皇国の行く末
フェルナリア皇国の宰相バケテナーイより、
重要な相談があるとの連絡を受けたサスケは、
皇帝らの国葬の為に自粛をしていた
サン達の側室としての披露パーティーの企画を、
サン達で計画して貰う事として、
フェルナリア皇国へは、ミルクとチビリンのみを伴って、
転移魔導具で向かう事とした。
皇城に設置してある転移魔導具室へと跳んだサスケらは、
衛兵に声を掛けて先導をして貰いながら、
バケテナーイの執務室へと向かった。
衛兵が執務室のドアをノックしてから、
中へと声を掛けると、そのまま入って貰えとの事だったので、
サスケは、衛兵に「ここまでで良い」と告げると、
自らドアを開けて中へと入って行った。
「よう!バケテナーイ、何か相談があるんだって?」
「ご機嫌ようバケテナーイさん、
父達の葬儀では、お手数をお掛けしましたね」
「キキッ!」
「これは、公爵閣下、ミルク様、
態々のご足労を頂きまして誠にありがとう御座いました。
それからミルク様、臣下が主の為に働くのは当たり前で御座いますので、
礼は不要に御座います。
それと、確かチビリン殿だったかな?ミルク様の護衛の任、ご苦労である」
「良いって事よ、
今、この国はトップが不在で何かと大変だろうから、
俺で良ければ何でも相談に乗るぜ、
それで、重要な相談事ってのは何なんだ?」
「はい、今現在の、この国に取っての最大の案件であります
次の皇帝陛下に関しての問題で御座いまして、
宰相府による会議によりまして、
今の段階で御3名の方が候補として上がって居ります。」
「へぇ、もう3人にまで絞られているんだ、
そうすると、俺への相談ていうのは、
その3人の候補者へ、次期皇帝候補に決まったと告げるってとこか?」
「いえ、2人の候補者の方々には私の方よりご連絡を入れました。
ちなみに、お一方は先祖代々、一族より多数の武官を輩出されて居られる事で有名な、
ブチクラース・ブットバース・ガンガン侯爵閣下であります。」
「あ~、あのノーキン爺ぃか」
「親類の方も含めると、かなりの人数が集う大軍閥ですわね」
「そして、もうお一方は、経済界に絶大な繋がりを持たれて居られる、
タクサンノ・ゼニタメル・ハラワン侯爵閣下であります。」
「あ~、あのケチ親父か、
この城で暮らしてた頃は、金使いが荒いって散々小言を言われたな」
「裕福な貴族家や、大商会のご子息などに、
自らの、子沢山の利点を生かして、
婿入りや、嫁入りをさせてパイプを強固な物にした方ですわね」
「最後のお一人ですが、
我が国の、国民よりの絶大な人気を誇られて居られる、
サスケ・モンキーフライ・コウガ公爵閣下であります。」
「そうか、最後の一人はサスケって人なのか・・・って俺!?
いやいやいや、無理があるだろ!
一応、肩書は公爵になってるけど、成り立てのホヤホヤって言っても良いぐらいだし、
第一、俺に皇帝なんて務まる筈が無いじゃねぇか!」
「確かに、サスケ閣下は貴族と成られてから、それ程経った訳ではありませんが、
既にコウガ領では、絶大なる利益が上がっているではありませんか」
「あれは、運が良かったのと、
周りの連中が頑張ってくれたからだよ」
「まさに、それで御座います!
皇帝陛下と成られる方には、常識では考えられない様な強運と、
周囲に優秀な人材が自然と集まってくる様なカリスマ性が必要なのですよ!」
「カリスマ性とかだったら、
ミルクの方が、ずっとあるんじゃ無いのか?」
「その、ミルク様を娶られていらっしゃるのも、
国民への人気の一つとなっていますな」
「だからと言って、俺が皇帝なんてな・・・
ミルクは、どう思ってるんだ?」
「私は、今回のお話を聞いた時から、
こういう展開になるのではと考えていましたわ」
「マジで!?」
「ええ、魔王熱の騒動によって、多くの国民の命を救い英雄となられたんですもの、
国民の声が、黙っている筈は無いと思っていましたわ」
「分かってたんなら、教えてくれよ!」
「だって、事前に教えてしまったら、
サスケさんの事ですから、逃げてしまわれるでしょう?」
「って事は、ミルクは、俺が皇帝に成る事に賛成なのか?」
「はい、現状の疲弊しきった
この国を救えるのは、サスケさんを置いて他に無いと思っています。」
「何でだ?ノーキン爺ぃでも、ケチ親父でも、
そこそこ、纏め上げられるんじゃないのか?」
「サスケ閣下、今の皇国は、そこそこでは危ない状態なので御座いますよ、
魔王熱の際に、滞ってしまった流通経路は未だに回復せず
多くの働き手を失った地方部からの税収には期待が出来ません
このままですと、軍部が力を持った場合には、再び他国の潤いへと目を向ける恐れがあり、
対して、財務が力を持った場合には、国民への重い課税が課される恐れがあります。」
「この国って、まだまだ、そんな状態だったのか・・・
他の国に、挨拶回りなんてしてる場合じゃ無かったな」
「いえ、サスケ閣下が他国に参られる事によって築かれた信頼関係は、
次第に経済の流通へと効果を表し始めて居りますし、
コウガ領が国へと納めている税収は断トツでトップですぞ」
「へ~、そうなんだ、
その辺の事は、ダンディに任せっきりだったから、
全然、知らなかったよ」
「サスケさん、全てを知る必要は御座いませんが、
その地を治める者としては、多少は理解して置かなければ、いけませんよ」
「は~い」




