親離れ
「サスケ閣下、それは、どういう事なのですか?」
「サスケ殿は、次期皇帝候補に立候補したのでは無いのか?」
「うむ、すると先程までの話は何なのだ?」
「俺が立候補したのは、この国の王になる事であって、
皇帝になる事では無いんだ」
「やっぱりサスケさんは、皇帝制度を廃止しようと考えていたんですね」
「なに!?すると、貴公は、
この国の皇帝制度を廃止すると申すのか!?」
「ああ、皇帝制度というか、
俺はフェルナリア皇国という国名自体を変えようと思うんだよ」
「サスケ閣下、国名を変えられるのですか!?」
「ふざけるな!
貴公は、この数百年にも及ぶフェルナリア皇国の名を愚弄して居るのか!」
「まあ待てブチクラース殿、
直ぐにカッとするのは、貴公の悪いクセだぞ、
サスケ殿が、何の考えも無く、この様な事を申すとは思えんから、
何らかの理由があるのであろう
怒るのは、その理由を聞いてからでも遅くは無いぞ」
「確かに、そうですな、もし宜しければ、
その理由を、お聞かせ願えますか?サスケ閣下」
「ああ、俺が何で国名を変えようと思ったのか、
今から、話させて貰うよ、
侯爵方は、俺が特別なスキルを持ってるのを知ってるかな?」
「うむ、その内容までは分からんが、
他には類を見ない様な、強力なスキルを所持していると聞き及んで居る」
「ワシも、同じ程度には聞き及んで居るな」
「それらのスキルは、
あの魔王騒動の後で、この国を追い出された際に、
女神フェルナと会って、女神と関係が深い皇国が迷惑を掛けたから、
その、お詫びの印として貰ったものなんだよ」
「何と!?女神フェルナ様、直々に頂いたスキルと申すか!?」
「道理で、他には類を見ない訳だな」
「その時に、女神フェルナは、『皇国が、自分の教えに反して、
勝手な行動を取る様になってしまい残念だ』って言ってたんだけど、
俺には、女神フェルナの残念そうな表情の中に、
どこかホッとしてる雰囲気を感じたんだ」
「ほう、洞察力に優れた閣下が、
そう、お感じになられたなら事実なのかも知れませんな」
「そこで俺は、
そろそろ、この国は女神フェルナという親から離れて、
独り立ちしても良いんじゃないかって考えたのさ」
「子の、親離れという訳ですな」
「ふむ、知らず知らずの内に、
我々は、女神フェルナ様に依存する様にと、
なってしまって居ったのかな・・・」
「ああ、女神様の教えを、勝手に解釈し過ぎて居ったかもな」
「サスケ閣下、もし仮に国名を変えられるとしたら、
新たな国名は、既にお考えになられて居るのですか?」
「ああ、俺の領地の名前を、
そのまま流用して『コウガ王国』に変えて、
『初代コウガ国王』を名乗ろうかと考えているんだ」
「なる程、閣下の御領地の名であれば、
国民は元より、他国への聞こえも良さそうではありますな、
ブチクラース閣下、タクサンノ閣下、
私は、サスケ閣下のお考えに賛同致したく御座いますが、
お二人の御判断は如何でしょうか?」
「ふむ、老い先短い残りの人生を、
新たな国造りへと費やすのも面白いかも知れんな」
「ああ、長きに渡り世話になった
この国への、最後の恩返しとでもするかな」
「では、お二人も御賛成という事で宜しいですね」
「「うむ、賛同しよう!」」
「お二人とも、ありがとう御座います。
俺は、国の運営なんて全然分からないんで、
色々とご迷惑をお掛けする事になると思いますが、
ミルクと一緒に頑張って行こうかと思いますんで、
ご協力の程を、宜しくお願いします。」
「宜しく、お願い申し上げますわ」
「ええ、今まで培ってきたものを、
一つ残らず、お渡しする事を約束しましょう」
「老い先短い身とは言え、
直ぐに、どうこうと申す訳では御座らんからな、
サスケ殿やミルク様が一人前となられる日までは、
頑張らせて頂きますぞ」
「私も微力ながら、ご協力させて頂きます。」
「「ありがとう御座います!」」




