反勢力ホイホイ
「サスケ、
お前も、とうとう側室持ちだな」
サスケが、サン達を新しく迎える側室として披露するパーティーの当日となり、
招待を受けたマッスル王国の国王ライが、サスケに声を掛けた。
「ええ、ライさん、
まさか俺が側室を迎える日が来るとは思いませんでしたよ」
「そうか?
サン達の様子を見てたら、お前に惚れてるのは直ぐに気が付いたから、
俺は、その内に、こうなるだろうな~とは思っていたがな」
「そうなんですか?
俺、全然気付いていませんでしたよ」
「ハハハ、まあサン達も、
お前の、そんな所が気に入ったんだろうがな」
「皆さん、予てよりの念願が叶いましたね、
おめでとう御座います。」
「「「「「ありがとう御座います。ルクレツェア女王陛下」」」」」
「あら、私の事はルクアで良いわよ、
それに、もうじき貴女方も国王様の側室になるんだから、
女王陛下も要らないわよ」
「では、ルクア様と、お呼びさせて頂きます。」
「ええ、それで良いわサンさん」
「本日は、エルザ様方に警備をお手伝い頂きまして申し訳御座いません、
本来、その仕事は私達の役目なのですが・・・」
「何言ってるのよ、貴女方は今日の主役なんだから、
エルザ達に任せて置けば大丈夫よ、
それに、ヒナギクさん達も一緒に警備に当たってるんでしょ?」
「ええ、S級冒険者の実力を、
目の前で見られるって喜んでいました。」
「エルザやリーナは基本力技だから、
余りヒナギクさん達の見本になるとは思えないけどね・・・」
「でも、非常時の心構えなどは参考になるのでは無いのでしょうか?」
「そうね、彼女達のメンタル面の強さは確かに見習うべきかも知れないわね」
「やっぱり、ルクア様でも、そう思われますか?」
「ええ、どんな強敵を目の前にしても、
喜々として向かって行く姿には、感動すら覚えるわね」
「何か、そのお言葉をお聞きする限り、
少し呆れも含まれている様ですね」
「あら、やっぱり分かるかしら?」
「ええ、私もジュリーやリンの行動に、
そう思う時がありますから」
「「フフフフッ」」
「う~む、何か違うな・・・」
「どう為されたのだ?ザドス王」
「おう!アルビナ王か久しいな、
ご健勝な様でなによりだな」
「うむ、お互い年を取ったが、
まだまだ、ライ達には負けて居られんからな」
「ハハハ、然り然り」
「それはそうと、先程、首を捻って居られた様であったが、
何か、腑に落ちない事でも御座ったか?」
「うん?ああ、この酒なんだがな・・・」
「これは?」
「ああ、この深き味わいと香りからして、
ワシは『火山酒』だと思うのだがな」
「おお!『火山酒』といえば、
別名『ドワーフ・コロリ』と呼ばれる程に強い酒であるな」
「うむ、そうなんだが、
この酒は、酒精も味も薄く感じる訳でも無い割には、
幾ら飲んでも酔いが回ってこんでな」
「どれどれ・・・うむ!これは確かに美味い酒であるな、
なる程、口に含んだ感じでは強い酒精を感じるが、
一向に酔いが回ってこんな」
「であろう?真に持って面妖な事よ・・・」
これは、万が一に備えて、
サスケが、酒や果実水などの飲み物に、自家製の万能解毒薬を混ぜたのが原因であり、
その弊害として、酒を飲んでる傍からアルコール分が分解されて、
無力化してしまったのである、
パーティーでの深酒による二日酔いに悩まされる心配は無くなったものの、
酒好きの呑兵衛に取っては、些か詰まらない事となった。
「おっ!そろそろ、お客さんがお出でなすった様だよ」
パーティー会場の周辺を警備していたリーナが、そう告げる
「そうだね、見た感じ私達の相手になりそうな手練れは見当たらないね」
リーナの隣に居るエルザが、そう返事を返した。
「作戦とかは、どうしますか?」
一緒に居るヒナギクらを代表して、
ヒナギクが、そう問い掛けた。
「作戦は、もちろん先手必勝さ!
くらえっ!『フライング・ハンマー!』」
リーナが投擲したアダマンタイト製のウォーハンマーが、
ブ~ンと唸りを上げて、パーティー会場に忍び込もうとしていた
不審者達に向かって飛んでいった。
「「「「「ウギャ~!」」」」」
ドガガガッ!という轟音と共に、
不審者達が弾き飛ばされて行く
「フッ・・・峰打ちだ安心せい」
「いやいやいや、リーナさんハンマーに峰はありませんよ!?
手足が変な方向に折れ曲がって、呼吸が止まっている人とか居るじゃないですか!」
「あり?なんか失敗しちゃった?」
ヒナギクらは、慌てて魔導ポーチから、
サスケに貰っていた『ソーマ』を取り出すと、
呼吸が止まっている者に飲ませて回った。
「ふう・・・取り敢えず命は皆、取り留めたみたいですね、
下手な抵抗をされても困るので、
手足の怪我は、そのままにさせて貰いますよ、
素直に証言する人には、サスケ様特製の治療薬を与えてあげましょう。」
リーナが弾き飛ばした者達以外の不審者達も、
エルザによって一瞬で制圧されて、抵抗を断念した彼らは、
自分に指示を下した貴族達の名前を、次々と素直に話していった。




