サナギも、ちょっと・・・
「よ~し、じゃあ巣を分離してから回収するかな、
『分離』『収納』っと」
サスケは、ハニービーの巣から、
女王蜂と卵、そして幼虫が居る一部の区画を魔法で分離すると、
その部分を残して、あとは丸々『魔倉』へと収納した。
「サスケ様、ハチミツや蜜ロウの抽出は行わないのですか?」
ヒナギクが尋ねて来た。
「幼虫の取り出しをヒナギクが、やってくれるならな」
「い、いえ、分かりました。」
「このまま、持ち帰って、
幼虫は、ポラリちゃんの親父さん達に任せようと思ってな、
上手に巣から出す方法とかも知ってるだろうしな」
幼虫の方は、それが大好物である、
クマ獣人の皆さんに回収して貰う予定である
「ハチミツも手に入った事だし、
そろそろ街に帰るかい?」
そう、リーナが、サスケに聞く
「ええ、ハチミツを使ったお菓子も作りたいですからね」
「「「「やった~!」」」」
「楽しみ」
「「キキ~!」」
ヒナギクらや、パサラ達も楽しみな様だ。
「じゃあ、コエドに帰るよ、みんな」
「「「「「はい!」」」」」
コエドの街に戻ると、
政務を終えたライ達が出迎えてくれた。
「おう、お帰り、バニランは上手く獲れたか」
「はい、お蔭様で、暫くお菓子作りには、
困らない量を獲れました。」
「そうか、そりゃ良かったな」
「ハチミツ」
「うん?ハニービーの巣も獲って来たのか?ポラリ」
「そう」
「美味しいハチミツが採れるとお聞きしたんで、
ついでに採って来たんですよ、
これから、お菓子を作るんで、ご馳走しますね、
でも、その前に幼虫ごと『魔倉』に入れて来たんで、
クマ獣人の皆さんに回収して貰えますかね」
「おう、みんな大好物だから喜ぶと思うぞ、
早速、ポラリちゃんの父親のドゥーベさんに連絡してみるよ」
「お願いします。」
ライが魔導通信機を使って、ドゥーベに連絡を入れると、
二つ返事で、クマ獣人の仲間を伴って幼虫の回収にやって来た。
「君が英雄のサスケ君か、
いつもウチのポラリが世話になってる様で、申し訳無いね、
今日は、我々の大好物であるハニービーの幼虫を採って来てくれたそうで、
ありがたいよ」
「あなた、英雄様に『君』付けなんてダメよ」
ドゥーベの妻のベネトナが慌てた様に告げた。
「俺の事はサスケで良いですよ、
ポラリちゃんや、パサラちゃんには、
この国の事とか、色々と教えて貰ったりして、
こちらの方こそ、お世話になってるぐらいですよ」
「いえいえ、あの子達と遊んで頂いた様で、
とても喜んでいましたわ、
それに、あの様に見事なゴーレムの護衛を造って下さって、
子供達だけで、遊びに行かせる際も、
安心して送り出せるので助かっていますわ」
「シロとクロが、お役に立てている様で良かったです。」
その時、仲間と共にハニービーの幼虫を回収していた
ドゥーベが戻って来た。
「サスケ君、幼虫の方は回収し終わったよ、
鮮度が落ちないうちに加工しないと、味が落ちてしまうから、
今日は、これで失礼しなければならないけど、
また、改めてお礼をしに来るからな、
今日は、本当にありがとうな」
「いえいえ、お気使い無く、
皆さんで楽しんで頂ければ幸いです。」
クマ獣人達は、口々にサスケらに礼を言いながら、
幼虫を早く料理する為に、そそくさと引き上げて行った。
「あんなに急いで帰るなんて、
ホント、ハニービーの幼虫が好物なんですね」
「ああ、ドゥーベさん達に取っては、
一番のご馳走らしいぞ」
「俺の祖父が長野県に住んでたんですが、
あちらの方でも、蜂の幼虫を食べてますよね」
「ああ、俺も旅行で行って見た事があるが、
蜂の子は何とか食べられるかも知れないが、
ザザムシは、とてもじゃないが無理だな」
「イナゴも無理な俺には、蜂の子も難しいですよ」
「ハハハ、蜂の子の方がナマっぽいもんな」
「ええ、ホントですよ、
じゃあ、俺の方は巣を魔法で分離しちゃいますね、
ハチミツと蜜ロウが採れますけど、
両方とも要りますか?」
「いや、蜜ロウは余っているから、
ハチミツを少し分けてくれれば良いぞ、
それよりも、ハチミツを使ったお菓子を、
ご馳走して貰う方が嬉しいかな」
「ハハハ、分かりました。
ハチミツを作ったら、
早速、お菓子作りに取り掛かりますよ」
「サスケさん、ハチミツを入れる容器と、
蜜ロウの入れ物が準備出来ましたわ」
ミルクが、そう声を掛けて来た。
「オッケ~、じゃあ分離するかな、
『分離』『抽出』『圧縮』っと」
サスケは、ハニービーの巣から不純物を取り出すと、
ハチミツを抽出して容器に入れ、残りの蜜ロウを固めて入れ物に詰めた。
「わ~っ!キレイなハチミツと蜜ロウですね」
ツバキが歓声を上げる
「大きな巣だとは思いましたが、
こんなに沢山の量が採れるんですね」
ユリが感心する様に言う
「サスケ様、ハチミツを使ったお菓子は何を作るんですか?」
タンポポが、楽しみな様子で尋ねて来る
「そうだな~、一品はアレにするかな・・・そうだ!
俺が一品作るとして、
材料と、作り方を教えるから、
タンポポ達も、パサラちゃん達と一緒に、
もう一品作ってみるか?」
「私達でも作れるんですか?」
「ああ、子供と一緒でも、
簡単に美味しく出来るから、大丈夫だぜ」
「ああ、アレか、
あれなら、確かに初めて作っても美味しく作れるな」
日本出身のライには、直ぐにピンと来た様だ。
「じゃあ、作ってみたいです!」
「「「「賛成~!」」」」




