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転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
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幕間6

「いよいよ、クロマーク公との婚儀が明日となったな。」

フェルナリア皇国皇帝カムリ8世が、娘のミルキィ王女に話し掛ける。


「・・・・・・。」


「フフフッ、だんまりを決め込むつもりか?

まあ良い、

アルビナ王国のルクレツェア王女に何か入れ知恵されていた様だが、

結局、企みは叶わんのだからな。」


「そっ!その様な事は・・・」


「どの様なたくらみをくわだて様と、

これがあれば問題では無いからな。」

皇帝は懐から何かを取り出してミルキィ王女に見せた。


「それは、何かのクリスタルですか?」


「そうだ、良く見てみるが良いぞ。」


「これが・・・何・・・か・・・」

じきに、ミルキィ王女の瞳から意思の光が消えて行った。


「ミルキィ、明日の婚儀に備えて、部屋で大人しくしておれ。」


「は・・・い・・・お父様・・・」


「フフフッ、このクリスタルには傀儡くぐつの魔法が付与してあるのだ、

魔法耐性が付与されたアクセサリーは侍女に命じて、

既に、ただのアクセサリーに取り換えられておったのよ。」

輝かしい己の未来を思って皇帝は軽々とした足取りで、

王女の部屋を後にした。




翌日、フェルナリア皇国第一王女ミルキィと、

アルビナ王国アトツーギ国王の弟であるクロマーク公爵との婚儀が、

各国の来賓を大々的に招いて、

フェルナリア皇国の首都にある大聖堂にて執り行われた。


皇帝の挨拶や、各国の来賓による祝辞が終わり、

いよいよ、当人同士による誓いの儀となる、

いにしえよりの盟約により、

この婚儀に異議なき者は沈黙を持って、それに答えよ。」

大聖堂に教皇の言葉が厳かに響き渡る。


「「「「「・・・・・・・・・」」」」」


「意義無きようなので『意義あり!!』

むっ!?何やつじゃ!」


『この婚礼は、偽りと欺瞞に満ちている!・・・・・だっけ?』

「『だっけ』って何やねん!」

来賓席の方から若い女性の声でツッコミが入った。


チリ~ン、チリ~ン、どこからか小さな鐘の音が響いて、

大聖堂の中にモヤが立ち込めて来た。


やがてモヤの中に、

ずぶ濡れのミスリル製と見られるよろいを纏った者が現われた。

「わあ、勇者サブローの亡霊だ~。」

ザドス王国のエルザ王女そっくりな声で、

棒読みの声があがった。


『ミルキィ、迎えに来たよ。

ミルキィ?・・・可哀想に傀儡の魔法を掛けられたんだね、

今、そこから救い出してあげるからね・・・』


「きやあ~、このモヤは毒霧だわ~。」

出ました。

アルビナ王国ルクレツェア王女そっくりな声で、

本日一番のダイコン役者のセリフが・・・


しかし、状況に飲まれて正常な判断が出来なくなっている、

一般の来賓には、それでも十分なインパクトがあった様だ。

「毒ですって!!」

「うわぁ~!死にたくない~!」

「早く、逃げなくちゃ!」

「出口に急ぐんだ!!」

出口に我先にと殺到する人々でパニック状態に陥った。


「皇帝陛下、ミルキィ殿は私が安全な場所へとお連れします。」


「おおっ!お願い出来るかクロマーク公、

私は、婚儀を妨害する不届き者の成敗を指揮いたします。」

これが、カムリ8世がミルキィ王女を見た最後の姿となった。


城の衛兵たちが、剣を手にして侵入者へと切りかかったが、

剣が中ると見えた瞬間、侵入者が消え去ってしまった。

「おのれ、幻術の類か!?」

「どこへ消えたのだ!?」


「侵入者が消えただと!?何処へいったのだ?

・・・・・しまった!クロマーク公とミルキィを探すのだ!!」


皇帝の命令により、衛兵たちが大聖堂や街中を探し回ったが、

結局、クロマーク公とミルキィ王女は見つからなかった。


そして、数時間後に首都の防護壁を見回っていた兵士によって、

防護壁の天辺から、下着姿のままロープでぶら下げられた、

クロマーク公が発見されたのだが、

公の証言によって、

婚儀に参加していたクロマーク公は最初から偽物であった事が判明した。

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