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転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
212/238

様式美

「おお、ロリーのおふくろさんが、

ときどき々、掃除そうじをしてくれてたから、キレイなもんだな」


「そうですね」


村長への挨拶あいさつえたサスケ一行は、

ロリーの家にってかぎりてから、

別荘へと到着とうちゃくしていた。


「サスケ様、この建物の造りは、

私達の村の建物の造りと似てますね」

建物の中を、物珍ものめずらしそうにキョロキョロとながめながら、

タンポポが言った。


「ああ、俺が設計したんだけど、

日本風の和風建築って形なんだよ」


「ああ~、やっぱりそうなんですか、

私達の村の建物の形も、サイゾウ様が造られた物を、

真似まねた形でだいだい々造りかえられて来たそうですから」


「ああ、確かに和風建築だったな」


「あちらにある釜戸は現役なんですか?」


「いや、あれらは形を似せてあるだけで、

中身は、みんな魔導具に改造してあるんだよ」


流石さすがは、サスケ様の別荘ですね、

私達の村では、釜戸が現役でまきいていましたものね」


「でも、ゴハンをいたりする時は、

釜戸で炊いた方が美味おいしく出来るんだぞ、

俺も、ここの魔導具を、本物の釜戸に近付けるのに、

えらい苦労くろうをしたからな」


「そうなんですか?」


「ええ、本当よ、

サスケさんは凝り性だから、納得が出来る物が出来上がるまで、

何回も造り直していたわよね、チビリン」


「キキ~!」


「サスケ様程の、お方でも新しい魔導具を造り上げるのには、

それ程の苦労をされるんですね」

同じ、魔導具を造り出す者として、

サリエは、何かしら心に感じ行った様だ。


「そりゃそうさ、なかなか上手うまく行かないからこそ、

完成した時の、喜びが一入ひとしおなんだぜ」


「はい、分かる気がします。」


「よ~し、各自、部屋に荷物をおさめたら、

温泉に入ってサッパリしてから、

ケモイヤー村で開催かいさいしてくれる宴会えんかいに行くぞ」


「はい、分かりましたわ」

「「「「「は~い!」」」」」

「キキ~!」


おのおの々、好きな部屋に荷物を入れると、

着替えや手拭てぬぐいを持って温泉へと向かう

チビリンは一応いちおう護衛ごえいために、

ミルクらと女湯に向かったので、

男湯の方は、サスケのみであった。


サスケは、『浄化じょうか』の魔法を自身に掛けてから、

ザッと掛け湯をして、そろそろと湯船に身をしずめていった。

「ふぃ~、やっぱり温泉は良いな~」

サスケの他にも、チラホラと入浴客が居るものの、

大露天岩風呂自体が巨大なので、広々としていた。


「何か温泉自体も、こなれて来たのか、

出来た当初から比べると、お湯が柔らかくなった感じがするな」


「ほう、やはりお分かりになりますか」


「ああ、村長さんも入られていたんですか」


「ええ、今、来たところです。」


「ところで、先程さきほどの『分かった。』とは?」


「それなのですが、最近、

源泉の、落ち葉などを掃除に行った者が気付きまして、

源泉からき上がるお湯に気泡きほうが多くふくまれる様に、

なっているらしいのですよ」


「なる程、それでお湯が柔らかく感じる様になったのか、

しかし、その気泡っていうのは何なんだろうな?

空気とか炭酸たんさんとかなら良いけど、

火山性のガスとかだったら、

濃度のうどが高くなると危険も考えられるよな・・・」


「その者の話では、刺激臭しげきしゅうでは無かったとの事でしたな」


「そうですか、人族より嗅覚きゅうかくすぐれている、

獣人の方が、そうおっしゃってるなら大丈夫かな」


「はい、源泉周辺の鳥などの様子も、

変わり無いとの事でしたので、

恐らく心配は無いものと思われます。」


「なら、温泉のマッサージ効果が上がったって事で、

ばんばんざいですね」


「はい、前よりつかれが取れやすくなったとか、

湯冷ゆざめしにくくなったとか、お客様には好評こうひょうです。」


「それは、良かったですね」


「はい、ありがとう御座ございます。」


「キキキ~!」

その時、男湯と女湯の間に立ってる、

仕切しきり板の上に、チビリンが現われてサスケに向かって、

何かをげた。


「はて?

チビリン殿は、何を言ってられるのですかな?」


「ええ、女性陣じょせいじんが、そろそろ上がるので、

俺も上がって、一緒に宴会に向かおうとの事です。」


「そうでしたか、

それでは、私も一緒に上がって、

宴会の準備じゅんびの手伝いにでも向かうとしますかのう」


「何か、お手伝い出来る事とかありますか?」


「今日は、ゆっくりとしていて下さいませ、

サスケ様は、村の者達の、接客せっきゃく上達振じょうたつぶりを見ていていただけますか」


「分かりました。

今日は、されるがわごす事としましょう。」


「はい、お願い申し上げます。」


サスケが、男湯から出ると、

ミルクらは、マッドパイソンの乳で作った

冷えたフルーツミルクを楽しんでいるところであった。


美味うまそうだな、俺ももらうとするかな」


「ええ、とても美味しいですわよ、

はい、サスケさん、どうぞ」


ミルクが、新しいフルーツミルクのふうを切って、

手渡してくれたので、

サスケは、ゴクゴクとのどらしながら、

それを、飲みした。

「プハ~!こりゃ美味ぇな~、

冷えぎず、ぬる過ぎずの絶妙ぜつみょうな温度管理だな」


「サスケ様、さっきチビリンちゃんもやってんですけど、

フルーツミルクを飲む時に、腰に手をやるのは何か意味があるんですか?」


「ああ、たんなる様式美ようしきびだから気にするな」


「はあ・・・」

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