標的
「はっ!」
ジュリーの大振りな忍者刀が、最後のハンターウルフを真っ二つにして、
ハンターウルフの群れを倒し終えた。
「よ~し、こんなもんだな、
集団戦闘の訓練は、これで良いだろう。」
ピロンの街周辺の魔獣では、
獣人娘たちには弱すぎて訓練にならなかったのだが、
各自に手加減させる事で何とか対応した。
(まあ、クエストの中には、
生きたまま捕まえなきゃならない物もあるだろうから、
手加減の訓練にもなったかな・・・)
「よし、お前たちも大分、武器の扱いや戦闘にも慣れたから、
後はクエストを熟しながら強くなっていけば良いだろう。
そう言えば、お前たちの冒険者登録って、どうなってるんだ?」
「はい、奴隷になった段階で取り消されています。」
「再登録って出来るのか?」
「はい、ご主人様が決まれば、パーティー要員として登録できます。」
「それじゃ、明日ギルドに行って登録するか。」
「「「「はい!お頭。」」」」
ピロンの街へと帰ったサスケたちは、
いつもの様に夕食の買い出しをしてから館へ戻った。
「そんじゃ、俺は飯を作るから、
お前たちは風呂で汗を流して来い。」
「「「「はい!お先に失礼します。お頭。」」」」
「おう。」
今日のメイン料理は異世界物では定番と言えるカラアゲである、
ホロホロ鳥の肉は、鶏より美味しいので、
カラアゲも、超カラアゲになるのではないかとサスケは睨んでいる、
もちろんマヨによってタルタルを作るのも忘れない。
「汁物はどうするかな~?
野菜を食べさせたいから、シモフーリボアをバラ肉にして、
野菜たっぷりのボア汁でも作るか。」
サスケは、トン汁のボア肉版を作る事にしたようだ。
この世界にはサラダ油など無いので、油はラードを溶かして料理をしている、
一般的にはボアの油で作ったラードだが、
サスケは、カラアゲにボアの匂いが付くのが嫌だったので、
ホロホロ鳥から魔法で『抽出』したラードでカラアゲを作った。
暫くして獣人娘たちが風呂から帰ってきた。
「「「「お頭、お先に戴きました。」」」」
「おう、飯が出来たから、食おうぜ。」
「「「「はい!」」」」
「「「「「いただきます!」」」」」
サスケは、獣人娘たちに食前の「いただきます。」と、
食後の「ご馳走様でした。」の意味を教えて使わせている。
「お、お頭!このホロホロ鳥を使った料理は何て言うんですか!?
これほどホロホロ鳥のうま味を引き出す料理は初めてです!」
「このマヨっぽいソースも絶品だぜ!
マヨより、まろやかな酸味が料理にあっているな!」
「この汁物も美味しいわ、野菜がたっぷり入っているから、
ボアの油が全然しつこくないのね。」
「ああ、ご飯との相性が抜群だぜ!」
「この料理はカラアゲって言うんだ、
みんなの口に合った様で良かったよ。」
サスケは、ちゃくちゃくと獣人娘たちを餌付けしている様だ。
翌日になり、
サスケたちは冒険者ギルドを訪れて、獣人娘たちの再登録をする事とする。
「「「「敵、発見!」」」」
冒険者ギルドに入るなり、獣人娘たちが武器を構えて受付に向かった。
「あの~、サスケさま、
何故、私は彼女たちに武器を向けられているのでしょうか?」
「攻撃訓練の的にでも似ていたんじゃないか。
お前ら、そいつは、ただのギルド受付嬢だから攻撃解除だ。」
「「「「はい!お頭。」」」」
「的に似てるなんて、あるわけ無いじゃないですか。
それで、今日はクエストを受けに来たのでしょうか?」
「いや、戦闘奴隷を購入したからパーティー登録をしようと思ってな。」
「ああ、彼女たちはサスケさまの奴隷でしたか、
分かりました。登録受付ですね。」
各々に名前、出身地、年齢などを申告させる、
「それでは、戦闘のタイプは?」
「こいつらは、全員『下忍』だな。」
「下忍とは初めて聞きますが、どのようなものでしょうか?」
「俺のニンジャマスターの下位になるもんで、
シーフの上位職って言ったところだな。」
「サスケさまのパーティーメンバーは全員シーフの上位職と言う訳ですね、
パーティーが一つのタイプに特化すると、
受けられるクエストが限られてしまうと思われますが、
大丈夫でしょうか?」
「ああ、彼女たちはシーフの能力を持っているが、
それぞれが重戦士や戦士などの能力を併せ持っているから、
その辺は大丈夫だ。」
「そうですか、みなさん、お若いのに優秀なんですね。」
「「「「いえ、全部、お頭のお蔭です。」」」」
「そうなんですか、さすがサスケさまですね、
では、これで登録は終了しましたが、
本日はクエストをお受けになりますか?」
「そうだな、時間も早い事だし、みんなで受けてみるか・・・
そうだ!キョン、いや、ファンシーラビッツの討伐をするか。」
受付のモモヨは、にっこりと微笑んで答える。
「はい、ファンシーラビッツの討伐ですね。」
クエストの手続きを終えて、
ギルドを出ようとしていたサスケたちにモモヨが声を掛けた。
「そう言えば、お嬢さんたちに伝え忘れていました。」
「何だ?」
「2階の角部屋は、私のだから使わないようにね。」
「だから、お前の部屋はねぇ!!」




