ぶっ掛け
「よ~し、武器の扱いには慣れたみたいだな、
今日は、この辺にしておいて、
明日からは、魔獣を相手にしての連携攻撃の練習に入るぞ。」
「「「「はい、お頭。」」」」
土人形モモヨを相手にした武器の扱いに慣れる為の訓練は、
モモヨ30号で終了となったが、
土人形モモヨは、15号で4つ足で走り始めて、
最終の30号では8本脚で、尻から出す糸を木々に絡めて移動していた。
言葉も段々と流暢になって行って、
30号にもなると、
「オホホホホッ!私の糸からは逃れられませんよ。」と叫んでいた。
ピロンの街へと帰って来たサスケ一行は、
夕食に使う食材の買い出しをしてから帰宅する事にする、
「お前たち、何か食べたい料理とかあるか?」
「「「「肉が良いです!」」」」
「獣人が肉好きって言うのは本当なんだな、
でも、健康な体を作るには、
肉だけじゃなくて野菜も食べなきゃダメなんだぞ。」
「そうなんですか?」
「ああ、人の体って言うのは色々な栄養を摂った方が強くなるんだ、
肉を食べれば力は出るけど、
野菜を食べないと、体の中に悪い物が溜ってきて、
疲れが取れなかったり、体の動きが悪くなったりするんだぞ。」
「でも、野菜嫌いなんだよな~。」
「アタイも嫌い。」
「まあ、俺も好きではないな、
健康の為に食べる様に心掛けているだけで、
進んで食べようとは思わないもんな、
野菜を食べやすい料理と言うと・・・あれか!」
サスケは何か閃いた様で、
シモフーリボアの肉と一緒に何種類かの野菜を買い込んでいった。
屋敷へと帰ったサスケは、
訓練で汗を掻いた獣人娘たちの為に風呂を沸かしてやって入らせてから、
夕食の調理に取り掛かった。
「生野菜を塩だけで食べるのは辛いから、
やはりマヨを造るしかないよな、錬金を使って出来るかな?」
サスケは、買って来たホロホロ鳥の生卵に調味料を加えてから、
『撹拌』の魔法で混ぜてみたら、
それらしい物が出来上がった。
出来たてのマヨは食中毒の危険があると聞いた事があったので、
一応、魔法で殺菌しておいた。
「あとは、生野菜の上に潰した茹で卵と、
湯通ししたホロホロ鳥の身を細かくして乗せてから、
マヨを掛ければ出来上がりっと、
サラダは、これで良いとして次はメインを始めるか。」
サスケはシモフーリボアの肉を一口サイズに切ってから、
数種類の野菜と一緒に鍋で炒め始める、
ある程度火が通ったらアノ粉を入れて下味を付けてから、
シモフーリボアとホロホロ鳥の骨を磨いてから煮込んだスープを加えた。
「問題はスパイスなんだよな~、似たような物がこっちにもあるけど、
配分が分からないもんな、魔法で出来るかな?
やってみるか、『調合』・・・どうだ!?」
目の前に〇ャワカレーのルーが現われた。
「何でやねん!」
思わず突っ込んでしまったが、
これは、サスケが地球に居た頃に食べていたのでイメージが造り出した物で、
成分的には100パーセント異世界製である。
「まあ、慣れたルーのほうが調理し易いから良いか。」
サスケは、野菜が良い具合に煮えてきたのを見計らってから、
異世界製のルーを加えて、さらに煮込んでいった。
暫くすると、獣人娘たちが入浴を終えて食堂へとやってきた。
「お頭、先にお風呂を頂きました。」
「「「お先です!」」」
「おう、俺は今日は汗を掻いていないからな、
お前たちが先に入るのが当たり前だ。」
「いえ、普通はご主人を差し置いて入浴なんて、ありえませんから。」
「俺が入れって言ってるんだから良いさ。」
「はい、ありがとうございます。
それにしても良い匂いがしていますね。」
「ホント、魂を揺さぶる香りだね。」
「今夜の夕食は、俺の国では国民食と言われている料理だから、
お前たち期待して良いぞ、もう出来るから席に着いてろ。」
各自、食卓に着いたのを見計らって、
まずはサラダから出した。
「お頭、この、野菜の上に掛かっている白っぽいのは何ですか?」
「それは、俺特製の野菜が美味しく食べられる調味料だ。」
マヨの匂いを嗅ぎながらネコ娘リンが一言、
「お頭特製って、お頭のを掛けたんじゃないですよね?」
それを聞いて、
サラダを口に入れようとしていた獣人娘たちの手が止まった。
「アホかっ!」
リンには、頭にゴツン!と鉄拳制裁を加えておいた。
「アホは、ほっといて食べてみろ。」
「「「はい。」」」
頭を抱えて床でゴロゴロしているリンを無視して、
3人はサラダを食べてみる。
「美味しいです!」
「酸味と塩気が絶妙ですね。」
「生野菜が美味しく感じるなんて初めてです。」
「マヨが、口に合って良かったよ。」
続いて深めの皿に、ご飯を盛りつけて行く。
「お頭、これは何ですか?」
「俺の国の主食で、ご飯て言うんだ。
庭に頭を垂れた麦みたいのがあるだろ、あれが米って言うんだけど、
あれを水で洗ってから釜で炊くと、ご飯になるんだ。」
サスケは森へ薬草の採取に行った際に、
稲の原種らしき物を発見したので、
魔法で品種改良してから、庭に田んぼを作ったのである、
一週間で米が出来る超促成栽培だ。
「そうなんですか、初めて見ましたが、
甘い良い香りがしますね。」
「では、これから、
この、ご飯にメインのカレーと言う料理を掛けるんだが、
決して、見た目の感想を言わないように、
特にリン、分かったな!」
「何か、よく分からないけど、了解しました。」
サスケは、ご飯の上にカレーを掛け始める、
「こっ、これは!?ウン」ゴツン!
言った傍から禁句を発しようとしたリンに、
再び鉄拳制裁が加えられた。
「見た目はアレかも知れないが、
騙されたと思って一口食べてみてくれ。」
獣人娘たちは、口に入れるのを躊躇っていたのだが、
サスケの奨めで、犬娘のサンが思い切って食べてみる。
他の娘たちが固唾を呑んで見守る中、
「美味しい~!お頭、ちょっと辛いけど凄く美味しいです!」
「そうだろ、この美味さはクセになるからな、
みんなも食べてみろ。」
サンが喜んでいるのを見た他の娘も食べてみる。
「「「美味しい~!」」」
カレーの魔性に魅入られた娘たちは、ガツガツと食べ始めた。
「辛いけど、何故か、また口に入れたくなるね。」
「野菜が、こんなに美味しく感じるなんて・・・」
「この味が染みた肉の味がまた・・・」
(カレーは、我が家の定番メニューになりそうだな。)




