは『魔倉』から取り出して、各自に配った。
「ご主人さま、魔導バックは非常に高価と伺った事があるのですが、
宜しいのでしょうか?」
「おう、バックは俺のスキルで造った物だし、
加工も俺の魔法でやったから、正真正銘のタダだから良いぜ。」
「ありがとうございます。
大切に使わせて戴きます。」
「「「ご主人さま、ありがとうございます。」」」
「お頭、馬車の準備をしますが、
クエストで行くのは何て村なんですか?」
「ピロンの街から、
馬車で2日程の場所にあるブタヅーラ村ってとこだぞ。」
「ああ、オーク村か。」
「オーク村?」
「ええ、前に私たちもクエストで行った事がある村なのですが、
人族の村なんですけど、村人の男が皆オークに似ているんですよ。」
「男だけなのか?
それじゃ、女はどんな顔なんだ?」
「それは、着いてのお楽しみって事で。」
「そうか、それは楽しみだな。」




