飲茶
「お久し振りです。ライさん」
「よう!サスケ、みんな元気にしてるか?」
「はい、俺も含めて変わりないです。」
「そりゃ、何よりだな、
うん?後ろの娘さん達は、初めて見る顔だな、
今回の旅には、サン達は連れて来なかったのか?」
「はい、サン達にはコウガ領の警備に当たって貰ってます。
それから、彼女達なんですが・・・」
サスケは、ライにヒナギク達が暮らして居た
イガ村の事を話して聞かせた。
「サスケ様、お相手が勇者様とはいえ、
我が村の事を、お話しになられて大丈夫でしょうか?」
心配したヒナギクが、サスケに尋ねて来た。
「ああ、ライさんなら大丈夫だよ、
ライさんも、俺やサイゾウ様と同じ日本から来たんだから」
「えっ!?勇者様も、ニホンから来られたのですか?」
「ああ、サスケとは、向こうで会った事は無かったんだが、
隣町みたいな場所に住んでたんだ」
「まさか、勇者様がサイゾウ様と同じニホンから、
来られていたなんて・・・」
「ニホンという国には、凄い人ばかり住んでるのかな?」
「いや、凄い人だけが来られているんじゃない?」
「まあ、普通に考えればそうね」
ヒナギクの他に、タンポポ達も驚いている様だ。
「まあ、そういう訳だから、
俺が、君達の村の不利益になる様な、
行為に及ぶ心配は無いから、安心して良いぜ」
ライが、そうヒナギクらに告げた。
「はい、ありがとう御座います。」
「「「分かりました。」」」
「それから、もう一人はサリエって言うんだけど・・・」
「もしかして、彼女はハイエルフ様では御座いませんの!?」
ライの後ろで話を聞いていたフローラが、
驚いた様子で尋ねて来る
「流石に、エルフのフローラさんは、
気付かれた様ですね、
はい、彼女はハイエルフなんですよ、
彼女の場合は・・・」
サスケは、ライ達にサリエの事情を説明した。
「そんな事が、御座いましたの・・・
ハイエルフ様が、隠れ里から出て来られるなんて、
聞いた事が御座いませんでしたから、
驚きましたわ」
「フローラさんは、直ぐにサリエがハイエルフと、
気付かれたみたいでしたね」
「それは、当たり前ですわ、
私達エルフの取っての、ハイエルフ様という存在は、
前に、ライ様からニホンの事を聞かせて頂いた時に、
話の中に出て来た皇族の様な方々ですから」
「なる程、そりゃ気付きますね」
「まあ、お互いに積もる話もあるだろうし、
玄関先で、立ち話も何だから、
続きは居間に移動してからにしようぜ」
「はい、分かりました。」
ライの号令で、皆は居間へと移動する事にした。
居間へと移動し終えると、
ソファに腰を下ろしたサスケらに、
ライが聞いて来る
「どうだ?お腹が空いてる様だったら、
まだ晩飯には少し早いけど、準備させるぜ」
「少し小腹が空いてはいますけど、
本格的な食事をする程では無いので、
どうでしょう?
少し厨房をお借り出来ませんか?」
「おっ、サスケが何か作ってくれるのか?」
「サスケ君の作るものって美味しいのよね」
「楽しみ」
ライの他に、リーナやパサラも乗り気の様子だ。
「ええ、さっき話した
サリエが造った魔導具を改造したもので、
軽食をご馳走しますよ」
サスケは、厨房を借りると、
調理魔導具を使って、何点かの蒸し料理を作った。
小さな蒸籠に入れた料理を居間に運んで、
それぞれに好みの、お茶やコヒ茶を淹れると、
サスケは、蒸籠のフタを開けた。
蒸籠から立ち昇る湯気の中に姿を現したのは・・・
「おっ!こりゃ小龍包か?
こっちはニラ饅頭と、エビ焼売だな、
饅頭は2種類あるみたいだが、肉マンと餡マンか?」
「ハハハ、全て正解ですよライさん、
凄い洞察力ですね」
「分かるのは、これだけ何だけどな、
俺、飲茶がメチャメチャ好きで、
良く食べに行ってたんだよ」
「俺も、好きでしたね、
では、皆さん召し上がってみて下さい」
「「「「「いただきます。」」」」」
「「「「「いただきます。サスケ様」」」」」
「キキ~!」
「これ何?」
パサラが、小龍包をレンゲでポニョポニョ押しながら聞いて来た。
「それは、小龍包って料理なんだけど、
中に熱いスープが入っているから、
注意して食べる様にしてね、
食べ方は、レンゲの上に乗せてスープを啜ってから、
皮に包まれた餡を食べるんだよ」
「分かった。」
パサラは、恐る恐るという感じで、
レンゲに乗せた小龍包を口に近付けて行った。
「「うわっ熱っっつ!!」」
サスケの説明を良く聞いていなかった
リーナとタンポポが、小龍包をイキナリ口に入れた様だ。
「・・・・。」
2人の悶え苦しむ様子を見たパサラが、
一度口に近付けたレンゲを、スススと遠ざける
「気を付けて食べれば大丈夫だよ、パサラちゃん
こうやって、レンゲに乗せたら皮を切ってスープを出したら、
フ~フ~冷まして・・・うん、美味い!」
サスケは、実際にやって見せながら、
パサラに食べて見せた。
サスケが美味しそうに食べているのを見たパサラは、
慎重に口へと近付けると、同じ様にして食べてみる
「美味しい!?」
「だろ」




