凶報
「う~む、やはりここは盛大に合同お披露目式にするか・・・
いや、しかし、サン達は初めてなんだから個別に披露した方が良いのか?」
サスケが、サン達を側室として迎えるに際して、
どの様に周囲に知らしめるかを、コウガの街にある、
領主の城の執務室にて考えていた時、
その凶報は飛び込んで来た。
「お館様!一大事に御座いますぞ!」
「おう!ダンディ、
そんなに慌てて、どうしたんだ?
いつもの『グワッツ!』も忘れてるぜ」
「この際、『グワッツ!』は、どうでも宜しいので御座います!
それより、お聞き下さいませ!実は・・・」
同じく城の居間にて、お喋りをしているミルク達にも、
その凶報は届けられる事となる・・・
「ミルク様、
どうか、ご参加を頂けませんか?」
「でも通常だと、
側室の、お披露目には正室は参加しないものなのよ」
「私達は、ミルク様が、いらしてこその私達ですから、
是非、ご参加をして頂きたいのです。」
「「「「お願いします!ミルク様」」」」
「皆さんが、そこまで仰って下さるなら、
参加させて頂きましょうかしら」
「ホントですか!」
「やった~!」
「嬉しいです!」
「こうして、正室のミルク様と、私達の仲が良いところを見せておけば、
新たな側室を押し込もうとする人達への、牽制にもなりますしね」
「それも、そうね」
「「「「「「フッフッフッフッ・・・」」」」」」
「ミルク!大変だ!!」
突然、居間へと飛び込んで来たサスケが、
大声で告げる
「まあ、サスケさん、
どう致しましたの?その様に慌てられて・・・」
「今、フェルナリア皇国の宰相バケテナーイから、
魔導通信機に緊急連絡が入ったんだが、
地方部に『魔王熱』からの復興状態を視察に行ってた
皇帝が乗ってた馬車が土砂崩れに巻き込まれて、谷底の川へ転落したらしいんだ
運の悪い事に、その馬車には王妃様や弟君も乗ってたらしいんだよ」
「そんな!?」
「「「「ミルク様!」」」」
貧血を起こしたのか、ふら付いて倒れそうになったミルクを、
サン達が支えた。
「だ、大丈夫です。
皆さん、ありがとう御座います。」
気丈にも、ミルクは持ち直した様子だ
「大丈夫か?ミルク」
「はい、サスケさん、
それで、お父様方は・・・?」
「うむ、今、バケテナーイが手配した捜索隊が、
陛下方を、お探ししてるらしいんだが、
未だに見つけられていないらしいんだよ」
「お頭も行かれるんですか?」
「ああ、皇国の皇城に一度顔を出してから、
捜索に参加する予定だ」
「私達も行かせて下さい!」
「お願いします!お頭!」
「ミルク様の、お父様方を見付けたいです!」
「お願いします!」
「皆さん・・・」
「そうだな、そんじょそこらの兵士達よりは、
サン達が探した方が、見付けられそうな気がするな、
分かった!サン達は、チビリンやレッド達を連れて、
一足先に捜索に加わっててくれるか、
俺も、後から合流する様にするから」
「「「「了解です!お頭」」」」
「皆さん、ありがとう御座います。
皆さんの事ですから大丈夫だと思いますが、
くれぐれも、お気を付け下さいませ」
「大丈夫ですよ、ミルク様」
「私達に、お任せ下さい!」
「お父様方は、必ず見つけますね」
「ミルク様は、お父様方のご無事をお祈りしながら、
お待ちしてて下さい」
「サン、陛下方の馬車がご災難に遭われたのは、
アルビナ王国寄りの『サイヤク村』ってとこの近くらしいから、
アルビナ王に、お願いをして、
比較的に近くに出られる場所の、転移魔導具の使用許可を取るから、
そっちから行ってくれるか」
「了解しました!」
「ミルク、俺達は一先ず皇城に転移するぞ」
「はい!分かりました。」
サスケは、ヴィン爺ィやヒナギク達に、ダンミーツ達や城の守りをお願いすると、
ダンディに、暫くの間、城を留守にする可能性がある事と、
留守中の領内の事を、簡単に打ち合わせてから、
ミルクと共に、転移魔導具でフェルナリア皇国の首都にある、
皇城へと転移した。




