表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転落勇者の人生大逆転物語  作者: シュウさん
211/238

スペックのホルダー

「うん?

あれは、パパサンさんじゃないのか?」


「その様ですわね」


街道かいどうの、ケモイヤー村へとつながる枝道えだみちとは、

反対側に広がる森から出て来て、サスケらの馬車へと向かって来たのは、

サスケの部下であるサンの父親、狩人かりゅどのパパサンであった。


「サスケ様、ミルク様、ご無沙汰ぶさたしてります。」


「こちらこそ、ご無沙汰です。パパサンさん」

「お久し振りですね」


「今、御着おつきになった所ですか?」


「ええ、ちょうど着きまして、

前に来た時には無かった案内看板があったので、

ながめていた所です。」


「ああ、この看板ですか、

サスケ様に失礼だから、止めとけってジュリーに言ったんですが、

『お頭は、シャレが分かる方だから大丈夫だよ』とか言って、

聞き耳持たんのですよ」


「はあ、まあ、それは確かに良いんですが、

これだけの看板を作るとなると、

大工だいくのゲインさん達にたのんでも結構けっこう高かったんじゃないですか?」


「ああ、この看板はジュリーが作ったんですよ」


「えっ!?マジですか?」

すご出来栄できばえですわね」


「ええ、何か魔導具らしい指輪の中に、

沢山たくさんの材料を入れて運んで来たかと思うと、

自分で加工かこうしながら組み立てて行って、

最後は絵までいてから帰って行きました。」


「休みの日とかに、ゲインさんとこで、

大工仕事の手伝てつだいとかしてたのは知ってたけど、

これ程、上達じょうたつしていたとはな・・・」


「はい、おどろきましたわ、

こちらの道でも、食べて行けそうな腕前うでまえですものね」


たしかに、

それに、あの看板絵かんばんえの出来栄えなんてカナリのもんだぞ、

普通の紙にくのと違って、看板に大きく描くのって難しいんだよ」


「ええ、私共わたしどももビックリしましたよ」


「ジュリーって、意外いがいと何やらせてもソツ無くこなして、

何気なにげにスペック高いよな~」


「そうですわね」


「サスケ様、ここで、こうしててもなんですから、

村へと行きませんか」


「そうですね、そう言えばパパサンは森に行かれてたみたいですけど、

狩りにでも行ってたんですか?」


「いえ、今日は狩りでは無くて、

サスケ様方が、いらっしゃるとお聞きしたので、

これを、りに行って来たんですよ」

パパサンは、腰に下げたカゴのふたを開いて、

サスケの方へと向けながら、そう言った。


「えっ、何が入ってるんですか?」

サスケが、そう言ってカゴの中をのぞきこむと、

そこには、細長い何かの幼虫が大量にウネウネと動いていた。


「ヒョェェェェェ~!!

も、も、も、もしかして、ソレって食べるんですか?」


「ええ、ポテラというちょうの幼虫なんですけど、

美味おいしくて栄養えいよう沢山たくさんあるんですよ、

サスケ様だって、この前、来られた時に、

『美味しい、美味しい、ちょ~美味しい』って、

おっしゃられてパクパク食べられていたじゃありませんか」


「えっ!?

あれってポテトフライじゃ無かったの?」


「ええ、ポテラフライですよ」


「ギョェェェェェ~!!

誰か、俺の記憶きおくを消し去ってくれ~!」


「ミルク様、サスケ様は虫料理が苦手にがてで、

いらっしゃるんですか?」


「ええ、イナゴとか、はちの子もダメらしいです。」


「そうなんですか、蜂の子なんて、

とても美味しいんですけどね、

ウチの村でも、とても人気がありますよ」


「あら、そうなんですか、

マッスル王国のライ様の所で、ハニービーの巣が採れますから、

送って頂くように頼んでみますか?」


「ええ、是非ぜひに!」


「あの~、ミルク様、

サスケ様が『記憶よ消えろ!』とおっしゃりながら、

木のみきに頭を打ち付けて、いらっしゃるんですけど、

お止めしなくてもよろしいのでしょうか?」

心配したヒナギクがたずねて来た。


「ええ、ああられてしまうとしばらく元には戻りませんから、

様子を見る事といたしましょう。

多少、頭に傷が出来たところで、

サスケさんが造った良く治療薬ちりょうやくがありますから、

ぐに元通りですわ」


「傷が消えれば良いって訳でも・・・」


多少の問題はあったものの、

サスケは、久し振りにケモイヤー村をおとずれる事となった。


「ハイサイチュ~ガナビラ!」


「だから!何で沖縄言葉なの!?」


「いや~、お久し振りですな、サスケ様」


「村長さんも、お元気そうで何よりです。」


ケモイヤー村の入り口で、サスケらを出迎でむかえたのは、

村長のソンチョーである


「ご無沙汰ぶさたしてります。村長さん」


「ミルク様も、ようこそいらっしゃいました。」


「「「「「お世話になります。」」」」」

「キキ~!」


「皆さんも、どうぞ、ごゆっくりしていらして下さい。」


「村長さん、温泉客の方は順調ですか?」


「はい、お蔭様かげさまで、

勇者のライ様が、よく見得みえられるのにくわえて、

サスケ様が英雄となられてからは、

英雄が造った温泉大露天岩風呂と聞き付けた

お客様方が、よくいらっしゃっていただいてります。」


「そうか、こんな俺でも、

ここの宣伝せんでんに、一役ひとやく買ってると思うとうれしいもんだな」


「ミルク様、サスケ様は何で、

この村に、こんなに入れ込んでいらっしゃるんですか?」

サスケの入れ込みようを不思議に思ったサリエは、

ミルクにたずねてみた。


「何でも、サスケさんや、ライ様がいらした国では、

この村に、サスケさんが造った温泉というのが、

国民的に愛されていたらしいのよ」


「へ~、そうなんですか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ