発覚した真相
ガチャッ!とドアを開けて女将(女装)のダンディが部屋に入って来た。
「「「「女将さん!?」」」」
「「「「!?」」」」
「サスケ様は、驚かれて無い様ですね。」
「ああ、ドアの外にダンディさんが居るのは分かっていたからな。」
「気配を殺していたのに気付くとは、
さすがサスケ様ですな。グワッツ!」
「それで、ダンディさんは、どちらの手の者なんですか?」
「そこまで、お気付きなのですか!?」
「ああ、初めて会った時に、身のこなしが素人のソレでは無かったからな。」
「なる程、お見それ致しました。
サスケ様のご推察の通りに、
私はルクシア共和国代表のカメオーク様の配下の者です。」
「各地に不穏な動きが無いかを見張る為に、派遣されているのか?」
「そうでございます。
現地で生活しながら定期的に報告を送っています。グワッツ!」
「じゃあ、ラッスンの街の領主オークシャの動きも掴んでいたんだな。」
「はい、不穏な動きは察知していたのですが、
オークシャが手紙を送るのに使っていたシーフが優秀だったので、
証拠を手に入れるのに苦労しておりました。」
「まあ、中々の腕前だったからな。」
「サスケ様なればこそ捕えられたのですな、
その、証拠の手紙は、
私が責任を持ってカメオーク様にお届け致しますので、
お譲り戴けませんか?」
「オークシャは、世間にハッキリと分かる形で失脚させて貰えるのか?」
「サスケ様が、そう望まれるのでしたら、
私が責任を持ってカメオーク様にお伝えしておきます。」
「俺は、それで良いと思うが、みんなはどうだ?」
「私は、それで良いです。」
「私も、お頭のご判断に従います。」
「クソ領主に、ひと泡吹かせられるなら良いよ。」
「ぐうぐうぐうぐう。」
「じゃあ、この手紙はダンディさんにお願いします。」
「確かに、お預かり致します。グワッツ!」
「もしかして、その格好も相手を油断させる為なんですか?」
「いえ、ただの趣味です。グワッツ!」
ラッスンの街の領主オークシャが、
フェルナリア皇国のバビントン伯爵に、
ルクシア共和国の情報を流していた証拠となる手紙を、
共和国代表のカメオークが送り込んだ密偵のダンディに託したサスケは、
翌日になって、
皇国の間者である疑いが掛かっている料理人たちを調べる事にした。
2人が、人目に付かない場所で、
内緒話をしているタイミングを見計らって声を掛ける。
「すいません、フェルナリア皇国からみえたホリントさんと、
ホラホリさんでしょうか?」
「ああ、そうだけど、あんたは誰なんだ?」
「俺はですね・・・『催眠』、よし掛かったな、
あとは『転移』」
サスケは2人を連れて、昨日の山小屋に跳んだ。
コンコン!
ドアをノックするとホラレーが顔を出した。
「はい、どちら様かな?」
「『催眠』と、またお邪魔するぜ、
2人とも、山小屋の中へ入れ。」
「「はい。」」
「ホラレーは、そのまま待機して居ろ、
ホリントとホラホリは、俺の質問に答えろ。」
「「「はい。」」」
「ホリントとホラホリは皇国の間者で間違えないか?」
「「はい。」」
「誰の手の者だ?」
「「バビントン伯爵様です。」」
「こいつらは、バビントン伯が送り込んだのか・・・
よし、お前たちは、これからここでホラレーと一緒に暮らすんだ。」
「「はい。」」
「俺が、この山小屋から出た瞬間から、
お前たちは、おホモだち3人衆だぞ、
堀りつ掘られつ仲よく暮らして行くんだぞ、分かったか?」
「「「はい。」」」
「じゃあ、元気でな。」
サスケは、山小屋を後にした。
「「「ウホッ!いい男!」」」
サスケが、ダンディに証拠の手紙を託してから、
しばらく月日が経った、ある日のラッスンの街にて、
領主オークシャ・テリアは配下の者を怒鳴り散らしていた。
「女冒険者共に続いて、牧場の母娘たちまで手に入らんとは、
どうなっておるのだ!
あの母娘たちを手に入れる為に、亭主を毒殺したりに、
どれ程手間を掛けたか分かっておるのか!」
「はっ、申し訳ありません、ご領主様。
なに分、両方ともカモネーギめの奴隷商が買い上げてしまいまして、
私たちが買い付けに行った時には、既に転売した後でした。」
「おのれ、カモネーギめ!
この街で私に逆らうと、どうなるか知らしめてやる必要があるな、
カモネーギを痛めつけて、あの女共を買い上げた者を聞き出すのだ!
その者を殺してでも女共を手に入れてまいれ!」
「はっ、ご領主さま。」
その時、コンコン!と部屋のドアがノックされた。
「ご領主様、ルクシア共和国代表のカメオーク様より、
評議会への召喚状が届きました。」
「何!?何かの間違いではないのか!」
「間違いでは御座いませんよ。グワッツ!」
ガチャッ!とドアを開けて入って来た者を見て、
オークシャは驚きの声を上げた。
「お前は『豚の骨亭』のダンディではないか!
何で、ここに居るのだ!」
「『豚の骨亭』の女将は、仮の姿で御座います。
私はカメオーク様の命により、共和国に不利益をもたらす者を探るのを、
生業としております。」
「おのれ、その方は間者であったか!
お前たち、この者を始末するのだ!」
「この館は既に、カメオーク様が手配した兵士に包囲されております。
無駄に命を散らさぬ事を、お薦め致しますよ。グワッツ!」
それを聞いた、オークシャの配下の者たちは武装を解除して、
両手を上げた。
「お、お前たち!私を守って戦わぬか!
武器を手に取るのだ!」
誰一人、オークシャに従う者は居なかった。
「もはや・・・これまでか・・・。」
オークシャは、ガクリと膝を付いて観念した。
「お頭、お蔭で領主に恨みを晴らす事が出来ました。
ありがとうございました。」
「「「お頭、ありがとうございました。」」」
「おう、良かったな、
ダンディの話じゃ、オークシャは罪を公表した後に、
爵位を剥奪してから処刑らしいぞ。」
「あの男には相応しい最後ですわ、
ご主人様に教えて頂かなければ、
夫の敵に、知らずに感謝して過ごすところでした。
本当に、ありがとうございました。」
「「「ご主人様、ありがとうございました。」
「俺も、オークシャと配下の者たちとの会話を聞いていた、
ダンディから聞いた内容を、ダンミーツたちに伝えただけだけどな。」
「それでも、感謝しておりますわ。」
「それにしても、オークシャが雇った魔導士って、
どんなヤツだったのかな?」
「かなりの腕前なのは、間違い無いと思うわよ。」
「何の話だ?」
「私たちが、クエストを失敗して奴隷落ちした時の話なのですが、
お頭と初めてお会いした皇国の森は、
一年を通じて温暖な気候なので、
暑さや寒さに弱い貴重な薬草が生えていたんですよ、
それが、何者かが大規模な炎や氷の魔法を使った様で、
全滅してしまっていたので採取出来なかったんです。」
(それって、俺が魔法の練習したからじゃねぇ・・・?)
「そっ、そうか、オークシャも酷い事しやがったな。」
(知らない方が幸せな事って、あるよね!)




