ゆかいな仲間たち
「それでは、グランガ殿、
我々は、お教え頂いた通りに、良質な鉄が採れると仰る、
もう少し奥まで坑道を進もうと思いますので、
これにて、失礼致します。」
「うむ、それでは、ワシも地脈の乱れを正しに行くとするかな、
サスケ殿、次に、この地へと参られる時は、
もう少し、ごゆるりとして行かれよ」
「はい、ありがとう御座います。
あっ、そうだ!グランガ殿は、お酒を嗜まれますか?」
「うむ、この坑道が働いていた頃は、
坑夫のドワーフ共と飲み交わしたものよ」
(やっぱり、見た目や雰囲気がドワーフの人達に似てるから、
酒好きだったか・・・)
「では、頂き物で申し訳御座いませんが、
これを、友好の証として、お贈り致しましょう」
サスケは『魔倉』から、素焼きのツボを取り出すと、
グランガへと、差し出した。
「うん?それは・・・?」
「はい、知り合いのドワーフから貰った
『3年殺し』という酒ですね、
私には、少々、酒精が強過ぎる酒なものですから、
地精霊のグランガ殿なら、大丈夫かと思いまして」
「何!?あの幻の名酒と呼ばれる『3年殺し』か!
その様な、貴重な酒を本当に頂いても構わんのか?」
「はい、私では水で薄めねば飲めぬ酒ですからね、
その様な飲み方は、良い酒には反するものと、
お聞きした事があるので」
「うむ、良い酒は、そのままで本来の味を楽しむのが道理であるな」
「と言う事ですので、そのお酒は進呈させて頂きます。」
「では、この酒は、ありがたく頂いておくとするかな、
次にサスケ殿が見えられる時には、軽めの酒を用意しておくので、
共に飲み交わしましょうぞ」
「はい、では私は、美味しい肴でも、
ご用意して伺う様にします。」
「おお、それは良いな!」
こうして、サスケは次の採掘に訪れた時に、
飲み交わす約束をしてから、グランガに別れを告げた。
その場所から、さらに坑道の奥へと進み行ったサスケ一行は、
坑道の行き止まりまでへと、辿り着いて、
漸く、鉄の採掘を始めたのであった。
「よ~し、ここが、この坑道の一番奥の様だな、
じゃあ、俺が『掘削』の魔法で鉄鉱石を掘り出して行くから、
サン、リン、ロリーの3名は『抽出』で鉄を取り出して、
ジュリーが『錬成』で質を上げてくれるか、
俺も、掘り出しが終わったら、ジュリーのフォローに入るからさ」
「「「「了解です!お頭」」」」
こうして、流れ作業で次々と、良質な鉄のインゴットを造って行ったサスケらは、
時々、休憩を挿みながら、
およそ3時間程で予定していた量の鉄インゴットを入手した。
「良し!あとは俺の『魔倉』に収納したら帰るとするか」
「「「「はい!お頭」」」」
サスケ達が廃坑まで行き、鉄のインゴットを造って来てから数日後、
予定の通りに、ナニワ星からコテコテが宇宙船に乗ってやって来た。
「初めまして、コテコテさん、
私は、ジュリーの主のサスケ・モンキーフライ・コウガと申します。」
「これは、ご丁寧な、ご挨拶を頂きまして、
ありがとう御座います。
私は、ナニワ星より参りましたコテコテと申します。」
「あれ?コテコテさん、この前に来た時より、
この国の言葉が上手くなってるよね?」
「はい、こちらとは長いお付き合いになりそうでしたので、
向こうに帰りましてから、自動翻訳機の調整を致しました。」
「じどうほんやくき?
言葉が分かる魔導具みたいなもんかな?」
「そんなとこです。」
「コテコテさん、この宇宙船て、どんな動力で動いているんですか?」
「おお!サスケさんは、宇宙という概念が理解出来るのですね」
「はい、実は私は、この世界とは別の場所から来たのですが、
元に居た世界では、近くの星までは行けていたものですから」
「なる程、そう言う事でしたか、
『近くの星までは』と仰るところから見ると、
元に居らした世界では、化石燃料を使われていたんですね、
この船の動力は、重力の変化を利用したものとなって居ります。」
「ああ、あのエアカーと同じ原理ですか」
「はい、あれを強力にしたものと、
お考え頂ければ間違いありませんね」
「は~凄い原理ですね、
ナニワ星って遠いんでしょうけど、
どのくらいの時間で、この星まで来られるんですか?」
「ナニワ星は、この星で言うところのゴブリン座の方向にありまして、
光の速さで10年程の距離となります。
この船の最大速度をもってしても1時間程は掛かりますね」
「光速で10年の距離を、僅か1時間ですか・・・
それは、もうワープとかの速さになるんでしょうね」
「ほう、ワープをご存じなんですか」
「はい、まだ実現はしていませんでしたが、
やがて現れるであろう技術と言われていました。」
「そうなんですか、サスケさんがお察しの通りに、
この船は、空間どうしを繋ぐ技術を使った船となって居ります。」
「やっぱり、そうなんですか、
この世界じゃ想像も付かない様な、ハイレベルな技術ですね」




