魔導ポーチ
獣人娘たちがサスケの訓練を受けるようになってから、
一か月の月日が流れた。
今では4人ともベテランシーフ並の腕前になっている、
もともと持っていた能力を鑑みれば、
ベテランシーフをも凌駕しているだろう。
「よ~し、これにて訓練を終了する。
お前たちの腕前に関しては俺が保証するぞ。」
「「「「ありがとうございます!お頭。」」」」
「お前たちが、俺が納得出来る腕前に成長してくれたので、
いよいよ、お前たちを奴隷へと貶めた、
ラッスンの街の領主への復讐を開始しようかと思うから、
街に帰って打ち合わせるぞ。」
「「「「はい!お頭。」」」」
サスケたちはピロンの街の屋敷へ戻った。
「まず、お前たちに言って置くが、
相手は貴族なので、ただ殺すだけでは余り意味が無い、
一番効果的なのは貴族としての地位を貶める事となる、
つまり、情報戦となってくるので下忍スキルが役に立つな。」
「でも、お頭、アタイたちはラッスンの街で顔が売れてるから、
聞き込みをしていたら領主にバレると思うよ。」
「その辺は考えてあるさ、
俺が作った、この魔道具を使って貰えば解決できる。」
サスケは『魔倉』から何かを取り出した。
「お頭、それは何ですか?」
「まず、こちらだがレインボウホースの鬣から作った、
カラーウイッグだな。」
サスケの手には、色々な色と長さのカツラが乗っている。
「髪型や色が違うだけで、大分印象が変わるからな、
それに加えて、このグラサンを付ければ完璧だな。」
サスケの手には、地球で言うところのサングラスが乗っている。
「お頭、それは目に付ける魔導具ですか?」
「そうだ、軽く認識阻害の魔法が付与してあるから、
これを付けていると、相手に顔の印象が残らないんだ。」
「両方付ければ、知り合いにも気付かれ無さそうですね。」
「多分、気付かないだろうな。」
「領主を調べるとなれば、長期になると思いますが、
装備などの準備は如何しますか?」
「基本的には俺の『魔倉』に詰め込んで行くが、
お前たちには、これを渡しておこう。」
「それは、カバンですか?」
「ああ、腰に付けるバックだな。」
地球で言うところのウエストポーチを、
レトリバーの店に頼んで作らせた物である。
「へ~、小物を入れて持ち歩くのに便利そうですね。」
「通常なら、そうなんだけど、
これには、俺が魔法で空間拡張を付与したから、
こう見えて馬車1台分ぐらいの荷物を入れられるぞ。」
「「「「ええ~っ!」」」」
「そんな、小さい魔導カバンは見た事無いですよ。」
「売ったら凄い値段になると思いますけど、宜しいのですか?」
「おう、前に造ってやるって言ってたからな、
それに、魔法は自分で付与できるし、
バックはレトリバーさんの店で作って貰ったんだが、
お前たちに造ったバックの、
4分の1ぐらいの収容能力を持つバックを10個造ってやったら、
タダで良いって事になったから、
実質、このバックはタダだな。
ちなみに、魔導ポーチの商品名で売り出す事になったぞ。」
「幾らぐらいで売るんですか?」
「レトリバーさんは、1個10万ギルで売ろうかと思ったらしいんだけど、
どこから聞き付けたのか、冒険者ギルドのモモヨが10個とも、
販売前に買い込んで行ったそうだ。」
「冒険者だったら50万ギルでも買うと思いますよ、
両手が自由になって、その収容量は大変魅力だと思います。」
「そうか、モモヨには余り暴利を貪らないように、
釘を刺して置かなきゃ駄目かな。」
「そうですね、でも有用性を考えると、
それだけの値段で売っても、おかしくないと思いますよ、
今回は特に10個しか無いので、
余り安く売ると、手に入れた人が妬みなどを受けるかも知れませんから、
もしかするとモモヨさんは、
その辺を考慮して購入して行ったのかも知れません。」
「そうか、安けりゃ良いってもんでも無いんだな。」
「そう、思います。」
「まあ、その辺はレトリバーさんやモモヨと相談してみるか・・・
じゃあ、各自、魔導ポーチを付けてみろ。」
「「「「はい、ありがとうございます!お頭。」」」」
「よし、みんな付けたな、
じゃあ、低級と中級治療薬、魔力回復薬を各5本ずつと、
予備の手裏剣とクナイを配るから入れて置く様に。」
「「「「はい!お頭。」」」」
「薬は俺が造れるから、必要に感じたら各自の判断で使う様に、
使うのを惜しんで、お前たちの身に何かあったら、
主人の俺の不利益になるのを忘れないように。」
「「「「はい!お頭。」」」」
「じゃあ、ラッスンの街へ向かうのに必要な物を買い出しに行くから、
サンとリンは一緒に来てくれ。」
「「はい!お頭。」」
「あと、ロリーとジュリーは馬車を購入してきてくれるか。」
「借りるのではなくて、購入するのですか?」
「ああ、この屋敷には厩舎もあるし、
馬車を入れられる大きさの納屋もあるから、
後で馬の世話をする奴隷を、
ラッスンの街でカモネーギから買おうと思ってな。」
「了解しました。
それで、どの様な馬車が宜しいでしょうか?」
「そうだな・・・
馬は2頭立てで、5人が寝転がっても十分な広さが欲しいな、
冒険に利用するから頑丈な幌馬車が良いな。」
「その大きさで頑丈な作りとなると、
幌馬車でも2頭立てでは厳しいのではないでしょうか?」
「ああ、馬車は俺が改造して軽くするから、
その辺は考えなくて良いぜ。」
(『軽量』や『浮遊』の魔法を付与すればイケるだろう・・・)
「分かりました。
それでしたら、そこそこの馬を2頭付けて、
200万ギル程で購入出来ると思います。」
「馬は、なるべく良いやつを付けて貰ってくれ、
一応、500万ギルを渡しておくから頼むぞ。」
「「はい!お頭。」」




