モクモク大作戦
気絶したハニービーに、
目立つ様に、赤い布を括り付けて、
離れた場所から監視しながら、暫く待っていると、
気絶から目覚めたハニービーが、飛び立つのが見えた。
「よし、後を追うよ!」
リーナが告げる
「「「「「はい!」」」」」
余り近づき過ぎてハニービーに気付かれない様に、
即かず離れずの距離を保ちながら、
サスケ達は、ハニービーの後を附けて行った。
「あっ!あそこの土山に入って行きました。」
ヒナギクが声を上げた。
「へ~、なんかモヘンジョダロみたいな巣だな」
サスケの視線の先には、巨大な岩山の遺跡の様にも見える、
横幅5メートル程で、高さが15メートルはありそうに見える、
土を固めて積み上げた様な、大きな巣が聳え立っていた。
「それって、ライも初めてハニービーの巣を見た時に言ってたな」
リーナの言葉に、隣のパサラもコクコクと頷いて居る
「サスケさん、そのモヘンジョダロって何ですの?」
ミルクが尋ねて来る
「モヘンジョダロって言うのは、
俺やライさんが居た世界で有名な、古代遺跡なんだよ、
あんな形をした大昔の住居跡が沢山聳え立っているんだ。」
「それは、壮観そうね」
「ああ、観光地としても大人気だったな」
「サスケ様は、見に行った事があったんですか?」
ツバキが聞いて来た。
「いや、俺が住んでた国とは別の、
遠い国にある遺跡だから、貧乏学生には、
とてもじゃ無いが無理だったよ」
「そうなんですか」
「さて、じゃあ、そろそろハチミツを採るわよ!」
リーナが、そう宣言する
「ええ、始めるとしますか、
リーナさん達は、いつもは、
どうやって、あの巣からハチミツを採ってるんですか?」
「ルクアが、巣の周りに結界を張ってから、
枝葉を燃やした煙で燻してるよ」
「なる程、オーソドックスな方法ですね、
普通の蜂よりも、ずっと体は大きいですけど、
同じ方法で効くもんなんですね」
「ああ、アタイらも、
ライが、この方法を試してみようって言った時は、
半信半疑だったんだけれど、バッチリ効いたんで、
みんなでビックリしたもんだよ」
「ホント」
パサラも、コクコクと同意している
「じゃあ、俺達も同じ方法で行くとするか、
ミルク、あの巣をスッポリと包む大きさの結界が張れるか?」
「はい、結界の張り方はルクアさんから習いましたので、
大丈夫ですわ」
「よし、じゃあ後は手分けして、
燃やすと煙が沢山出る枝葉を集めるとするか」
「「「「はい!」」」」
サスケは、ヒナギク達と一緒に、
地球の、杉の木の枝葉に、良く似た物を集めてから、
ハニービー達に気付かれない様に、
隠密のスキルを使いながら、巣の近くに積み上げて火を点けると、
ミルクに結界を張らせた。
枯れ木と、生木を混ぜて置いたので、
結界の内側は、直ぐにモクモクとした煙が充満して行った。
「あっ!ハニービー達が巣から出て来ました!」
タンポポが言う様に、巣から沢山のハニービーが、
一斉に飛び出して来たが、
ミルクが張った結界に阻まれて、
コツコツと跳ね返されているのが見て取れる
「段々と、落ち始めて来ましたね」
ユリが言う様に、結界の中のハニービー達がポトポトと、
地面に落ち始めた。
「もう少し待って、飛んでるのが居なくなったら、
結界を解いて貰ってハチミツを採取するとするか」
「分かりましたわ」
「アイヨ!」
「「「「はい!サスケ様」」」」
「もしかすると、死んで無いのとか、
巣から離れていたハニービーが居るかも知れないから、
チビリンとクロは、ミルクとパサラちゃんの護衛を頼むぜ」
「「キキッ!」」
視界に入る限り、飛んでるハニービーが見えなくなり、
少し様子を見て、新たな反応が見られない事から、
サスケは、ミルクに結界を解かせて、
リーナやヒナギクらを伴って巣に近付いて行った。
「ちょっと、待って下さいね」
サスケは、巣の近くに立つと、
中の気配を感知してみる
「どうだい?」
「中の女王蜂とか、幼虫は結構生きてるみたいですね」
「そうかい、じゃあ女王蜂と卵、
それから一部の幼虫は残して行くとするかね」
「そうですね」
「サスケ様、女王蜂は殺さないんですか?」
「ああ、女王蜂を殺した場合、
その内、新しい女王蜂が生まれるんだけど、
それだと、巣が元通りになるまで時間が掛かるだろ?
ハニービーは魔獣だけれど、
自分が攻撃されない限りは、人間を襲わないし、
ハチミツも採れるからな、巣が早く元通りになった方が良いんだよ」
「なる程、そういう訳なんですね」
「あの~、リーナ様、
先程、幼虫の一部を残して持ち帰られる様な事を、
仰って居られましたが、
もしかして、食用で持ち帰るんでしょうか?」
ヒナギクが、リーナに質問する
「ああ、アタイは苦手なんだけど、
一部の人達、とくにポラリ達みたいな、
熊タイプの獣人の大好物だから、
お土産に持ち帰ってあげるのさ」
「そうなんですか」
「どうだ?ヒナギクも、一度チャレンジしてみるか」
「い、いえ、謹んで御辞退を申し上げます!」




