廃坑での出会い
「この地へ、ワシの許可なく足を踏み入れた者は誰だ!」
暗い廃坑を進んでいたサスケ達の事を、
突然、何者かが誰何して来た。
そして、驚いた事に、
その何者かは、優れた索敵能力を持つ、サスケ達の気配察知スキルに、
何の反応も示さなかった。
「誰だと言う、お前が誰だ!」
何者かの誰何に対して、ジュリーが誰何で返した。
「誰だと言う、お前が誰だと言う、お前が誰だ!」
「誰だと言う、お前が誰だと言う、お前が誰だと言う、お前が誰だ!」
「誰だと言う、お前が誰だと言う、お前が誰だと言う、お前が誰だと言う、お前が誰だ!」
「誰だと言う、お前が「ジュリー、切りが無いから、こちらから名乗るとしよう」
くっ、分かりました。お頭」
ジュリーは、何か負けた様の気がするのか、
悔しそうな顔をしている
「失礼しました。
私は、ここコウガ領の領主を務めて居ります
サスケ・モンキーフライ・コウガ公爵と申す者です。
お名前を、お伺いしても宜しいでしょうか?」
「うむ、礼には礼を持って返そうぞ、
ワシは、この地の、『地脈の守り人』をして居るグランガと申す者だ」
暗闇の中から、背が低くガッチリとした体格の老人が現われながら、
そう告げた。
「『地脈の守り人』ですか?
もしかして、グランガ殿は地精霊の方でしょうか?」
「いかにも!ワシは地精霊ノームに類する者だ」
(気配が分からなかったのは、精霊だったからか・・・?)
「すると、ここはグランガ殿の住居の様なものでしょうか?」
「まあ、その様なものだな」
「これは、知らぬ事とはいえ、
不躾にも入り込んでしまいまして、謝罪申し上げます。」
「うむ、知らなかったのであれば仕方が無かろうぞ、
サスケ殿の謝罪を受け入れよう
しかし、コウガ領だと?ここはギッテル領では無かったのか?」
「この地を治めていたギッテル子爵は、領主の座を罷免されまして、
それと同時に、ギッテル領から、コウガ領へと変わったのです。」
「ふん、因業領主には、お似合いと言える末路だな」
「グランガ殿は、ギッテル子爵を、ご存じ何ですか?」
「うむ、この地の鉄を掘らせてくれと言うので、
その対価として、魔石を差し出せば良いと許可を出したのだが、
何の断りも無く、突然に廃坑したかと思えば、
約束の対価の支払いの方も、さっぱり音沙汰無しだ」
「それは、酷い話ですね」
(ルクシア共和国から、良質な鉄が出て来た所為で、
思う様な利益が上がらなかったから、子爵も対価の支払いをケチったんだな・・・)
「まあ、魔石が貰えなかったところで、
結局は、前領主の首を絞める事となったんだがな」
「それは、どういう事でしょうか?」
「うむ、対価の魔石の使い道であるが、
この地の、地脈の乱れを正すのに使う予定であったからな、
地脈が乱れたままで困るのは、この地に暮らす者のみという事だ」
「地脈が乱れると、どの様な影響が出るのですか?」
「作物の育ちが悪くなったり、地下水の汚染だな」
「それでは、対価などいう形では無く、
グランガ殿に、お願いをして魔石を進呈するのが、
本来の筋では無いでしょうか?」
「誰も彼もが物分りが良い訳では無いからな、
この様な形を取った方が、余計な軋轢を生まんのだよ」
「そんなもの、なのでしょうか?
では、私は前払いで、グランガ殿に魔石を納める事としましょう。」
サスケは『魔倉』から、いくつかの魔石を取り出すと、
グランガへと差し出した。
「こんなには必要無いぞ、2~3個あれば十分だ」
グランガは、サスケの掌から、
B級の魔獣から採れる程度の魔石を、3個だけ摘まみ上げた。
「そうなんですか、では、『地脈の守り人』グランガ殿、
私サスケは、この地の領主として、地脈の乱れを正す事をお願い申し上げます。」
「うむ、確かに申し受けたぞ、
して、サスケ殿は魔石の対価として、何を望まれるのかな?」
「はい、時折、ここで鉄を掘らせて頂きたいのですが、
宜しいでしょうか?」
「うむ、元々が坑道であるから、それは構わんぞ、
それから、この地を統べる地精霊として、一つのアドバイスであるが、
前領主は、作業の費用を節約しようとしたのか、
地表近くばかりを掘り返しておったが、この地は深く掘り進む程に、
良質な鉄が出て来るぞ」
「これは、ありがたきアドバイスを頂きました
良質の鉄が出るとなれば、我々の作業の方も大分楽になります
心より、感謝申し上げます。」
「うむ、どうやら、サスケ殿とは仲良くやって行けそうだな」
「はい、今後とも、宜しくお願い申し上げます。」
「こちらこそ、宜しくお願いするぞ」




