風呂ポーズ大作戦
「あら、このキレイな薬品はなんですの?」
コウガの街にある、サスケの城の敷地内に建てられた作業場にて、
その一角に設けられた休憩場で、
一休みをしているサスケの給仕をしていたダンミーツが、
その薬品が入っているビンに手を伸ばしながら、サスケに尋ねた。
そのビンは、この世界では珍しい透明なビンで、
中には、自らが発光している様に、
明るく見えるピンク色の液体が納められていた。
「さわるな!」
突然、サスケが大きな声で警告の声を発した。
「な、なんですの?ご主人様、
突然、その様な大きな声を出されては、
ビックリするでは、ありませんか」
「ああ、済まんな、
でも、その薬品は危ないんだよ」
「毒か何かなんですの?」
「いや、毒という訳では無いんだが・・・
まあ、ダンミーツなら教えても構わないか、
そのビンに入っている薬品は、『もっこりビンビン茸』というキノコから、
抽出したエキスを蒸留して、濃縮した原液が入ってるんだが、
この原液を30倍に薄めて飲むと、涸れた爺さんでも、
一晩中ビンビンになる回春薬が出来るんだよ、
一回分で5万ギルという高値にも関わらず、造る傍から売り切れる人気商品なんだぜ」
「そうなのですか、30倍に薄めた状態で、
その効能と言う事は、原液を舐めでもしたら・・・」
「ああ、どんな聖人君子でもケダモノと化すだろうな」
「なるほど、ケダモノですか・・・」
そう呟くダンミーツの瞳がキラリと煌めいた事に、
サスケは気付いていなかった。
「ご主人様、お風呂が沸きましたので、
お入りになられますか?」
作業を終えて、城の居間で寛いでいたサスケの元に、
ドアを開けて居間へと入って来たダンミーツが、そう尋ねる
「おう、じゃあ入るかな」
サスケは、寝転がっていたソファから、
体を起こしながら、そうダンミーツに返事を返した。
「あっ、ご主人様、ご入浴なされる前に、
この新作の、野菜ジュースを味見して頂けますか」
「おう、良いぜ、
どれどれ、ゴクゴクゴク・・・ぷふぁ~!
う~ん、これはこれで美味いんだけど、
ちょっとバナーヌの香りと味が濃いから、
もう少しサッパリしたものに換えた方が良いかな?」
「その、香りと味を誤魔化す為に入れたのですから当然ですわね・・・」
「うん?今、何か言ったか?」
「いえ、何も言ってませんわ、
では、可及的速やかに入浴して下さいませ」
「お、おう・・・?
じゃあ、入ってくるわ」
「行ってらっしゃいませ」
サスケが風呂場へと向かってから、
暫しの時間が経過した頃、
厨房の壁に掛けられている、時計の針を眺めていた
ダンミーツが呟く
「そろそろ、良いかしら?
では、ご主人様、
今から、私めが、お背中を流しに伺いますね・・・えっ!?」
ウキウキとした様子で、浴室へと向かおうとしたダンミーツの体が、
突然、見えない糸で拘束されたのだ
「その、お役目は私達が頂戴いたしますわよ」
「そうそう」
「ウルちゃんに聞いたんだけど、
ダンミーツさんは、前に抜け駆けしたそうじゃない」
「今晩は、私達の番って事だね」
「サンさん!
それに、他の皆さんまで・・・」
「ダンミーツさんよりも、いち早く、お頭に仕えた私達が、
いつまでも、後れを取る訳には行きませんので、
今晩は、譲って頂きますわよ」
「ちょ、ちょっと、お待ちになって下さいませ!
今晩の、ご主人様は危け・・・むぐっ!」
サン達に、何かを告げようとしたダンミーツの口に、
リンによって猿轡が噛まされた。
「大きな声を出されると、お頭に気付かれちゃうかも知れないから、
暫くの間、我慢してて下さいね、
猿轡も、体を縛ってある透明な糸も、2時間もすれば自然に溶けて切れるから、
それまでの、我慢ですね」
「では私達は、これで・・・」
「行って来ま~す!」
「じゃあね、ダンミーツさん」
サン達は『ム~ム~』と唸るダンミーツを置いて、
サスケが入っている浴室へと向かい、
洗面所で準備をしながら、小声で話をしている
「でも、裸にバスタオルだけって、
ちょっとダイタン過ぎるんじゃ無いかしら・・・?」
「朴念仁の、お頭には、
この位のアピールが丁度良いんだよ」
「そうそう、この位しなければ、
いつまで経っても、私達の気持ちに気付いて貰えないわよ」
「みんな、早くしないと、お頭が上がって来ちゃうよ」
「それもそうね、じゃあ皆、準備は良い?
行くわよ!」
「「「おう!」」」
ガチャッ!と風呂場のドアを開けて、4人は中へ入って行った。
「「「「お頭、お背中を流しに伺いました!」」」」
「ガルルルルルルッ・・・!」
「「「「あれ?」」」」




